物質工学実験

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物質工学実験
科目番号 0066 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 実験指導書(配布)および「理科系の作文技術」(中公新書、木下是雄 著)
担当教員 熱海 良輔

到達目標

(科目コード:41070、英語名:Experiments in Materials Engineering)
この科目は長岡高専の教育目標(C)および(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。
①. 物理化学の諸法則を理解し、実験操作を通して目的の物性値や反応速度を求めることができる。(d1 40%)
②. Officeソフトを用いて、適切な実験レポートおよびグラフを作成することができる。(d4 40%)
③. IoT機器の基礎概念を理解し、物理化学的な法則を利用しているセンサ機器をネットワークに接続することができる。(c1 20%)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
物理化学における諸法則の理解観察している現象において、どのような物理化学的な法則が働いているか、記述・計算することができる。観察している現象において、どのような物理化学的な法則が働いているか、説明できる。観察している現象において、どのような物理化学的な法則が働いているか、理解している。左記に達していない
実験操作および実験レポートの作成実験指導書に沿って適切な実験操作ができる。また、実験操作を行う上で注意しべき事柄を理解し、実験レポートを適切に作成できる。実験指導書に沿って適切な実験操作ができ、実験レポートが作成できる。実験指導書に沿って、一連の実験を完遂することができ、また、実験レポートが作成できる。左記に達していない
IoT機器およびセンサに関する理解IoT機器およびガスセンサの動作原理を理解し、説明できる。また、ガスセンサがネットワークにどのように接続されているか理解し、実際にデバイスを組み立てることができる。IoT機器およびガスセンサの動作原理を理解し、説明できる。また、実験指導書に沿って稼働するデバイスを作成することができる。験指導書に沿って稼働するデバイスを作成することができる。左記に達していない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
これまでに学習した物理化学的諸法則を実際の現象を通して観察し、理解を深める。また、物理化学的諸法則が観察できるように、適切な実験操作方法を組み立てる能力を養成する。実験を通して得られた結果に対して妥当な処理・計算を行い、実験レポートの形式で提出し、評価を行う。
○関連する科目:物質工学実験(無機・有機・生化)(3学年前期・後期履修)、物質工学実験(化工)(5学年前期履修)、卒業研究(5学年前期・後期履修)
授業の進め方・方法:
第1回、実験の進め方、全体を通しての注意などを含め、本実験についてのガイダンスを行う。
第2回、実験は安全が第一であることから、安全・衛生についての説明を行う。
以下の7テーマの実験を用意しており、1テーマにつき2週で実験を行う。それぞれの実験テーマの到達目標については授業計画の第3週から第14週に示した。
1. 溶解熱
2. 分子量の測定(凝固点降下法)
3. 液体の蒸気圧
4. 固体の密度
5.ガスセンサを用いたIoT機器の開発
5. 反応速度
6. 分解電圧
注意点:
化学薬品やガラス器具を利用するため、安全には十分に配慮すること。危険で不適切な実験操作を繰り返す場合は、実験室からの退室を命じることがある。
実験レポートおよび試験により成績を評価する。実験レポートおよびフローチャートは、授業前日までに電子媒体で作成し、オンライン提出すること。
実験レポートの作成は事前に配布するWordテンプレートファイルにて作成すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 実験操作における保護具の重要性および廃棄物の適切な処理方法について説明する。また、表計算ソフトのグラフ作成方法について、簡単に説明する。
2週 安全衛生指導
実験器具の準備
実験室における諸注意を行う。また、保護具の装着、SDS等について説明する。
3週 1. 溶解熱 熱量計を用いて物質の溶解熱を測定し、熱容量、溶媒和について理解する。
4週 1. 溶解熱 熱量計を用いて物質の溶解熱を測定し、熱容量、溶媒和について理解する。
5週 2. 分子量の測定(凝固点降下法) 凝固点降下を測定し、分子量を求め、束一的性質を理解する。
6週 2. 分子量の測定(凝固点降下法) 凝固点降下を測定し、分子量を求め、束一的性質を理解する。
7週 3. 液体の蒸気圧 液体の蒸気圧の温度依存性を測定し、蒸発エンタルピーを求め、クラウジウスークラペイロンの式について理解を深める。
8週 3. 液体の蒸気圧 液体の蒸気圧の温度依存性を測定し、蒸発エンタルピーを求め、クラウジウスークラペイロンの式について理解を深める。
2ndQ
9週 4. 固体の密度 ピクノメーターを用いて固体の密度を測定し、計算密度との比較から、固体構造についての理解を深める。
10週 5. ガスセンサを用いたIoT機器 ガスセンサを接続したArduinoを用いて、簡易的なIoTデバイスを作成する。
11週 6. 反応速度 反応の速度の温度依存性を測定することにより、反応の活性化エネルギーを求められることを理解する。
12週 6. 反応速度 反応の速度の温度依存性を測定することにより、反応の活性化エネルギーを求められることを理解する。
13週 7. 分解電圧 種々の溶液を用いて分解電圧を測定し、電極反応と電極電位について理解する。
14週 7. 分解電圧 種々の溶液を用いて分解電圧を測定し、電極反応と電極電位について理解する。
15週 実験器具の整理
実験に用いた装置、器具の洗浄と整理を行い、装置の保守・管理法を理解する。
16週 期末試験
17週:試験解説と発展授業
試験時間:50分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4前1
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。4前13
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。4前6
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4前5
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4前4
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。4前7
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4前11

評価割合

試験レポートフローチャート合計
総合評価割合405010100
基礎的能力405010100
専門的能力0000
分野横断的能力0000