電気電子システム工学実験Ⅰ

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電気電子システム工学実験Ⅰ
科目番号 3 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 電気電子システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 電気電子システム工学実験Ⅰテキスト(前期・後期)
担当教員 電気電子システム工学科 全教員,竹内 麻希子,矢野 昌平,平井 誠,島宗 洋介,田村 文裕,内田 雄大

到達目標

(科目コード:21030、英語名:Experiments in Electric Engineering Ⅰ)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を習得する。:15%<(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2)>
②電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して理解する。:15%<(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2)>
③与えられた課題を解決する為のソースプログラムを、開発環境を用いて開発できる。:30%<(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2)>
④実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって説明できる。:40%<(b2)(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2)>

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を詳細に習得する。回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を習得する。回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を概ね習得する。左記に達していない。
評価項目2電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して詳細に理解する。電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して理解する。電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して概ね理解する。左記に達していない。
評価項目3与えられた課題を解決する為のソースプログラムを、開発環境を用いて詳細に開発できる。与えられた課題を解決する為のソースプログラムを、開発環境を用いて開発できる。与えられた課題を解決する為のソースプログラムを、開発環境を用いて概ね開発できる。左記に達していない。
評価項目4実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって詳細に説明できる。実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって説明できる。実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって概ね説明できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
講義を主体とする理論の学習と実験による理論の実証とを有機的に結合させて学習の理解を深め一層の定着を図る。受講に際しては、事前に各テーマの目的を理解し、実験を通して正しい観察力や直感力を身につけてもらう。実験終了後は、直ちに測定データのグラフ化を行い、グラフから読み取れる実験結果に自分なりの検討・考察をまとめる必要がある。
授業の進め方・方法:
各テーマには、基礎的なことから高度な内容のものまでが含まれている。実験内容で良くわからないことがあれば、どんどん質問することである。この授業が技術者としての基礎的能力や自主性の向上に役立つことを願っている。
注意点:
実験テーマごとに提出されたレポートに対して、実験に取り組む姿勢や態度および理解度で評価する(100%)。最終的には、これらの評価を基に学科内会議で評点を決定し、50 点以上で合格とする。なお実験実習であることから全てのテーマに対して出席は必須とし、遅刻、無断欠席、ならびにレポート提出の期限遅れに対しては、評価点を大幅に減点することとする。本科目は原則、面接授業として実施するが、感染症拡大状況によっては必要に応じ遠隔授業として実施する場合がある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 前期で行う実験の概要や注意点、レポート作成方法について理解する。
2週 電気回路の基礎(受動素子測定の基礎) ホイートストン・ブリッジ法を用いてLやCの測定を行う。
Qメータ法を用いて、Cの測定を行う。
3週 電気回路の基礎(交流回路の基礎実験、RL、RC直列回路)
交流回路におけるR、L、Cの性質を理解する。RL、RC直列回路、RL、RC並列回路を通して、電圧と電流間のベクトル図、位相差を求める。RL、RC直列回路の基礎を理解する。
4週 電気回路の基礎(交流回路の基礎実験、RL、RC並列回路) 交流回路におけるR、L、Cの性質を理解する。RL、RC直列回路、RL、RC並列回路を通して、電圧と電流間のベクトル図、位相差を求める。RL、RC並列回路の基礎を理解する。
5週 電気回路の基礎(RLC回路の定常特性、R-C、R-L回路) R-C、R-L、R-L-C回路の定常特性を測定し、各素子の性質を理解する。R-C、R-L回路の定常特性について理解する。
6週 電気回路の基礎(RLC回路の定常特性、R-L-C回路) R-C、R-L、R-L-C回路の定常特性を測定し、各素子の性質を理解する。R-L-C回路の定常特性について理解する。
7週 組み込み制御技術の基礎 LEGOマインドストーム、ROBOT-Cを用いてLEGOロボットの計測・制御を行う。各種センサー(超音波センサ、カラーセンサー、音センサー)の特性を計測し、表やグラフを作成する。
8週 組み込み制御技術の基礎 ロボットの組み立てる。ロボット動作のための基礎プログラムの動作確認を行う。課題コースを走破するプログラミングを行う。
2ndQ
9週 組み込み制御技術の基礎 ライントレースをするプログラムを作成する。
10週 組み込み制御技術の基礎 PID制御を取り入れたプログラムを作成する。
11週 組み込み制御技術の基礎 自分が作製したロボットとプログラムについて発表を行う。
12週 レポート作成技術① TEXによる報告書の作成を理解する。
TEXの基本的な使い方を理解する。
13週 レポート作成技術② TEXによる報告書の作成を理解する。
数式の書き方を理解する。
14週 レポート作成技術③ TEXによる報告書の作成を理解する。
図、表、画像ファイル、参考文献の挿入方法を理解する。
15週 レポート指導 実験結果(図、表)や考察の書き方について、振り返りを行う。
16週 実験指導(前期) 実験全体を振り返る。
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 後期で行う実験の概要や注意点、レポート作成方法について理解する。
2週 デジタル回路(インバータに関する実験) インバータ専用ICについて調べ、その利用法を考え、動作特性を実験することにより、デジタルICに関する実践力を身に付ける。
3週 デジタル回路(カウンタに関する実験) マイコンシステムではパルス数やスイッチを押した数などをカウントしたい場合がある。このとき便利なICが74LS90である。これを使って、カウンタ回路を構成し、動作を確認する。また、回路構成で重要なことは雑音の処理である。ここではチャタリングと呼ばれる不規則なパルスが発生することを確認するとともに、そのハード的な除去法について学ぶ。
4週 デジタル回路(ブレッドボードによる回路作製) 目に見えない電気のしくみは、頭で考えてもなかなか理解できないものである。だから、手で触れて動かして理解することが重要である。NOT回路の作製。
実験を通して、それぞれの回路の動作について理解を深める。
5週 デジタル回路(NOT、NAND, NOR回路の作製) インバータ素子を使ったマルチバイブレータを作る。
NOT、NAND, NOR回路の作製。
実験を通して、それぞれの回路の動作について理解を深める。
6週 デジタル回路(RSフリップ・フロップ回路、カウンタ回路) RSフリップ・フロップ回路の作製。カウンタ回路の作製.実験を通して、それぞれの回路の動作について理解を深める。
7週 デジタル回路(1桁BCDカウンタ回路) 1桁BCDカウンタ回路の作製、フリッカー回路の実験を行う。実験を通して、それぞれの回路の動作について理解を深める。
8週 レポート指導 これまでに作成したレポートについて、評価を行った結果についてついて講評するとともに、より良いレポート作成の手法について理解する。
4thQ
9週 組み込みの応用 高専ボードを用いてアセンブリ言語を学ぶ.既定のプログラムをハンドアセンブリにより入力し、動作確認を行う。高専ボードを使いこなせるようにする。
10週 組み込みの応用(LED点灯制御) LED制御のプログラムを考え、高専ボードに入力し、動作確認を行う。
11週 組み込みの応用(スイッチを用いたLED制御) スイッチを用いたLED制御のプログラムを考え、高専ボードに入力し、動作確認を行う。
12週 組み込みの応用(AD制御) ADの入力に応じて、LEDに表示するプログラムの作成を行う。
13週 組み込みの応用(サブルーチン) サブルーチンコールを用いてタイマー制御を行う。
14週 組み込みの応用(発展課題) これまでに学んだアセンブリを駆使して、新しいプログラムを考案し、動作を確認する。
15週 レポート指導 実験結果(図、表)や考察の書き方について、振り返りを行う。
16週 実験指導 実験全体を振り返る。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。3
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。3
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。3
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。3
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。3
キルヒホッフの法則を適用し、実験結果を考察できる。4
分流・分圧の関係を適用し、実験結果を考察できる。4
ブリッジ回路の平衡条件を適用し、実験結果を考察できる。4
重ねの理を適用し、実験結果を考察できる。4
インピーダンスの周波数特性を考慮し、実験結果を考察できる。4
共振について、実験結果を考察できる。4
増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。3
論理回路の動作について実験結果を考察できる。3
ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。3
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。3
ディジタルICの使用方法を習得する。3

評価割合

実験レポート合計
総合評価割合4060100
基礎的能力20020
専門的能力206080
分野横断的能力000