電気電子計測

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電気電子計測
科目番号 0085 科目区分 専門 / 必履修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「電気・電子計測」/森北出版
担当教員 片桐 裕則

到達目標

この科目は長岡高専の教育目標の(C)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①基本指示計器の動作原理と測定可能範囲を理解する。25%(c2)、②電流・電圧測定における問題点を理解し、その対策法を修得する。25%(c2)、③電力、電力量測定の基本原理とその誤差対策を理解する。25%(c2)、④抵抗・インピーダンス測定における問題点を理解し、その対策法を修得する。25%(c2)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1基本指示計器の動作原理と測定可能範囲を理解する。基本指示計器の動作原理と測定可能範囲を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目2電流・電圧測定における問題点を理解し、その対策法を修得する。電流・電圧測定における問題点を概ね理解し、その対策法の概略を修得する。左記に達していない。
評価項目3電力、電力量測定の基本原理とその誤差対策を理解する。電力、電力量測定の基本原理とその誤差対策を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目4抵抗・インピーダンス測定における問題点を理解し、その対策法を修得する。抵抗・インピーダンス測定における問題点を概ね理解し、その対策法の概略を修得する。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
現代の電気電子工学のすばらしい発展の基をなしているものは電気電子計測であって、しかも電気電子工学のいずれの分野でも計測に関係しないところはほとんどない。従って、電気電子計測は電気電子工学を学ぶ学生にとって最も重要な基礎科目の一つである。本授業では、現在製造されている多数の計測器や測定方法等の羅列ではなく、主として計測器の共通的原理や電気電子計測の基礎的事項を理解することを目的とする。
 ○関連する科目:数学,電気電子工学基礎(1年),基礎電気回路(2年),電気数学(2年)
授業の進め方・方法:
適宜授業内容に沿った小テストを行い、理解程度を把握するとともに、学力の向上に努める。
注意点:
指示計器の基本は、人間の5感で感じられない電気的な量で機械的なメータを振らせることにある。従って、一般物理の知識(特に力と物体の運動、電気と電流の作用)が必要不可欠である。また、2年の「基礎電気回路」の内容をもう一度復習してから受講することが望ましい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 測定値と誤差 誤差と補正を理解し、誤差百分率の概念をうる。
2週 測定値の処理、誤差の伝搬 誤差の伝搬則を理解し、有効数字の概念をうる。
3週 電気計器、電子計器 計測手段の各種分類方法を理解する。
4週 可動コイル形計器1 稼働コイル型景気を動作原理を理解する。周期関数の平均値を定義式から算出する。
5週 可動コイル形計器2 分流器・倍率器を用いいた測定範囲の拡大を理解する。
6週 可動鉄片形計器 可動鉄片形計器の動作原理を理解し、定義式より実効値の算出手法を学ぶ。
7週 前期中間試験
8週 電流力計形計器・整流形計器 電流力計形計器・整流形計器の動作原理を理解する。
2ndQ
9週 熱電形計器・静電型計器 熱電形計器・静電型計器の動作原理を理解する。
10週 誘導形計器 誘導形計器の動作原理を理解する。
11週 電流・電圧測定 指示計器を用いた電流・電圧測定についてのまとめを行う。
12週 高電圧の測定 容量型変圧器、PT(計器用変圧器)を用いた高電圧の測定手法を理解する。
13週 大電流の測定 CT(計器用変流器)等を用いた大電流測定手法を理解する。
14週 特殊な測定法 ピーク値測定等の特殊測定手法及び、電子式計器の基礎を理解する。
15週 試験解説と発展授業
16週
後期
3rdQ
1週 直流電力・単相交流電力の測定 直流電力・単相交流電力の測定手法を理解する。
2週 三相交流電力・無効電力の測定 三相交流電力・無効電力の測定手法を理解する。
3週 力率の測定 力率の測定手法を理解する。
4週 電力量計 移動磁界による駆動トルクの発生原理を理解する。
5週 電力量計 移動磁界を用いた電力量計の動作原理を理解する。
6週 後期中間試験
7週 中位抵抗の測定 電圧降下法、テスター等による中位抵抗の測定手法を理解する。
8週 低抵抗の測定 4端子測定、ダブルブリッジ法等の底抵抗測定手法を理解する。
4thQ
9週 高抵抗の測定 高抵抗測定の原理を理解する。
10週 特殊抵抗の測定 接地抵抗、電解液、半導体ウェハー等の低効率(導電率)測定す湯法を理解する。
11週 インピーダンス測定1 ブリッジ、Qメータを用いたインピーダンス測定手法を理解する。
12週 磁束・磁界の測定 磁針、ホール素子を用いた磁束・磁界の測定手法を理解する。
13週 磁化特性と鉄損 エプスタイン法による鉄損の測定手法を理解する。
14週 波形の観測と記録 オシロスコープの動作原理と観測手法を理解する。
15週 試験解説と発展授業
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3前1
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3前4
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3前5
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3前5
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。3前5
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3後8
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。3後1,後5
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3前6,前8,前9,前10
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3前6
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3後11
瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3後1
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3後1
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3後1
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。3後1
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3後2
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3後2
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。3後2
重ねの理やテブナンの定理等を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。3後2
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。2後11
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。2後11
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3後1
電磁気静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。3後11
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3後11
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3後12
自己誘導と相互誘導を説明でき、自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる。3後12
磁気エネルギーを説明できる。1後12
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。2後2
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。1後2
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。1前12,前13
計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。3前3
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。3前1,前2
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。3前2
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。3前2
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。3前5
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。3前14
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。3後8
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。3後11
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。3後5
電力量の測定原理を説明できる。3後4,後5
オシロスコープの動作原理を説明できる。3後14
オシロスコープを用いた波形観測(振幅、周期、周波数)の方法を説明できる。3後14

評価割合

前期中間試験前期末試験後期中間試験学年末試験ポートフォリオその他合計
総合評価割合1020304000100
基礎的能力51015200050
専門的能力51015200050
分野横断的能力0000000