無機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 無機化学Ⅰ
科目番号 0044 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 基本無機化学
担当教員 小出 学

到達目標

(科目コード:41260, 英語名:Inorganic Chemistry Ⅰ) この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。原子の電子配置等の性質を理解する。25%(d1)、 分子の結合状態と構造について理解する。25%(d1)、 イオン性固体、金属等の結晶構造を性質を理解する。25%(d1), 無機反応(酸化・還元)を考え方を理解する。25%(d1)(前期:課題(出席)50:課題(評価)50とする。)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子の電子配置等の性質の基礎と応用を理解する。原子の電子配置等の性質の基礎を理解する。原子の電子配置等の性質の基礎を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目2分子の結合状態と構造についての基礎と応用を理解する。分子の結合状態と構造についての基礎を理解する。分子の結合状態と構造についての基礎を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目3イオン性固体、金属等の結晶構造を性質の基礎と応用を理解する。イオン性固体、金属等の結晶構造を性質の基礎を理解する。イオン性固体、金属等の結晶構造を性質の基礎を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目4無機反応(酸化・還元)を考え方の基礎と応用を理解する。無機反応(酸化・還元)を考え方の基礎を理解する。無機反応(酸化・還元)を考え方の基礎を概ね理解する。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物質とは、原子またはイオンで構成されている。そのため、物質の性質は、原子とその電子配置、さらには、原子間、イオン間の結合の特徴と関連付けることができる。無機化学Iでは、原子から分子、固体に至る基礎的知識を習得することを目的としている。
○関連する科目:無機化学演習(3学年前期履修)、無機化学Ⅱ(4学年前期履修)
授業の進め方・方法:
演習を行ないながら、理解度を深めていく。
注意点:
1,2年で習った基本的な化学物質の名称や化学式が書け、化学反応等における化学量論的な考察を心がけること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 原子の構造 原子の構造の基礎を理解する。(1)
2週 原子の軌道と量子数 原子の構造の基礎を理解する。(2)
3週 周期表と電子配置 原子の構造の基礎を理解する。(3)
4週 同位体と原子量 原子の構造の基礎を理解する。(4)
5週 原子の性質と周期表 元素の周期律の基礎を理解する。(1)
6週 原子の大きさ 元素の周期律の基礎を理解する。(2)
7週 イオン化エネルギー 元素の周期律の基礎を理解する。(3)
8週 電子親和力 元素の周期律の基礎を理解する。(4)
2ndQ
9週 電気陰性度 元素の周期律の基礎を理解する。(5)
10週 まとめ 原子、電子の基礎的性質をまとめて理解する。
11週 共有結合と軌道 共有結合の基礎を理解する。(1)
12週 分子軌道法 共有結合と分子軌道の形成を理解する。
13週 原子化結合法 共有結合と原子化結合法を理解する。
14週 分子の立体構造と極性 分子構造を組み立てる。
15週 分子の対称性 分子の対称性の基礎を理解する。
16週 期末試験
17週:試験解説と発展授業
期末試験
後期
3rdQ
1週 結晶構造(金属) 1種類の球の充填を理解する。
2週 結晶構造(イオン性固体) 数種類の球で構成される充填を理解する。
3週 結晶構造に影響を与える因子 結晶構造の組み立てを理解する。
4週 イオン性固体と格子エネルギー 格子間エネルギーと熱力学を理解する。
5週 金属と類金属の定義 金属結合と性質を理解する。
6週 金属結合とエネルギーバンド理論 エネルギーバンド理論を理解する。
7週 酸と塩基(定義) 酸と塩基の定義を理解する。
8週 酸と塩基(HSAB概念) 硬い、軟らかい酸塩基の概念を理解する。
4thQ
9週 酸と塩基(オキソ酸) ポーリングのオキソ酸に関する考えを理解する。
10週 酸化と還元(標準酸化還元電位) 起電力の基礎を理解する。
11週 酸化と還元(自由エネルギー変化との関係) 熱力学と酸化還元を理解する。
12週 酸化と還元(電池) 電池の基礎を理解する。
13週 s-ブロック元素(アルカリ金属) アルカリ金属の基礎を理解する。
14週 s-ブロック元素(アルカリ土類金属) アルカリ土類金属の基礎を理解する。
15週 p-ブロック元素(12、13、14族) 12、13、14族の元素の基礎を理解する。
16週 期末試験
17週:試験解説と発展授業
期末試験(50分)

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)物質が原子からできていることを説明できる。3
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
純物質と混合物の区別が説明できる。3
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。3
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3前1
同位体について説明できる。3
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3
価電子の働きについて説明できる。3
原子のイオン化について説明できる。3前7,前8,前9
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。4前7,前8,前9
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3前7,前8
イオン式とイオンの名称を説明できる。3前7,前8,前9
イオン結合について説明できる。3前7,前8,前9
イオン結合性物質の性質を説明できる。3前7,前8,前9
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3前7,前8,前9
共有結合について説明できる。3前11
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3前11
酸化還元反応について説明できる。3後9,後10,後11
イオン化傾向について説明できる。3前9
ダニエル電池についてその反応を説明できる。3後9,後10,後11
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4前2,前3,前4,前10
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4前2,前3,前4,前10
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前5,前6,前7,前8,前9,前10
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4前5,前6,前7,前8,前9,前10
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4前5,前6,前7,前8,前9,前10
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前5,前6,前7,前8,前9,前10
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4後1,後2,後3,後4
配位結合の形成について説明できる。4
水素結合について説明できる。4
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。4
錯体の命名法の基本を説明できる。4
配位数と構造について説明できる。4
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。4
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。4

評価割合

基礎的能力専門的能力合計
総合評価割合5050100
試験5050100