ディジタル工学基礎

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 ディジタル工学基礎
科目番号 0022 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 浜辺 隆二、論理回路入門(第3版)、森北出版株式会社、2015
担当教員 佐藤 拓史

到達目標

(科目コード:31120、英語名:Fundamentals of Digital Engineering)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、成績評価上の重み付け、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、関連する目標の順で次に示す。
①数体系や2進数の加減算およびブール代数の基礎を理解する。20% (d1)
②論理関数の表現方法と簡単化方法を理解する。20% (d1)
③基本論理回路素子を理解する。20% (d1)
④シーケンサの利用方法を習得する。 20% (d1)
⑤組合せ回路の設計法を理解する。 20% (d1)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
①数体系や2進数の加減算およびブール代数の基礎数体系や2進数の加減算およびブール代数の基本演算ができる。数体系や2進数の加減算およびブール代数の基礎演算を説明できる。数体系や2進数の加減算およびブール代数の基礎演算の概要を説明できる。左記に達していない
②論理関数の表現方法と簡単化方法真理値表から論理関数を構成し、それを簡単化することができる。論理関数の表現方法と簡単化方法を説明できる。論理関数の表現方法と簡単化方法をおおむね説明できる。左記に達していない
③基本論理回路素子基本論理回路素子を使って論理回路を構成できる。基本論理回路素子を説明できる。基本論理回路素子をおおむね説明できる。左記に達していない
④シーケンサの利用方法シーケンサを使った設計ができる。シーケンサの基本的な設計ができる。シーケンサの基本的な利用方法が分かる。左記に達していない
⑤組合せ回路の設計法組合せ回路の設計ができる。組合せ回路の設計法が説明できる。組合せ回路の設計法がおおむね説明できる。左記に達していない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
論理回路はコンピュータのハードウェア設計の基礎理論である。本授業の目的は、論理回路を構成する組合せ回路と順序回路の設計法を学ぶことである。
授業の進め方・方法:
前期はブール代数を主にして論理回路の基礎と簡単化の方法について、後期はシーケンサと組合せ回路について学ぶ。
注意点:
1年次に修得した基礎情報処理をベースにし、学習する内容を理解して教科書の演習問題を解けるようになることを心がけてほしい。そのためにも、表面的な丸暗記をするのではなく、基本的な原理や考え方を身につける意識を持ってもらいたい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ディジタル工学の概要,数値の表現(1) ディジタルとアナログの違いを説明できる。
ディジタル工学の特徴を説明できる。
10進数から類推して2進数を定義できる。
2週 数値の表現(2) n進数→10進数の変換ができる。
整数部について10進数→n進数の変換ができる。
小数部について10進数→n進数の変換ができる。
3週 基数変換と補数加算 2進数と8,16進数を相互に変換できる。
2の補数を用いて2進数で負の数を表現できる。
補数加算によって2進数での減算が行える。
4週 集合論と命題論理 集合論の基本演算を行うことができ、ベン図で表現できる。
命題論理の基本演算を行うことができ、真理値表で表現できる。
5週 ブール代数の基本法則 集合論と命題論理に共通の演算規則であるブール代数の公理を理解する。ブール代数の基本法則を真理値表を用いて証明でき、ベン図で表現できる。
6週 基本論理演算と論理記号 基本論理演算の論理記号を正しく書くことができ、論理式を論理回路で表現できる。
7週 論理関数と論理回路 論理関数について、論理式による表現と論理回路による表現と真理値表による表現の3通りがあることを理解し、論理式から真理値表と論理回路を作ることができる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 試験解説と発展授業 中間試験で正解できなかった問題について、解き直して正解できるようになる。
10週 加法標準形と乗法標準形 論理関数の真理値表が与えられたときに、その加法標準形と乗法標準形を作ることができる。
加法形や乗法形の論理式が与えられたときに、その標準形を作ることができる。
11週 排他的論理和とその標準形 排他的論理和の基本演算を理解する。
論理関数の真理値表が与えられたときに、その排他的論理和標準形を作ることができる。
12週 カルノー図による簡単化 論理関数の簡単化の概念を理解する。
論理関数の真理値表が与えられたときに、カルノー図を用いて簡単化された論理式を得ることができる。
13週 冗長項を用いたカルノー図 冗長項を含む論理回路について、カルノー図を用いて簡単化された論理式を得ることができる。
14週 クワイン・マクラスキー法による簡単化 クワイン・マクラスキー法(Q-M法)を用いて簡単化された論理式を得ることができる。
カルノー図と比べてQ-M法の利点を説明できる。
15週 前期のまとめ 前期の内容を復習し、不足している部分を見定めることができる。
16週 期末試験
17週:試験解説と発展授業
期末試験で正解できなかった問題について、解き直して正解できるようになる。
後期
3rdQ
1週 シーケンサとは シーケンサとはどんなものか理解する。
スイッチ回路とラダー図の対応を理解する。
動作仕様からラダー図を作れるようになる。
2週 GX Works2の使い方 GX Works2の使い方を身につける。
GX Works2上でラダー図を作成できる。
3週 組合せ論理回路 組合わせ論理回路の設計手順について理解する。
4週 加算器,補助リレー 半加算器・全加算器の原理や構成について理解する。
補助リレーについて理解する。
5週 GX Works2上でのシミュレーション GX Works2上でのシミュレーション法を身につける。
6週 減算器,組み合わせ回路 減算器の原理を理解する。
減算の演算とオーバーフローについて理解する。
組合せ回路の例について理解する。
7週 組み合わせ回路 組合せ回路の例について理解する。
8週 中間試験
4thQ
9週 試験解説と発展授業 中間試験で正解できなかった問題について、解き直して正解できるようになる。
10週 出力リレーの使い方 自己保持回路について理解する。
インターロック回路について理解する。
11週 タイマ回路 タイマ回路について理解する。
タイムチャートを理解する。
タイムチャートが描けるようになる。
12週 カウンタ回路 カウンタ回路について理解する。
タイムチャートが描けるようになる。
13週 課題演習1 課題演習を通じて回路設計の理解を深める。
14週 課題演習2 課題演習を通じて回路設計の理解を深める。
15週 1年間のまとめ ディジタル工学基礎の内容を復習し、不足している部分を見定めることができる。
16週 期末試験
17週:試験解説と発展授業

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎情報リテラシー情報リテラシー論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。3前3
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。4前1
基数が異なる数の間で相互に変換できる。4前2,前3
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。4前2
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。4前2
基本的な論理演算を行うことができる。4前5
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。4前9,前10,前11
論理式の簡単化の概念を説明できる。4前12,前13,前14
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。4前12,前13,前14
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。4後7,後10
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。4後7,後10
組合せ論理回路を設計することができる。4後10
情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。2前4
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。2前4
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。2前5
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。2前4
離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。2後13,後14

評価割合

試験その他合計
総合評価割合7030100
基礎的能力351550
専門的能力351550
分野横断的能力000