数値解析

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 数値解析
科目番号 0145 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 数値計算入門(サイエンス社)
担当教員 上村 健二

到達目標

この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる.
この科目の到達目標と,成績評価上の重み付け,各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を到達目標,評価の重み,学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①数値解析の基本的なアルゴリズムを理解する。50%(d1),②C言語を用い代表的な数値解析手法が実装できる。40%(d2) , (d4),③特定の問題を解決するための数値解析法をまとめることができる。10%(b2)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
数値解析のアルゴリズムを理解する多くの問題に対応した手法を習得する。多くの問題に対応した手法を概ね習得する。左記に達していない
C言語でアルゴリズムを実装する関数などを用いて汎用性の高いプログラムを作成する。目標とする動作のみを行うプログラムを作成する。左記に達していない
プログラムを説明する。動作や使用方法が理解しやすいドキュメントを作成できる動作や実装が概ね理解できるドキュメントを作成できる。左記に達していない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
数値解析は工学諸問題における現象の解析や予測のために必要不可欠な数理処理技術である.授業では講義による基本的な解析手法の説明の後に,主にC 言語を利用したプログラム演習を行うことで,数値解析アルゴリズムの理解を深めるように進める.
授業の進め方・方法:
Web上に事前掲載されている資料の解説を授業開始30分程度行い,残りの時間は実際に数値計算するプログラムを作成する。2週間に1回程度課題を課す。
注意点:
講義で説明した数値解析手法に基づき,実際にプログラミングをおこなうため,C 言語プログラミングの能力は必要不可欠である.また,数値解析で対象とする微分積分,線形代数は事前に復習しておくことを推奨する.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 値解析概論・基本算法(配列,関数,変数) 実数の内部表現,数値計算における誤差,多次元配列・関数・メモリの動的確保など基礎事項の理解。
2週 行列・ベクトル・ノルム 行列・ベクトルの演算やノルム計算ができる。
3週 非線形方程式(2分法,ニュートン法) 非線形方程式の解をプログラムで求められる。
4週 連立一次方程式の直接解法(ガウス消去法) ガウスの消去法をプログラムすることで連立一次方程式の解を求めることができる。
5週 連立一次方程式の直接解法(LU分解) LU分解を用いて連立方程式を解くプログラムが作成できる。
6週 固有値 行列の最大固有値と最小固有値を数値計算で求めることができる。
7週 連立一次方程式の反復解法(ヤコビ法,ガウス・ザイデル法) 連立方程式を反復処理によって解くことができる。
8週 関数補間(ラグランジュ補間,ニュートン補間) 計測点間を補間するプログラムが作成できる。
4thQ
9週 関数近似(最小2乗近似) 計測データを多項式や指数を用いて近似できる。
10週 数値積分(台形公式,シンプソン公式) 台形公式・シンプソン公式により数値積分できる。
11週 数値積分(ロンバーグ法) ロンバーグ積分を理解し実装できる。
12週 数値積分(重積分) 重積分を数値計算で求めることができる。
13週 常微分方程式(オイラー法) オイラー法により微分方程式の解を求めることができる。
14週 常微分方程式(ホイン法,ルンゲ・クッタ法) 高次の近似により微分方程式の解を求めることができる。
15週 試験解説と発展授業(モンテカルロ法) モンテカルロ法がどのようなものかイメージできる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。2
分数式の加減乗除の計算ができる。2
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。2
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。2
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。2
1元連立1次不等式を解くことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。2
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3
行列の和・差・数との積の計算ができる。3
行列の積の計算ができる。3
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。2
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。2
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。2
導関数の定義を理解している。2
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
定積分の基本的な計算ができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。2
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3
基本的な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミング変数とデータ型の概念を説明できる。3
代入や演算子の概念を理解し、式を記述できる。3
制御構造の概念を理解し、条件分岐や反復処理を記述できる。3
プロシージャ(または、関数、サブルーチンなど)の概念を理解し、これらを含むプログラムを記述できる。3
与えられた問題に対して、それを解決するためのソースプログラムを記述できる。3
ソフトウェア生成に必要なツールを使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。3
ソフトウェア開発に利用する標準的なツールの種類と機能を説明できる。3
主要な計算モデルを説明できる。2
要求仕様に従って、標準的な手法により実行効率を考慮したプログラムを設計できる。3
ソフトウェアアルゴリズムの概念を説明できる。3
与えられたアルゴリズムが問題を解決していく過程を説明できる。3
同一の問題に対し、それを解決できる複数のアルゴリズムが存在しうることを説明できる。3
時間計算量や領域計算量などによってアルゴリズムを比較・評価できることを理解している。3
整列、探索など、基本的なアルゴリズムについて説明できる。2
コンピュータ内部でデータを表現する方法(データ構造)にはバリエーションがあることを説明できる。2
ソースプログラムを解析することにより、計算量等のさまざまな観点から評価できる。2
同じ問題を解決する複数のプログラムを計算量等の観点から比較できる。3
計算機工学整数・小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3
整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。3
基数が異なる数の間で相互に変換できる。2
情報数学・情報理論コンピュータ上での数値の表現方法が誤差に関係することを説明できる。3
コンピュータ上で数値計算を行う際に発生する誤差の影響を説明できる。3
コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。3
その他の学習内容少なくとも一つの具体的なコンピュータシステムについて、起動・終了やファイル操作など、基本的操作が行える。3
少なくとも一つのメールツールとWebブラウザを使って、メールの送受信とWebブラウジングを行うことができる。3
分野別の工学実験・実習能力情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。3
ソフトウェア生成に利用される標準的なツールや環境を使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。3
ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い、生成したロードモジュールの動作を確認できる。2
与えられた数値を別の基数を使った数値に変換できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能ICTやICTツール、文書等を基礎的な情報収集や情報発信に活用できる。3
ICTやICTツール、文書等を自らの専門分野において情報収集や情報発信に活用できる。3

評価割合

期末試験課題相互評価レポート合計
総合評価割合100404020200
基礎的能力50202010100
専門的能力50202010100