ものづくり技術実習Ⅱ

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 ものづくり技術実習Ⅱ
科目番号 2 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 電気電子システム工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 ものづくり技術実習Ⅱテキスト
担当教員 樺澤 辰也,島宗 洋介,竹内 麻希子,電気電子システム工学科 全教員,平井 誠,和久井 直樹,内田 雄大

到達目標

(科目コード:21020、英語名:Training of Manufacturing II)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を習得する。:30%<(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2)>
②電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して理解する。:30%<(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2)>
③実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって説明できる。:40%<(b2)(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2)>

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を詳細に習得する。回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を習得する。回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を概ね習得する。左記に達していない。
評価項目2電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して詳細に理解する。電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して理解する。電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して概ね理解する。左記に達していない。
評価項目3実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって詳細に説明できる。実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって説明できる。実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって概ね説明できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気電子工学を学ぶための総合的ガイダンスを行い、それを通して電気電子工学についての理解を深めるとともに、高専での学習の目標と方法などを把握する。また各テーマにおいて、工学の原点である「ものづくり」を体験することにより、実際の電気電子工学応用製品の「もの」や「しくみ」に触れる。特に、電子工作では教材を組み立てるばかりでなくそこに創意工夫を凝らすことにより、自主性、企画性、デザイン能力、柔軟で総合的な判断能力を養う。また、電子工作の成果報告会を開催し、プレゼンテーション技術を身につけるとともにコミュニケーション能力を養う。
授業の進め方・方法:
自分の身の回りで電気電子工学がどのように応用されているか注意深く観察すること。また、電気電子工学に関するさまざまなトピックについて広く読書すること。
注意点:
実験テーマごとに提出されたレポートに対して、実験に取り組む姿勢や態度および理解度で評価する(100%)。最終的には、これらの評価を基に学科内会議で評点を決定し、50 点以上で合格とする。なお実験実習であることから全てのテーマに対して出席は必須とし、遅刻、無断欠席、ならびにレポート提出の期限遅れに対しては、評価点を大幅に減点することとする。本科目は原則、面接授業として実施するが、感染症拡大状況によっては必要に応じ遠隔授業として実施する場合がある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 前期で行う実験の概要や注意点、レポート作成方法について理解する。
2週 レポート作成技術 TEXによる報告書の作成を理解する。
TEXの基本的な使い方を理解する。
3週 レポート作成技術 TEXによる報告書の作成を理解する。
数式の書き方を理解する。
4週 レポート作成技術 TEXによる報告書の作成を理解する。
図、表、画像ファイルの挿入方法を理解する。
5週 レポート作成技術 TEXによる報告書の作成を理解する。
参考文献リストの挿入方法を理解する。
6週 電気計測の基礎 オームの法則に関して直列・並列接続の合成抵抗を電圧計および電流計を用いて計測し、理論値と比較する。
7週 電気計測の基礎 重ね合わせの理、テブナンの定理に関して電圧計と電流計を用いて電流値を計測し、理論値との比較を行う。
8週 デジタル・オシロスコープの使い方と活用 オシロスコープの基本的な使い方や動作原理を理解し、回路の各所を可動コイル型直流電圧計や電子電圧計を用いて計測し、オシロスコープにより波形観測を行う.直流電圧の測定、交流電圧の測定が行える。
2ndQ
9週 デジタル・オシロスコープの使い方と活用 オシロスコープと低周波発信器を用いて、周期・周波数の測定、パルス波形(矩形波)の測定、リサージュ波形を観測し位相差の測定が行える。
10週 光に乗せて音を飛ばそう 発光ダイオードの動作原理を理解するとともに変調の仕組みを理解する.電子ブロックを用いて回路を組み立てる。携帯電話の電波でLEDを光らせる回路の作製を行う。
11週 光に乗せて音を飛ばそう 発光ダイオードの動作原理を理解するとともに変調の仕組みを理解する.電子ブロックを用いて回路を組み立てる。光電話、光ファイバー通信の回路を作製する。
12週 LED調光回路(トランジスタの利用) トランジスタの特性や使用方法をLED調光を通して習熟する。タイマ回路、電流増幅回路の作製と回路の電流計測を行う。
13週 LED調光回路(トランジスタの利用) トランジスタの特性や使用方法をLED調光を通して習熟する。LED調光回路を作製し、トランジスタの特性を理解する。
14週 レポート指導 実験結果(図、表)や考察の書き方について、振り返りを行う。
15週 発展課題 これまでに行った実験が実社会においてどのように活用されてるのか理解する。
16週 実験指導(前期) 実験全体の振り返り
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 後期で行う実験の概要や注意点、レポート作成方法について理解する。
2週 組込み制御技術の基礎 マイコン(GR-SAKURA)を用いて、I/Oなどプログラミングについて実習を行う。マイコンの使い方、プログラミングの仕方、コンパイルの仕方など、マイコンを使うための基礎を理解する。
3週 組込み制御技術の基礎 マイコンのI/OとCdsやLEDを結ぶための電気回路をブレットボードを用いて作製し、マイコンとつなぐ。Cdsを用いた入力やLEDやブザーへの出力を通してI/Oの仕組み、LEDの点灯制御をプログラミングを通して学ぶ。
4週 組込み制御技術の基礎 Cdsを用いた入力やLEDやブザーへの出力、プログラミングを通して発展的な課題を行う。
5週 交流電圧・電流をつくる 交流発信器に、RとLもしくはCを接続し、オシロスコープにより波形観測を行い、電圧と電流の位相の関係を学ぶ。
6週 交流電圧・電流をつくる RL回路、RC回路を作製し、周波数を変化させ、共振周波数周囲での波形観察を行う。
7週 交流電圧・電流をつくる 観察された電圧、電流波形と理論値の比較を行い考察する。
8週 マルチバイブレータ回路 マルチバイブレータの動作原理を理解する。
ユニバーサル基板上に回路を作製する。
4thQ
9週 マルチバイブレータ回路 作製したマルチバイブレータ回路の波形をオシロスコープを用いて観測を行う。
10週 マルチバイブレータ回路 観測した波形より、回路の動作原理と点灯時間の制御方法について理解を深める。
11週 AIR-Tech リテラシ
IoT 実験①
IoTの基本的要素であるマイコンの動作原理について理解を深める
12週 AIR-Tech リテラシ
IoT 実験②
IoTの基本的要素であるデータの送受信について理解を深める
13週 AIR-Tech リテラシ
IoT 実験③
データを収集、送信、可視化する一連の動作を連携させたシステムを構築し、IoTの原理について理解を深め、応用方法について検討し課題解決を行うモデルを提案する。
14週 発展課題、レポート作製 得られたデータをレポートにまとめる。
15週 レポート指導 実験結果(図、表)や考察の書き方について、振り返りを行う。これまでに行った実験が実社会においてどのように活用されてるのか理解する。
16週 実験指導 実験全体の振り返り

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。2
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。2
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。2
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。2前6
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。2
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。2
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3前6
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3前6
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3前6
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3前6
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。2
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。2
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。2
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。2
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。2
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。2
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。2
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。2
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。1
理想変成器を説明できる。1
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。1
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。1
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。1
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。1
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。1
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。1
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。1
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。1
計測SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。1
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。1
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。3
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。3
オシロスコープの動作原理を説明できる。3
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。2
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。2
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。2前10
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。2
キルヒホッフの法則を適用し、実験結果を考察できる。2
分流・分圧の関係を適用し、実験結果を考察できる。2
ブリッジ回路の平衡条件を適用し、実験結果を考察できる。2
重ねの理を適用し、実験結果を考察できる。2
インピーダンスの周波数特性を考慮し、実験結果を考察できる。1
共振について、実験結果を考察できる。1
増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。1
論理回路の動作について実験結果を考察できる。1
ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。2
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。2
ディジタルICの使用方法を習得する。2

評価割合

実習レポート合計
総合評価割合2575100
基礎的能力252550
専門的能力05050
分野横断的能力000