物理学実験

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理学実験
科目番号 0056 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 1.5
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 3
教科書/教材 自作教材(配付資料)
担当教員 荒木 秀明

到達目標

(科目コード:41710,英語名:Experiments in Physics)
この科目は長岡高専の教育目標の(C)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。① 授業で取り組んだ実験について(到達目標②~④も同様)、実験の裏付けになる理論が説明できること。20% (c1)、② 実験の具体的な手順や安全策などの留意事項を考慮して、実験計画が作成できること。20% (e2)、③ 実験データを適切に処理し、結果が導けること。30% (c1)、④ 実験結果を評価できること。 20% (c1)、⑤ 物理実験の方法を一般化して説明できること。10% (c1)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1授業で取り組んだ実験について、実験の裏付けになる理論が詳細に説明できる。授業で取り組んだ実験について、実験の裏付けになる理論が説明できる。授業で取り組んだ実験について、実験の裏付けになる理論が概ね説明できる。左記に達していない。
評価項目2実験の具体的な手順や安全策などの留意事項を考慮して、実験計画が詳細に作成できる。実験の具体的な手順や安全策などの留意事項を考慮して、実験計画が作成できる。実験の具体的な手順や安全策などの留意事項を考慮して、実験計画が概ね作成できる。左記に達していない。
評価項目3実験データを適切に処理し、結果が詳細に導ける。実験データを適切に処理し、結果が導ける。実験データを適切に処理し、結果が概ね導ける。左記に達していない。
評価項目4実験結果を詳細に評価できる。実験結果を評価できる。実験結果を概ね評価できる。左記に達していない。
評価項目5物理実験の方法を立案から評価まで一般化して詳細に説明できる。物理実験の方法を立案から評価まで一般化して説明できる。物理実験の方法を立案から評価まで一般化して概ね説明できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
この科目では、物理学を学習するうえで大切な事がらのいくつかを、実験を通じて理解し、身に付ける。この科目での学習は、物理学講義(座学)での成果と相まって、物理学という科学の本質を理解する機会となり、技術者としての活動に必要な基礎となる。
実験の計画は受講者自身の判断で決める部分が多く、課題解決の基礎を身につける機会とすることができる。
実験は以下の 5 つのテーマについて行う:1)重力加速度の測定、2)空気抵抗係数の測定、3)熱の仕事当量の測定、4)振動数の測定、5)その他(ヤング率の測定、水の表面張力の測定、レンズの焦点距離の測定、屈折率の測定、プランク定数の測定、電子の比電荷の測定の中から 1 項目を選択)。行った実験について、実験方法の立案から実施、評価までを含めたプレゼンテーションを行う。
○関連する科目:「物理」(2 年次履修,3 年次履修)、「物理演習」(3 年次履修)、「物理学ⅠA」(次年度履修)
授業の進め方・方法:
以下の実験テーマに取り組む。得られた結果はレポートにまとめるとともに、最後にプレゼンテーション用スライドの作成を行う。実験テーマは、1)重力加速度の測定、2)空気抵抗係数の測定、3)熱の仕事当量の測定、4)振動数の測定、ヤング率の測定、水の表面張力の測定、レンズの焦点距離の測定、屈折率の測定、プランク定数の測定、電子の比電荷の測定の中から 1 項目を選択。
注意点:
1.実験指導書(新しい課題が始まる直前の授業で配布する)の内容は、実験の当日までに理解しておくこと.問題点があれば、新しい課題での実験が始まる前に解決しておくこと。
2.実験グループを 4~5 名の受講者で構成する。実験を実施できる場合は,メンバーが協力して実験に当たること。
3.実験を安全に行うために、実験中の行動には十分に注意すること。
4.装置類の取り扱いは、方法を十分に理解したうえで、丁寧におこなうこと。装置類の破損が明らかに受講者の過失によるものであると判断されるときは、その責任を問うことがある。
5.正当な理由なしに授業を欠席した受講者のレポートは受け付けない。
成績評価は,レポートおよび最後にまとめてもらう発表スライドにより行うので,指定の期日までに提出すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業の概説と注意事項(レポートの作成と提出の方法および基本的な実験技術に関する説明を含む) 実験計画、実験の遂行等の取組み方を理解する
2週 重力加速度の測定(1) 落体による重力加速度の測定方法を理解し、実験計画を立案について理解する
3週 重力加速度の測定(2) 結果をまとめる
4週 重力加速度の測定(3) 結果をまとめる
5週 空気抵抗の測定(1) 基礎的な流体の抵抗力を理解し、実験計画を立案について理解する
6週 空気抵抗の測定(2) 結果をまとめる
7週 空気抵抗の測定(3) 結果をまとめる
8週 レポートの作成に関する注意の確認 報告書の作成方法や結果のまとめ方について理解する
2ndQ
9週 熱の仕事当量の測定(1) 基礎的な熱容量、ジュール熱、仕事、エネルギーの変換を理解し、1回目の実験計画を立案について理解する
10週 熱の仕事当量の測定(2) 結果をまとめる
11週 熱の仕事当量の測定(3) 結果をまとめる
12週 振動数の測定を含む選択実験 実験を選択し、テキストに従った実験に関する物理現象を知る
13週 発表スライド作成 プレゼンテーションを作り上げる
14週 発表スライド作成 プレゼンテーションを作り上げる
15週 まとめ 授業を振り返り,一般的な物理学実験の計画からの一連のプロセスを理解する
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前2
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前2
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前2
物体に作用する力を図示することができる。3前6
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前2,前6,前8
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前12
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3前6
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前2
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3前3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3前3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前9,前10,前11
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前9,前10,前11
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前9,前10,前11
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前9,前10,前11
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3前12
波の重ね合わせの原理について説明できる。3前12
波の独立性について説明できる。3前12
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3前12
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3前12
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3前12
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3前12
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3前12
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3前12
電気ジュール熱や電力を求めることができる。3前9,前10,前11
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前3,前4,前7,前8,前10,前11,前12
安全を確保して、実験を行うことができる。3前3,前4,前7,前8,前10,前11,前12
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前4,前5,前8,前11,前12
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前3,前4,前5,前7,前8,前10,前11,前12
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前3,前4,前6,前7,前8
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前9,前10,前11
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前12
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前9,前10,前11
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前12

評価割合

レポート発表スライド合計
総合評価割合8020100
基礎的能力401050
専門的能力401050
分野横断的能力000