到達目標
本科目では、分子の構造や軌道について学ぶことにより電荷の偏りを把握し、有機反応を支配する電子の流れで反応の機構を理解できるようにする。また、反応の推進力となる軌道相互作用について学び、フロンティア軌道に支配される反応についても理解できるようにする。さらに、それらの有機反応を組み合わせて目的の有機化合物を合成する手法を学び、持続可能な社会の実現に貢献する新しい有機材料を創りだすための基礎力を高めることを目標とする。
【ディプロマ・ポリシー及びSDGsとの関係】 ディプロマ・ポリシー: (1), (2), (3) SDGs: 9, 12,13,14,15
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 有機反応の分類を十分に理解し、高度な反応について説明できる。 | 有機反応の分類を理解し、標準的な反応について説明できる。 | 有機反応の分類を理解できず,基礎的なな反応について説明できない。 |
評価項目2 | 有機電子論を十分に理解し、高度な反応について、分子構造から反応性が予測できる。 | 有機電子論を理解し、標準的な反応について、分子構造から反応性が予測できる。 | 有機電子論を理解できず,基礎的な反応について,分子構造から反応性が予測できない。 |
評価項目3 | 高度な有機反応に関して、電子の流れで反応機構が説明できる。 | 標準的な有機反応に関して、電子の流れで反応機構が説明できる。 | 基礎的な有機反応に関しても,電子の流れで反応機構が説明できない。 |
評価項目4 | 有機反応を組み合わせて、効率的で環境負荷の少ない合成経路を設計できる。 | 有機反応を組み合わせて、効率的な合成経路を設計できる。 | 簡単な有機化合物についても,有機反応を組み合わせて合成する経路を設計できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
有機反応の分類とそれに用いる反応試薬について体系的に整理する。また,分子構造と分子軌道をもとに電荷の偏りを把握し、電子の流れを巻矢印で追跡することにより反応機構を正確に記述できるようにする。また、反応の推進力となる軌道間相互作用について解説し、フロンティア軌道に支配される有機反応を理解できるようにする。さらに、目的の有機化合物を、有機反応を組み合わせて、環境負荷が少なく効率的に創るための合成経路の設計について解説する。
授業の進め方・方法:
この科目は、企業で有機機能性材料の研究開発を行っていた教員が、その経験を活かし、有機反応を組み合わせて目的の有機化合物を合成する経路を設計できるようにすることを目標とする学修単位の授業である。科目目標を達成するためには、有機反応の分類とそれに用いる反応試薬を体系的に整理し、電子の流れを巻矢印で追跡することにより反応機構を正確に記述できるようになることが必要である。授業は教科書を中心に行い、授業中に教科書の重要な箇所には印をつけるように言うので、板書内容と併せて重点的に復習すると知識の定着に有効である。
注意点:
本科の有機化学Ⅰ、有機化学Ⅱ、有機化学Ⅲで学んだことがベースになるので、マクマリー有機化学概説を復習をしておくこと。また,量子化学の知識があった方が本科目の内容を理解しやすい。尚、この科目は学修単位の科目である。理解が不十分な章がないようにすることが重要であるので、授業の予習・復習及び演習については、自学自習により取り組み学修すること。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
有機反応の分類について学ぶ。 |
有機反応の分類について説明できる。
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2週 |
有機電子論、および有機反応において反応性を支配する因子について学ぶ。 |
有機電子論、および有機反応において反応性を支配する因子について説明できる。
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3週 |
有機リチウム試薬、Grignard 試薬について学ぶ。 |
有機リチウム試薬、Grignard 試薬について説明できる。
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4週 |
有機銅試薬、有機亜鉛試薬について学ぶ。 |
有機銅試薬、有機亜鉛試薬について説明できる。
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5週 |
エノラート、およびアルドール反応について学ぶ。 |
エノラート、およびアルドール反応について説明できる。
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6週 |
エノラート、およびClaisen 縮合について学ぶ。 |
エノラート、および Claisen 縮合について説明できる。
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7週 |
分子内縮合、およびリチウムエノラートについて学ぶ。 |
分子内縮合、およびリチウムエノラートについて説明できる。
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8週 |
Diels-Alder 反応、シグマトロピー転位,電子環状反応について学ぶ。 |
Diels-Alder 反応、シグマトロピー転位、電子環状反応について説明できる。
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2ndQ |
9週 |
ピナコール反応、アシロイン縮合について学ぶ。 |
ピナコール反応、アシロイン縮合について説明できる。
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10週 |
Wagner-Meerwein 転位、ピナコール転位について学ぶ。 |
Wagner-Meerwein 転位、ピナコール転位について説明できる。
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11週 |
Wolff 転位、ニトレンの転位について学ぶ。 |
Wolff 転位、ニトレンの転位について説明できる。
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12週 |
Beckmann 転位、Baeyer-Villiger 酸化について学ぶ。 |
Beckmann 転位、Baeyer-Villiger 酸化について説明できる。
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13週 |
酸化反応、還元反応について学ぶ。 |
酸化反応、還元反応について説明できる。
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14週 |
有機反応の環境負荷や毒性の評価方法とGreen Chemistryの概念を学ぶ。 |
Green Chemistryの視点から有機反応の環境負荷や毒性の評価ができる。
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15週 |
環境負荷や毒性の低い有機合成の経路設計方法について学ぶ。 |
有機反応を組み合わせて環境負荷や毒性の低い有機合成の経路が設計できる。
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | σ結合とπ結合について説明できる。 | 5 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 5 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 5 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 5 | |
共鳴構造について説明できる。 | 5 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 5 | |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 5 | |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 5 | |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 5 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 5 | |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 5 | |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 5 | |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 5 | |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 5 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |