基礎生物工学

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 基礎生物工学
科目番号 0038 科目区分 専門 / 必履修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 「生物」数研出版/「リードα生物」(数研出版)
担当教員 赤澤 真一

到達目標

この科目は長岡高専の教育目標の(C)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。①生体を構成する成分を理解する。25%(c1)、②エネルギーと代謝について理解する。25%(c1)、③遺伝情報について理解する。25%(c1)、④微生物及びバイオテクノロジーの基本事項について理解する。25%(c1)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生体を構成する成分を理解する。生体を構成する成分を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目2エネルギーと代謝について理解する。エネルギーと代謝について概ね理解する。左記に達していない。
評価項目3遺伝情報について理解する。遺伝情報について概ね理解する。左記に達していない。
評価項目4微生物及びバイオテクノロジーの基本事項について理解する。微生物及びバイオテクノロジーの基本事項について概ね理解する。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 c1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
現在は生命科学の時代ともいわれている。1990年代に急速に発展したバイオテクノロジーは工業分野におけるバイオリファイナリー(植物から化成品を作る)の進展、医療分野におけるiPS細胞の発見など我々に数々の恩恵をもたらしている。これらを理解するには生物の基本構造や微生物の役割、さらには遺伝子工学を理解しなければならない。本講義ではこれらの理解に必須となる事項を集中的に学ぶ。
○関連する科目:生命環境基礎(前年度履修)、生物化学Ⅰ(次年度履修)
授業の進め方・方法:
適宜、授業内容に沿った小テストを行う。必要に応じてプロジェクターを利用した講義を行う。
注意点:
覚えなければならない事が多く、授業内容に沿った小テストを定期的に行うため、自学自習が必要。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 生体を構成する成分 細胞、タンパク質、脂質、核酸等を構成する成分を理解する。
2週 酵素の働き 酵素の性質について理解する。
3週 細胞の構造とその働き 原核・真核細胞について理解する。真核細胞の構造とその働きについて理解する。
4週 呼吸と代謝 代謝・異化・同化を理解する。解糖系、TCAサイクルの基本について理解する。
5週 微生物とその活用 微生物の活用事例について理解する。微生物の増殖などについて理解する。
6週 植物の環境応答 植物の成長に関与する成分や発芽形成などを理解する。
7週 中間試験
8週 生命を支配する遺伝子 遺伝子が生命にどのように関わっているのか理解する。
4thQ
9週 遺伝子の本体 遺伝子研究の歴史や背景を知る。
10週 核酸の構造 核酸の構造を理解する。
11週 タンパク質合成1 タンパク質合成の流れを理解する。
12週 タンパク質合成2 同上及び遺伝子発現の調節機構を理解する。
13週 生体防御機構-免疫- 免疫機構について理解する。
14週 バイオテクノロジー1 遺伝子組換え技術や分析方法について理解する。
15週 試験解説と発展授業(バイオテクノロジー2) 試験の確認及びバイオテクノロジーについて理解する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。3
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。3
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。3
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。3
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。3
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。3
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。3
分化について説明できる。3
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。3
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。3
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。3
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。3
単糖と多糖の生物機能を説明できる。3
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。3
グリコシド結合を説明できる。3
多糖の例を説明できる。3
脂質の機能を複数あげることができる。3
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。3
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。3
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。3
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。3
タンパク質の高次構造について説明できる。3
ヌクレオチドの構造を説明できる。3
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。3
DNAの半保存的複製を説明できる。3
RNAの種類と働きを列記できる。3
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。3
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。3
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。3
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。3
解糖系の概要を説明できる。3
クエン酸回路の概要を説明できる。3
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。3
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。3
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。3
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。3
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。3
微生物の育種方法について説明できる。3
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。3
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。3
食品加工と微生物の関係について説明できる。3
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。3
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。3
遺伝子組換え技術の原理について理解している。3
バイオテクノロジーの応用例(遺伝子組換え作物、医薬品、遺伝子治療など)について説明できる。3
バイオテクノロジーが従来の技術に対して優れている点について説明できる。3
遺伝子組み換え技術のリスクと安全策について説明できる。3

評価割合

試験(中間)試験(期末)その他の試験レポート合計
総合評価割合30401020100
基礎的能力1520101055
専門的能力152001045
分野横断的能力00000