物理化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理化学Ⅱ
科目番号 0071 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 小笠原正明、田地川浩人、化学結合の量子論入門、三共出版、2011
担当教員 村上 能規

到達目標

(科目コード:41312、英語名:Physical Chemistry Ⅱ)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①波動関数の意味を理解し、原子軌道、分子軌道の形と化学結合の関連について理解する。 50% (d1)
②分子軌道をもとに、共役分子、錯体、固体等の電子構造を理解する。 50% (d1)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1波動関数の意味を理解し、原子軌道、分子軌道の形と化学結合の関連について詳しく理解する波動関数の意味を理解し、原子軌道、分子軌道の形と化学結合の関連について理解する波動関数の意味を理解し、原子軌道、分子軌道の形と化学結合の関連について概ね理解する波動関数の意味を理解し、原子軌道、分子軌道の形と化学結合の関連について理解できない
評価項目2分子軌道をもとに、共役分子、錯体、固体等の電子構造を詳しく理解する②分子軌道をもとに、共役分子、錯体、固体等の電子構造を理解できる②分子軌道をもとに、共役分子、錯体、固体等の電子構造を概ね理解できる②分子軌道をもとに、共役分子、錯体、固体等の電子構造を理解できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 物理化学は、すべての化学分野における基礎概念と理論体系を与える。3年次では物理化学Ⅰで熱力学、電気化学、反応速度論の基礎を学んだ。物理化学Ⅱでは量子論の基礎と応用について学ぶ。
 ○関連する科目: 物理化学Ⅰ(本科3年次履修),材料物理化学(本科4年次履修)
授業の進め方・方法:
次に示す項目・割合で達成目標に対する理解の程度を評価する。60点以上を合格とする。
● 試験(85%)(内訳:前期中間試験 40、前期末試験 45)
● その他の試験(0%)
● レポート課題(各回)(15%)
● その他(0%)
( この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポート課題などを実施します。)
注意点:
 微分、積分等の数学の基礎が重要である。行列式、微分方程式を解くことも要求される。本科目は化学結合を理解するための基礎理論であり、物理化学のみならず、無機化学、有機化学で議論される化学結合形成の理解にも役に立つ。また、内容の十分な理解には、質問を含めた積極的な授業への参加とこれまでに学んだ化学の復習、日常的な自学自習の態度が必要である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 量子論とは?(古典力学と量子力学) 量子論を理解する
量子論を理解する課題
2週 原子構造1(前期量子論、ボーアモデル) 原子構造1(前期量子論、ボーアモデル)を理解する
原子構造1(前期量子論、ボーアモデル)を理解する課題
3週 原子構造2(電子の二重性、波動関数) 原子構造2(電子の二重性、波動関数)を理解する
原子構造2(電子の二重性、波動関数)を理解する課題
4週 原子構造3(箱の中の電子、量子数、不確定性原理) 原子構造3(箱の中の電子、量子数、不確定性原理)を理解する
原子構造3(箱の中の電子、量子数、不確定性原理)を理解する課題
5週 原子構造4(水素原子の構造、スピン) 原子構造4(水素原子の構造、スピン)を理解する
原子構造4(水素原子の構造、スピン)を理解する課題
6週 原子構造5(多原子分子の構造、フントの規則) 原子構造5(多原子分子の構造、フントの規則)を理解する
原子構造5(多原子分子の構造、フントの規則)を理解する課題
7週 前期中間試験
8週 中間試験の解説および原子の構造にたいするまとめ
2ndQ
9週 分子軌道1(結合性軌道、反結合性軌道) 分子軌道1(結合性軌道、反結合性軌道)を理解する
分子軌道1(結合性軌道、反結合性軌道)を理解する課題
10週 分子構造2(分子軌道法、σ結合、π結合) 分子構造2(分子軌道法、σ結合、π結合)を理解する
分子構造2(分子軌道法、σ結合、π結合)を理解する課題
11週 分子構造3(混成軌道、電子遷移と吸収スペクトル 分子構造3(混成軌道、電子遷移と吸収スペクトルを理解する
分子構造3(混成軌道、電子遷移と吸収スペクトルを理解する課題
12週 分子構造3(共役分子の電子状態、ヒュッケル近似) 分子構造3(共役分子の電子状態、ヒュッケル近似)を理解する
分子構造3(共役分子の電子状態、ヒュッケル近似)を理解する課題
13週 分子構造5(錯体の構造、原子価結合理論、結晶場理論) 分子構造5(錯体の構造、原子価結合理論、結晶場理論)を理解する
分子構造5(錯体の構造、原子価結合理論、結晶場理論)を理解する課題
14週 分子構造6(固体の電子状態、バンド理論) 分子構造6(固体の電子状態、バンド理論)を理解する
分子構造6(固体の電子状態、バンド理論)を理解する課題
15週 分子構造7(ウッドワードホフマン則、ディールスアルダー反応) 分子構造7(ウッドワードホフマン則、ディールスアルダー反応)を理解する
分子構造7(ウッドワードホフマン則、ディールスアルダー反応)を理解する課題
16週 期末試験
第17週:試験解説と発展授業
試験時間:50分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。4
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3前1
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前1
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。4
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4前2,前5
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4前2,前5
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前5,前6
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4前6
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前6
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4前9
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4前9,前10
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4前11,前12
錯体の命名法の基本を説明できる。4前13
配位数と構造について説明できる。4前13
分析化学光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。4前11,前13,前16
物理化学熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4前2,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4前15
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4前14
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4前6
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4前6

評価割合

試験小テスト、レポート合計
総合評価割合8515100
基礎的能力000
専門的能力8515100
分野横断的能力000