到達目標
(科目コード:21611,英語名:Electrical Materials I)
本科目は長岡高専の教育目標の(C)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①個体の結合の種類とバンド理論を理解する。40% (c2)
②半導体の電気伝導機構とpn接合による整流作用を理解する。60%(c2)
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 個体の結合の種類とバンド理論を詳細に理解し、説明することができる。 | 個体の結合の種類とバンド理論を、理解できる。 | 個体の結合の種類とバンド理論を、概ね理解できる。 | 左記に達していない。 |
評価項目2 | 半導体の電気伝導機構とpn接合による整流作用を詳細に理解し、説明することができる。 | 半導体の電気伝導機構とpn接合による整流作用を、理解できる。 | 半導体の電気伝導機構とpn接合による整流作用を、概ね理解できる。 | 左記に達していない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
20世紀後半から現在に至る電気・電子工学の急速な発展は、半導体物性などの材料物性学の発展と材料制御技術の進歩におうところが大である。今後さらに新しい電気・電子製品を開発するには、電気・電子材料の十分な理解と適正な高性能材料の開発・選定がますます重要になってくる。そこで、個々の材料に対する理解だけでなく、材料全体について包括的な理解をうることを目標とする。
〇関連する科目:電子デバイス(次年度履修)
授業の進め方・方法:
固体物質に共通する基本的事項を学習した後、現在理論的にも実用的にも最も重要と思われる半導体の基礎物性とpn接合を中心に学習する。この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポート課題などを実施する。
注意点:
材料学は、従来からある材料の新しい利用と新しい材料の研究開発を目的としている。特に電気・電子材料では、特性的に広い分野(電気・電子工学、金属工学、数学、物理学、化学)に関してかなり深い理解が必要となる。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
電気電子材料の基礎(ボーアの量子化条件) |
電子の電荷量や質量などの基本性質を理解する。 エレクトロンボルトの定義を理解し、単位換算等の計算が できる。 課題:基本的諸量の計算と単位換算の演習
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2週 |
電気電子材料の基礎(原子の結合) |
原子の構造、パウリの排他律原子の電子配置を理解する。 課題:任意原子における電子配置の演習
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3週 |
電気電子材料の基礎(各種の分布則) |
フェルミディラック分布を理解する。 課題:任意の温度におけるフェルミディラック分布の図示
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4週 |
電気電子材料の基礎(バンド理論 1) |
固体におけるエネルギーバンドの形成を理解する。 課題:エネルギーバンド形成過程の説明
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5週 |
電気電子材料の基礎(バンド理論 2) |
エネルギーバンド図における金属と絶縁体の違いを理解す る。 課題:バンド図による金属と絶縁体の区別
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6週 |
中間試験 |
試験時間:80分
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7週 |
半導体材料の性質(真性半導体) |
真性半導体を理解し、エネルギーバンド図との関連を理解 する。 課題:真性半導体におけるバンド図の説明
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8週 |
半導体材料の性質 (不純物半導体) |
不純物半導体を理解し、エネルギーバンド図との関連を理 解する。 課題:バンドにおけるフェルミ準位と伝導型の関連の説明
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4thQ |
9週 |
半導体材料の性質1(少数キャリアのふるまい) |
過剰少数キャリアの拡散長、寿命を理解する。 課題:過剰少数キャリアの拡散長、寿命に関する課題
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10週 |
半導体材料の性質2(ホール効果) |
ホール効果を理解し,物性量の評価ができる。 課題:ホール効果を用いた移動度の算出の説明
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11週 |
半導体材料のデバイス応用(整流作用 1) |
エネルギーバンド図を用いてショットキー接触の電流―電 圧特性を理解する。 課題:バンド図を用いたショットキー接触のI-V特性の説明
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12週 |
半導体材料のデバイス応用(整流作用 2) |
エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を理 解する。 課題:バンド図を用いたpn接合のI-V特性の説明
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13週 |
半導体材料のデバイス応用(バイポーラトランジスタ) |
バイポーラトランジスタの構造と静特性を理解する。 課題:BPTにおける基本バイアス回路と静特性の説明
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14週 |
半導体材料のデバイス応用(電界効果トランジスタ) |
電界効果トランジスタの構造と動作を理解する。 課題:FETにおける基本バイアス回路と動作の説明
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15週 |
導電材料とその性質 |
金属の電気的性質を理解し、移動度や導電率の計算ができ る。 課題:金属における移動度や導電率の課題
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16週 |
期末試験 17週:試験解説と発展授業 |
試験時間:80分
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電子工学 | 電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。 | 4 | 後1 |
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。 | 4 | 後1 |
原子の構造を説明できる。 | 4 | 後2 |
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。 | 4 | 後2 |
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 4 | 後3 |
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。 | 4 | 後5 |
真性半導体と不純物半導体を説明できる。 | 4 | 後7 |
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 4 | 後7 |
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。 | 4 | 後11 |
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。 | 4 | 後12 |
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。 | 4 | 後10,後13 |
評価割合
| 中間試験 | 期末試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 35 | 45 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 35 | 45 | 20 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |