無機固体化学

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 無機固体化学
科目番号 0032 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 プリント
担当教員 北折 典之

到達目標

前半は、固体の関与する無機反応に関して学習する。後半は、固体無機化合物が示す特性(物性)、例えば磁性、電
気導電性、圧電性および薄膜材料の特長などについて学習する。固体の関与する化学反応、固体物性の基礎を理解
し、身につけることが本教科の目的。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1基本的な点欠陥を図を用いて説明できる。点欠陥の種類について十分に理解している。点欠陥の種類について理解している。本的な点欠陥について十分な説明ができない。
評価項目2電気導電率の温度変化から活性化エネルギーを計算できる。電気導電率の機構と活性化エネルギーの求め方を理解し、活用できる。電気導電率の機構と活性化エネルギーの求め方を理解している。電気導電率の温度変化から活性化エネルギーを計算できない。
評価項目3セラミックスの焼結現象を図を用いて説明できる。セラミックスの焼結現象を理解し、基本的に説明できる。セラミックスの焼結現象を理解し説明できる。セラミックスの焼結現象を説明できない。
評価項目4微粒子の特長を十分説明できる。微粒子の基本的な特長を十分に説明できる。微粒子の基本的な特長を説明できる。微粒子の特長を十分説明できない。
評価項目5電磁気学の基本的な単位を理解し、磁性材料の種類を説明できる。磁性材料の種類を十分に説明できる。磁性材料の種類を説明できる。電磁気学の基本的な単位の理解が不十分で、磁性材料の種類を説明できない。
評価項目6真空を表す単位、真空の特徴を正確に説明できる。真空に関して、十分に説明できる。真空の単位、特徴をおおむね理解している。真空について十分に説明できない。
評価項目7薄膜の基本的な製造プロセスを十分理解している。薄膜の基本的な製造プロセスを簡単に説明できる。薄膜の基本的な製造プロセスをある程度話せる。薄膜の基本的な製造プロセスを十分理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
企業での無機材料の研究開発の経験を活かし、(1)特徴のある固体の関与する無機反応を理解し、(2)固体物性に関して理論的理解と応用例を学習する。
本講義は本科の無機化学をさらに固体に絞って学習する。
授業の進め方・方法:
講義と実際の電子部品などを使ったデモ実験を行う。また、この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習として予習・復習を行うこと。
無機化学の工業上の応用例としては、実際に企業で研究していた焼結体、磁性材料および薄膜技術を活用して授業を行う。
注意点:
本科目は、予習・復習等の自学自習で効果が向上するので、必ず心がけること。自学自習の習慣を身に着けること。
基本的な無機化学を事前に十分学習しておく必要がある。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス これから学ぶ固体無機化学の流れを学ぶ。
2週 格子欠陥(1) 基本的な点欠陥を説明できる。
3週 格子欠陥(2) 欠陥の生成を説明できる。
4週 導電率 電気導電率の測定の意義、測定方法を説明できる。
5週 活性化エネルギー 電気導電率の温度変化から活性化エネルギーを求められる。
6週 トポタキシーと核成長 無機化合物の形骸について説明できる。
7週 焼結現象 セラミックスの焼結現象に関して説明できる。
8週 中間試験 今までに学んだことの整理を行う。
2ndQ
9週 微粒子 微粒子が持つ特徴を理解し、説明できる。
10週 磁性材料 ハードとソフトの磁性について理解し、説明できる。電磁気学の基本的な単位および磁気記録について説明できる。
11週 電子材料(1) 圧電と焦電効果について説明できる。
12週 電子材料(2) 結晶構造に伴う電気特性について説明できる。
13週 真空技術 真空のレベルを表す単位および真空の特徴を説明できる。
14週 薄膜材料 真空技術を利用した、薄膜の製造方法と薄膜の特長について説明できる。
15週 まとめ 固体無機化学のこれまでの学習を整理する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。5
真性半導体の伝導機構について説明できる。5前1
無機材料セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。5
単結晶化、焼結、薄膜化、微粒子化、多孔質化などに必要な材料合成法について説明できる。5
電気・電子系分野電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。5
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。5
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。5
磁気エネルギーを説明できる。5
電子工学結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。5
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。5
真性半導体と不純物半導体を説明できる。5
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。5
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。5
化学・生物系分野無機化学金属結合の形成について理解できる。5
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。5
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。5
物理化学エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。5
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000