到達目標
(科目コード:11530 英語名:Fluid Dynamics Ⅱ)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育到達目標との関連の順で次に示す。
①二次元における流体の運動と基礎式を理解する。40%(d1)(e2)
②粘性流体の諸性質,特に境界層の概念と性質を理解する。40%(d1)(e2)
③乱流の概念を理解し,代表的な流れや現象を理解する。20%(d1)
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 二次元における流体の運動と基礎式を詳細に理解する。 | 二次元における流体の運動と基礎式を理解する。 | 二次元における流体の運動と基礎式を概ね理解する。 | 左記に達していない。 |
評価項目2 | 粘性流体の諸性質,特に境界層の概念と性質を詳細に理解する。 | 粘性流体の諸性質,特に境界層の概念と性質を理解する。 | 粘性流体の諸性質,特に境界層の概念と性質を概ね理解する。 | 左記に達していない。 |
評価項目3 | 乱流の概念を理解し,代表的な流れや現象を詳細に理解する。 | 乱流の概念を理解し,代表的な流れや現象を理解する。 | 乱流の概念を概ね理解し,代表的な流れや現象を概ね理解する。 | 左記に達していない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
流体力学IA、IBでは、非粘性の流体(完全流体)を中心に学習したが、実在の流体は少なからず粘性を持ち、その結果完全流体とは大きく異なる流れとなる。一方流体中の物体表面の流れは、境界層と呼ばれる薄い層を除けば非粘性の流れで近似できる。このような粘性流体の基礎的な性質と,流れを記述する基礎方程式について講義し、また代表的な粘性流の例を紹介する。
〇関連する科目:流体力学IA、B(前年度履修)、流体工学(専1履修)、レオロジー(専2履修)
授業の進め方・方法:
プロジェクターを使って説明するので、授業に集中して聞くこと。毎回、小問題に取り組んでもらい、内容の区切りで理解を深めるために課題を課す。最後に演習にも取り組んでもらう。
注意点:
流れの基礎式を理解するために、微分・積分、流体力学IA、IBの内容を復習しておくこと、問題を解くだけでなく、現象を理解することも重要である。「伝熱工学」は境界層の知識が必要になるので、受講希望者は本科目を履修することが望ましい。
本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ遠隔授業として実施するものである。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 数学的取り扱いと、二次元流れへの拡張 |
授業を進めるうえで必要な数学的記述方法を学び、流れを二次元で扱うことを理解する。
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2週 |
流体要素の伸縮・せん断・回転 |
流体要素の変形を理解する。
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3週 |
二次元流れの連続の式と運動方程式 |
二次元流れの基礎式を理解する。
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4週 |
二次元流れのベルヌーイの定理 |
二次元流れの基礎式を理解する。
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5週 |
速度ポテンシャルと流れ関数 |
速度ポテンシャルと流れ関数の定義と扱い方を理解する。
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6週 |
渦度と循環 |
循環の定義と、渦度との関係を理解する。
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7週 |
粘性流体の基本的性質 |
二次元流れにおける、粘性によるせん断応力の定義を理解する。
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8週 |
ナヴィエ・ストークス方程式 |
粘性を考慮した運動方程式を理解する。
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2ndQ |
9週 |
ナヴィエ・ストークス方程式の厳密解 |
ナヴィエ・ストークス方程式の厳密解の導出方法を理解する。
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10週 |
境界層の概念,境界層の特性量 |
境界層の概念を理解し、特性量としての厚さの定義・導出方法を学ぶ。
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11週 |
境界層方程式,境界層のはく離 |
境界層のはく離現象を理解する。
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12週 |
ブラジウスの厳密解,運動量積分方程式 |
境界層厚さのブラジウスの厳密解、運動量積分方程式の導出と抗力の求め方を学ぶ。
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13週 |
物体周りの流れ |
物体周りの流れに生じる現象を理解する。
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14週 |
揚力と抗力 |
物体に作用する揚力と抗力の発生、導出方法を理解する。
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15週 |
乱流の基礎,壁乱流,自由乱流 |
乱流、特に壁乱流や、噴流・後流などの自由乱流について理解する。
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16週 |
演習 |
円柱周りの圧力測定実験の結果を用いて、円柱の抗力を求める演習に取り組み、導出方法を理解する。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。 | 4 | 前12,前16 |
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。 | 4 | 前9,前10,前12,前13,前15,前16 |
評価割合
| 小問題 | レポート | 演習 | | | | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 40 | 20 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 30 | 20 | 10 | 0 | 0 | 0 | 60 |
専門的能力 | 10 | 20 | 10 | 0 | 0 | 0 | 40 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |