到達目標
(科目コード:41510、英語名:Inorganic Materials Engineering)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順に示す。①無機材料の電磁気的性質について、結晶構造および電子構造の観点から論じることができる。20%(d1)、②無機材料の光学的性質について、結晶構造および電子構造の観点から論じることができる。20%(d1)、③無機材料の熱的・機械的性質について、結晶構造および電子構造の観点から論じることができる。。20%(d1)、④工業的に最も重要な材料のひとつである鉄鋼材料の諸性質について、結晶構造おの観点から論じることができる。40%(d1)。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 種々の無機材料の結晶構造を理解し、材料の電磁気的性質を論じることができる。 | 半導体・誘電体・超伝導体の特徴について論じることができる。 | 導体・誘電体の材料特性について、種々の計算ができる。 | 左記に達していない |
評価項目2 | 無機材料の光学的特性について、材料の電子構造の観点から論じることができる。 | 無機材料の一般的な光学的特性について論じることができる。 | 材料の特性に対する屈折・反射・透過・吸収等について計算することができる。 | 左記に達していない |
評価項目3 | 無機材料の熱的・機械的特性について、結晶構造および電子構造の観点から論じることができる。 | 無機材料の一般的な熱的・機械的特性について論じることができる。 | 材料の熱的・機械的性質について、種々の計算ができる。 | 左記に達していない |
評価項目4 | 鉄鋼材料の諸性質について、結晶構造の観点から論じることができ、製法・熱処理の効用について論じることができる。 | 鉄鋼材料の一般的な特性について論じることができる。 | 鉄鋼材料の材料特性について、種々の計算ができる。 | 左記に達していない |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
産業上重要な材料である鉄鋼材料および種々の無機材料の特性について、結晶構造・電子構造の観点から総合的に学習する。
○ 関連する科目:無機化学IA,B(3学年前後期履修) 無機化学II(同時期履修) 材料物理化学(5学年前期履修)
授業の進め方・方法:
固体材料の結晶構造・電子構造、および諸性質について、教科書を用いて講義していく。鉄鋼材料について、授業中に資料を配布する。また、授業で取り扱った無機材料に関してレポート作成課題を課す。レポートは、計算演習問題、材料の一般的な諸性質の記述問題、材料特性の起源となる結晶構造・電子構造の記述問題で構成する。
注意点:
無機材料は近年格段に進歩しており、様々なエネルギーデバイス、センサー等に応用されている。授業では実際の材料の活用について講義するが、全ての応用について扱えないので、適宜各自で調べること。また、材料の諸特性は、それを構成する結晶の幾何学的性質や電子構造を起源とするため、必ずその観点で材料の特性を論じるように心がけること。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
固体化学概論 |
固体化学の学問体系について俯瞰する。
|
2週 |
結晶構造(1) |
ブラべ格子の概念に基づき、結晶構造を分類する。また、種々の無機結晶に関する特徴を俯瞰する。
|
3週 |
結晶構造(2) |
金属結晶の特徴を理解し、各金属結晶構造における充填率の計算方法を解説する。
|
4週 |
結晶構造(3) |
イオン結晶、共有結晶について解説する。また、イオン結晶における格子エネルギの計算方法を解説する。
|
5週 |
結晶構造(4) |
同上
|
6週 |
回折法 |
X線回折に関する基礎事項を解説する。
|
7週 |
格子欠陥 |
格子欠陥について解説し、格子欠陥の様式毎に材料の特性がどの様に変化するか解説する。
|
8週 |
結晶構造の物理化学 |
結晶構造の熱力学と化学結合について解説する。
|
4thQ |
9週 |
材料の電気的性質 |
材料の導電性と誘電性を中心に、電気的特性と結晶構造の関連性について解説する。
|
10週 |
材料の光学的性質 |
材料の光学的特性について、結晶構造の観点から解説する。
|
11週 |
材料の熱的性質 |
材料の伝熱特性、熱容量、機械的性質について、結晶構造の観点から解説する。
|
12週 |
結晶生成反応 |
結晶生成反応について、そのメカニズムと制御方法について解説する。
|
13週 |
固体の拡散現象 |
結晶構造中の拡散現象と、拡散係数の温度依存性について解説する。
|
14週 |
鉄鋼材料の物性(1) |
これまでの知識を用いて、鉄鋼材料の物性について、結晶構造の観点から解説する。
|
15週 |
鉄鋼材料の物性(2) |
同上
|
16週 |
期末試験は実施しない。 第17週:発展授業 |
先端材料の特性について、結晶構造の観点から解説する。
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 純物質と混合物の区別が説明できる。 | 3 | |
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。 | 3 | |
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。 | 3 | |
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。 | 3 | |
価電子の働きについて説明できる。 | 3 | |
原子のイオン化について説明できる。 | 3 | |
代表的なイオンを化学式で表すことができる。 | 3 | |
イオン式とイオンの名称を説明できる。 | 3 | |
イオン結合について説明できる。 | 3 | |
イオン結合性物質の性質を説明できる。 | 3 | |
共有結合について説明できる。 | 3 | |
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。 | 3 | |
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。 | 3 | |
金属の性質を説明できる。 | 3 | |
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。 | 3 | |
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。 | 3 | |
酸化還元反応について説明できる。 | 3 | |
イオン化傾向について説明できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。 | 4 | |
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。 | 4 | |
評価割合
| レポート | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 100 |
基礎的能力 | 40 | 40 |
専門的能力 | 60 | 60 |
分野横断的能力 | 0 | 0 |