材料物理化学

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 材料物理化学
科目番号 0074 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 配布プリント
担当教員 村上 能規

到達目標

(科目コード 41500、英語名:Material Physical Chemistry)
この科目は長岡高専の学習・教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順に示す。①光化学について基本的水準での理解を得る。25%(d1)。②触媒の構造および反応に関して基本的水準での理解を得る。25%(d1)。③電気化学について基本的水準での理解を得る。25%(d1) ④界面化学及びコロイドについての基礎的水準での理解を得る。25%(d1)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
材料の光化学について詳しく説明し応用することができる材料の光化学について基本的水準での理解を得る材料の光化学について基本的水準での概ね理解を得る界面化学、コロイドに関する事項についての基本的な理解に達しない
表面の化学反応(触媒)に関し詳しく説明し応用することができる表面の化学反応(触媒)に関し基本的水準での理解を得る表面の化学反応(触媒)に関し基本的水準での理解を概ね得る表面の化学反応(触媒)に関し基本的水準の理解に達しない
材料の電気化学について詳しく説明し、応用することができる材料の電気化学について基本的水準の理解を得る。材料の電気化学について基本的水準の理解に概ね達していない。材料の光化学について基本的水準の理解に達しない
界面化学、コロイドに関する事項について詳しく説明し応用することができる界面化学、コロイドに関する事項について理解している 界面化学、コロイドに関する事項について概ね理解している 材料の電気化学について基本的水準の理解に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理化学的視点から材料について理解を深めることを目的とする。内容は光化学、触媒化学、電気化学、界面化学の主要な内容について授業を行う。
○関連する科目:「物理化学Ⅰ」(本科3年次)、「物理化学Ⅱ」(本科4年次履修)、「無機材料工学」(本科4年次履修)
授業の進め方・方法:
通常の授業形式で進める。教科書は使用せず、授業内容に関してまとめた補助資料を配布。理解を深めるために、自学を含めたレポート課題を毎週提出。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業の概要 この授業を通じて学ぶこと
2週 光反応の特徴 熱反応と光反応の違い、ジャブロンスキー図、一重項、三重項、蛍光、りん光
3週 分子と光の相互作用 電子励起状態、振動スペクトル、回転スペクトル、選択則、El-Sayed則
4週 光反応の実験解析法 光源、内部照射、外部照射、量子収率、消光、Stern-Volmer式
5週 各種光化学反応 エキシマ―、エキサイプレックス、電荷移動錯体、三重項増感、アルケンのE-Z異性化、色素増感作用
6週 固体表面の基礎 フレンケル欠陥、ショットキー欠陥、刃状転位、らせん転位、すべり面、面欠陥、相転位反応
7週 触媒の基礎、触媒活性と表面構造と電子状態の関係 均一・不均一触媒、活性点、表面再構成、固体酸、固体塩基、表面バンド構造と吸着
8週 固体触媒反応の素過程と速度論 物理・化学吸着、Langmuir-Hinshelwood機構、構造敏感反応、構造鈍感反応、触媒活性の火山型活性序列
4thQ
9週 触媒活性の評価法、環境エネルギー関連触媒 触媒活性の3要素、回分式、流通式、パルス式、触媒表面分析法、三元触媒、脱硫触媒、カーボン系固体酸触媒
10週 電気化学反応の速度論、電気化学測定法 平衡電極電位、バトラーボルマーの式、ターフェルの関係、過電圧、サイクリックボルタンメトリー
11週 金属の腐食の電気化学 電気二重層、ヘルムホルツ面、エバンスダイアグラム、腐食電位、腐食電流、pH電位図
12週 光電気化学 フェルミ準位、p型半導体、n型半導体、フラットバンド電位、空間電荷層、光電流
13週 界面化学と表面張力 表面張力、ギプスの吸着式、吸着、負吸着、ミセル、濡れ、ヤングラプラスの式
14週 コロイドの化学 核生成、表面電位、ゼータ電位、シュテルン層、拡散層、DLVO理論、ヒュッケルの式
15週 ナノ物質とサイズ効果 表面効果、蒸気圧効果、量子サイズ効果
16週 学年末試験
17週:試験解説と発展授業
試験時間:50分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4後2,後3,後7,後10,後12,後13,後14
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4後7,後10,後13,後14
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4後7,後13,後14
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4後7,後13,後14
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4後3,後6,後7,後12,後15
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4後6,後7,後8,後14
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4後2,後3,後7,後10,後13,後14
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4後13,後14
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4後7,後8,後13,後14
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4後13,後14
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4後7,後8,後10,後13,後14
平衡定数の温度依存性を計算できる。4後7,後8,後10,後13,後14
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4後5,後6,後7,後8,後10
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4後5,後6,後7,後8,後10
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。4後7,後8,後9
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4後7,後8,後9
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4後10,後11

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力201030
専門的能力601070
分野横断的能力000