無機化学特論

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 無機化学特論
科目番号 0055 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 村石冶人 著 「基礎固体化学」 三共出版 / 他に補助プリントを適宜配布する
担当教員 伊藤 未希雄

到達目標

 物質の示す様々な性質:電気伝導性、誘電性、光学的性質などの起源、その定量的な表し方およびこれらの性質を利用したデバイスについて理解するのが本科目の目標である。これらの物性には相互に関係しているものが少なくない。そのことに気づくことができれば、本科目の内容についてより深く理解したことになる。また物質の持つ性質を活用し、それらを持続可能な社会のためのエネルギー供給のため、またインフラ構築のための材料として提供できることを理解する。

【ディプロマ・ポリシー及びSDGsとの関係】ディプロマ・ポリシー:(2), (3), SDGs:7, 9, 11

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
電子構造 右記に加えて、エネルギーの単位変換、エネルギーと等価な光の振動数、温度との間の数値変換ができる 金属・半導体・絶縁体のバンド構造の違いを説明できる。バンドギャップ、フェルミ準位を説明できる 分子軌道図を描き分子の結合定数を求めることができる金属・半導体・絶縁体のバンド構造の違いを説明できる。バンドギャップ、フェルミ準位を説明できる。 分子軌道図を描き分子の結合定数を求めることができる分子軌道図を描き分子の結合定数を求めることができる金属・半導体・絶縁体のバンド構造の違いを説明できない
電気伝導性直接型・間接型半導体の違いを説明できる。 固体のイオン伝導とそれを利用したデバイスについて説明できる 固体を電気伝導性により分類できる キャリア移動度、電気伝導率など関係する諸量の計算ができる固体を電気伝導性により分類できる キャリア移動度、電気伝導率など関係する諸量の計算ができる固体を電気伝導性により分類できる。 半導体の電子構造を説明できる。固体の電気学的性質の説明ができない
誘電性誘電性に関する諸量を数式を用いて表すことができる 固体の誘電性を利用したデバイスとその動作原理について説明できる 固体内の分極の種類及び誘電体の分類ができる固体の誘電性を利用したデバイスとその動作原理について説明できる 固体内の分極の種類及び誘電体の分類ができる固体内の分極の種類及び誘電体の分類ができる固体内の分極の種類及び誘電体の分類ができない
光学的性質固体に生じる様々な光学現象の種類を説明できる 光学現象を数式を用いた定量的な表現ができる 光学現象を利用したデバイスとその動作原理について説明できる。また、複雑な光学現象について説明できる。固体に生じる様々な光学現象の種類を説明できる 光学現象を数式を用いた定量的な表現ができる固体に生じる様々な光学現象の種類を説明できる固体の光学現象を説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物質工学分野の研究開発において、材料の示す様々な物性について理解し計測する技術は必須のツールである。
正しい計測とデータの利用のためには、その背景にある原理の理解が必要不可欠である。
本科目ではそれぞれの物性の側面から物質を理解し、物性に関する知識を広げることを目的とする。
座学の授業を基本とし、分野ごとに説明と演習を繰り返しながら進める。
本科目は幅広い物性に関する科目であり、その内容は一部復習に相当する内容を含む。既習の分野を中心に学習を進めることが求められる。それ以外の分野においても、積極的に自学自習に取り組むことが求められる。
授業の進め方・方法:
座学の講義を基本とし、ディスカッションや文献調査を合わせて実施する。
この科目は学修単位科目のため、授業時間での学習内容に合わせた事前・事後学習として予習・復習を行うこと。また授業内容に関連した課題を課し、それらの取り組み状況を総合的に判断して成績評価を行う。
注意点:
物理化学、無機化学および物理の物質の構造および電磁気学に関する単元を復習しておくこと。
本科目の単位を修得するためには指示された課題への取り組みだけでなく、参考書等の文献調査、学習内容の見直し等の自学自習を常に行っていくことが必要である。自学自習の習慣を身に着けて学習内容の定着を図ることが求められる。
本科の物理化学の教科書および参考書が本科目の理解の助けになる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション
電子構造 1 (分子軌道)
カリキュラム内での本科目の位置づけを認識できる。
2原子分子の分子軌道のエネルギー図を描き結合定数を説明できる。
分子の電子構造を基に、固体の電子構造の成り立ちを説明できる。
2週 電子構造 2 電磁波のエネルギーを振動数、温度との間で数値の変換ができる。
金属・半導体・絶縁体などの電子構造の違いを説明できる。
バンドギャップ・フェルミ準位などの概念を説明できる。
3週 電気的性質(電気伝導性) 1 電気伝導性による物質の分類ができる。
キャリア密度、移動度、伝導率、抵抗率の間の関係式を用いて、相互に値を
変換し求めることができる。
4週 電気的性質(電気伝導性) 2 真性半導体と不純物半導体の電子構造を説明できる。
直接遷移・間接遷移の違いを説明できる。
5週 電気的性質(電気伝導性) 3 pn接合への光・電気の作用を説明できる。
半導体の光応答を利用した様々なデバイスの動作原理を説明できる。
6週 電気的性質(電気伝導性) 4 固体のイオン伝導とそれを利用したデバイスの動作原理を説明できる。
金属の電気伝導性と熱伝導性の関係について説明できる。
7週 電気的性質(誘電性) 1 電気双極子モーメントと固体の分極を説明できる。
8週 電気的性質(誘電性) 2 固体の分極の種類を説明できる。
誘電体の分類を説明できる。
コンデンサーの動作の説明ができる。
2ndQ
9週 電気的性質(誘電性) 3 誘電分散の説明ができる。
誘電体を用いたデバイスとその動作を説明できる。
10週 光学的性質 1 物質のエネルギー準位の構造を説明できる。
様々な準位間の遷移過程(特に光化学的な)を説明できる。
11週 光学的性質 2 光の吸収・放出等の種類、確率を説明できる。
12週 光学的性質 3 吸収・発光などの固体と光の相互作用による現象を説明できる。
13週 光学的性質 4 散乱や高次の光学過程について説明できる。
14週 光学的性質 5 Snellの式およびFresnelの式を用いて光の屈折・反射について説明できる。
15週 試験 筆記テストにより本授業の理解度を確認する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合602000020100
基礎的能力0000000
専門的能力602000020100
分野横断的能力000