応用数理学Ⅱ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用数理学Ⅱ
科目番号 0042 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 参考図書: ニール コブリッツ (著),桜井 幸一 (翻訳)『 数論アルゴリズムと楕円暗号理論入門』 シュプリンガー・フェアラーク東京
担当教員 南出 大樹

到達目標

暗号理論の基礎となっている数論アルゴリズムを扱う。離散数学の復習をおこなった後に,初等整数論の基礎について概説する。公開鍵暗号の具体例を示し,いくつかの素因数分解アルゴリズムを解説する。これらのアルゴリズムの基礎となっている数学について深く理解するとともに,アルゴリズムを実装する上で必要なの技術を身につけることを目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
数論アルゴリズム数論的命題の証明を理解し,アルゴリズムへ応用することができる.数論的命題を理解し,アルゴリズムへ応用することができる.数論的命題を理解し,アルゴリズムで表現することができる.数論的命題を,アルゴリズムで表現することができない.
計算量アルゴリズムの計算量を正確に把握・比較することができる.アルゴリズムの計算量を正確に比較することができる.アルゴリズムの計算量を大きく分類することができる.アルゴリズムの計算量を分類することができない.
素因数分解各種素因数分解法の利点や欠点を理解し,使い分けることができる.各種素因数分解法を用いて,素因数分解できる.素因数分解アルゴリズムを組むことができる.素因数分解アルゴリズムを組むことができない.
暗号理論暗号理論の仕組みを理解し,各種暗号における暗号化と復号化を行うことができる.各種暗号理論における暗号化と復号化を行うことができる.与えられた暗号において,復号することができる.各種暗号において,暗号化・復号化ができない.

学科の到達目標項目との関係

JABEE (c) 説明 閉じる
学習・教育目標 C1 説明 閉じる
学習・教育目標 C14 説明 閉じる

教育方法等

概要:
符号理論や暗号理論との関係から,脚光を浴びている数論アルゴリズムを初歩から系統的かつ総合的に解説する。
〔内容〕数論アルゴリズム/素数判定/素因数分解/離散対数問題/公開鍵暗号/楕円曲線
授業の進め方・方法:
主に講義形式で行う.必要に応じてプリントを配布する.
配布プリントを用いて予習し,授業中に扱った内容については復習しておくこと。
復習時,余裕のある者はアルゴリズムを実装して,その動作を確認すること。
注意点:
この授業では、事前に提示される課題への取り組みが重要となってくる。
課題への取り組みを中心とした自学自習の習慣を身につけること。
数論アルゴリズムの理解について試験を実施する。試験の結果をもって評価する。
質問等があるときは事前にメールでアポイントメントを取ってから研究室を訪問すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 基数,合同式,計算量 整数に関する基礎事項、除法の定理を理解し,計算量の概念を理解する.
2週 ユークリッド互除法,中国剰余定理 合同一次方程式を解くことができる
3週 フェルマーの小定理(オイラーの定理) フェルマーの小定理を用いて,素数判定ができる.
4週 有限体,平方剰余相互法則 ルジャンドル記号とヤコビ記号を用いて,剰余判定ができる.
5週 簡単な素数判定と擬素数 素数判定と擬素数の関係を理解する.
6週 素因数分解1 モンテカルロ法,フェルマー法を用いて,素因数分解を行うことができる
7週 素因数分解2 連分数法,2次ふるい法を用いて,素因数分解を行うことができる
8週 中間試験
2ndQ
9週 暗号理論入門 簡単な暗号系を理解し,行列による暗号化と復号化を行うことができる.
10週 公開鍵暗号,RSA暗号 公開鍵暗号の仕組みを理解し,RSA暗号による暗号化と復号化を行うことができる.
11週 離散対数問題 離散対数問題の計算量的難しさを理解し,簡単な計算を行うことができる.
12週 離散対数暗号 離散対数暗号による暗号化と復号化を行うことができる.
13週 楕円曲線入門 楕円曲線の初歩を理解し,簡単な計算を行うことができる.
14週 楕円曲線を用いた素数判定と素因数分解 楕円曲線を用いた素数判定と素因数分解を行うことができる
15週 楕円曲線暗号 楕円曲線暗号による暗号化と復号化を行うことができる.
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合50000050100
基礎的能力50000050100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000