構造有機化学

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 構造有機化学
科目番号 0004 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 構造有機化学(齋藤勝裕 著)三共出版/マクマリー有機化学概説第6版
担当教員 町田 茂

到達目標

有機化学の基本である原子の構造について理解する。分子の構造や混成軌道について理解する。分子軌道論を学び、分光分析や発光現象について理解する。フロンティア軌道に支配される反応について理解する。分子構造と反応性の関係、物性の関係を正確に把握できるようにする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1古典的原子論と量子論的原子論を十分に理解し,原子と結合について正確に説明できる。古典的原子論と量子論的原子論を理解し,原子と結合について基本的なことは説明できる。古典的原子論と量子論的原子論の理解は十分ではないが,原子と結合について基本的なことは説明できる。古典的原子論と量子論的原子論を理解できず,原子と結合について基本的なことも説明できない。
評価項目2混成軌道,非局在二重結合,ヘテロ原子を含む構造の特徴を十分に理解している。混成軌道,非局在二重結合,ヘテロ原子を含む構造の特徴について標準的なことは理解している。混成軌道,非局在二重結合,ヘテロ原子を含混成軌道,非局在二重結合,ヘテロ原子を含む構造の特徴について基礎的なことは理解している。混成軌道,非局在二重結合,ヘテロ原子を含む構造の特徴について理解していない。
評価項目3高度な有機反応に関して,反応性や選択性を分子軌道論に基づいて説明できる。標準的な有機反応に関して,反応性や選択性を分子軌道論に基づいて説明できる。基礎的な有機反応に関して,反応性や選択性を分子軌道論に基づいて説明できる。基礎的な有機反応に関しても,反応性や選択性を分子軌道論に基づいて説明できない。
評価項目4有機物の高度な物性に関して,分子軌道論に基づいて説明できる。有機物の標準的な物性に関して,分子軌道論に基づいて説明できる。有機物の基礎的な物性に関して,分子軌道論に基づいて説明できる。有機物の基礎的な物性に関しても,分子軌道論に基づいて説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科の科目である有機化学Ⅰ,有機化学Ⅱ,有機化学Ⅲでは,有機合成の基本的な反応とそれに用いる反応試薬,有機電子論に基づく反応機構を体系的に学んだ。本科目では,有機反応についてさらに知識を深めるとともに,これに加えて,分子軌道論について学び,分子構造と反応性の関係を理解する。また,有機化合物の物性について構造有機化学の観点から学ぶ。本科目で学ぶことは、新規化合物の合成や材料の機能を設計する上で役立つ。
授業の進め方・方法:
この科目は、企業で有機機能性材料の研究開発を行っていた教員が、その経験を活かし、有機化合物の分子構造が反応性や物性に及ぼす影響ついて講義形式で授業を行うものである。学修単位科目であるので、事前・事後学習として、予習復習を行うこと。講義は教科書を中心に行う。講義の最初でも前回の講義内容についてもう一度話をするが,反復的な学習が重要なので自宅での復習を必ず行うこと。講義の中で教科書の重要な箇所には印をつけるように言うので,板書内容と併せて重点をおいて復習すると効率が良い。
注意点:
有機化学Ⅰ,有機化学Ⅱ,有機化学Ⅲで学んだことがベースになるので,本科の教科書(マクマリー有機化学概説)を復習をしておくこと。また,量子化学の知識があった方が理解しやすい。本科目についても,理解できていない章がないようにすることが重要である。尚、この科目は学修単位の科目である。授業の予習・復習及び演習については,自学自習により取り組み学修すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 原子と結合を理解するために古典的な原子論について復習する。 古典的な原子論について説明できる。
2週 原子と結合を理解するために量子論的な原子論を復習する。 量子論的な原子論について説明できる。
3週 古典的な原子論と量子論的な原子論をもとに,結合および分子間結合を正しく理解する。 結合や分子間結合について説明できる。
4週 分子構造論を理解するために3つの混成軌道について復習する。 3つの混成軌道について説明できる。
5週 分子構造論を理解するために非局在二重結合について学ぶ。 非局在化した共役二重結合について特徴を説明できる。
6週 分子構造論を理解するために,ヘテロ原子を含む官能基の電子状態を正しく理解する。 ヘテロ原子を含む官能基の電子状態を説明できる。
7週 分子軌道論を理解するためにシュレディンガー方程式について学ぶ。  シュレディンガー方程式を説明できる。
8週 分子軌道論を理解するために軌道エネルギー準位と波動関数、軌道間相互作用について学ぶ。 軌道エネルギー準位と波動関数、軌道間相互作用について説明できる。
2ndQ
9週 分子軌道論をもとに分光分析の原理や発光現象について理解する。
分子軌道論に基づいて分光分析の原理や発光現象を説明できる。
10週 有機反応で生成する中間体の構造や安定性について学ぶ。 有機反応で生成する中間体の構造や安定性について説明できる。
11週 有機反応を分子軌道論的説明で理解する。 分子軌道論について説明できる。
12週 有機反応における立体化学を分子軌道論的説明で理解する。 分子軌道論に基づいて有機反応の立体化学を説明できる。
13週 フロンティア軌道について理解する。 フロンティア軌道について説明できる。
14週 フロンティア軌道に支配される反応の種類を学ぶ。 フロンティア軌道に支配される反応の種類を把握している。
15週 フロンティア軌道に支配される反応の特徴を学ぶ。 フロンティア軌道に支配される反応の特徴を説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学σ結合とπ結合について説明できる。5前1,前2,前3
混成軌道を用い物質の形を説明できる。5前2,前3,前4
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。5前3,前4,前5
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。5前4,前5
共鳴構造について説明できる。5前5,前6
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。5前6,前7,前8
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。5前6,前7,前8
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。5前4,前12
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。5前4,前12,前13
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。5前6,前9
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。5前10,前11,前13,前14,前15
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。5前10,前11,前13,前14,前15,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。5前8,前9,前13,前14,前15,後1,後2
反応機構に基づき、生成物が予測できる。5前10,前11,前13,前14,前15,後2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000