化学工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 化学工学Ⅱ
科目番号 0103 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「増補版 基礎化学工学」(培風館、化学工学会 編、2021年)
担当教員 熱海 良輔

到達目標

(科目コード:41342、英語名:Chemical Engineering Ⅱ)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①物質・エネルギ収支について理解し、プロセスから適切な収支式を立式することができる。 (40% d1)
②各分離操作について設計方程式を適切に理解し、設計に利用することができる。(30% d1)
③充填層中のガス流れについて、流速と圧力損失の関係を計算できる。(30% d1)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1気液平衡に基づいて蒸留塔の原理を理解し、さらに蒸留塔の設計ができる。蒸留塔の設計ができる。気液平衡について理解している。左記のレベルに達していない。
評価項目2種々の分離操作について設計方程式を理解し、簡単な分離プロセスの設計ができる。設計方程式から分離プロセスの設計ができる。分離プロセスの種類および原理について簡単に説明できる。左記のレベルに達していない。
評価項目3収支計算および充填層内のガス流れについて、計算方法を理解し、実際に計算できる。物質・エネルギ収支計算ができる。物質収支計算ができる。左記のレベルに達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
(科目コード:41342、英語名:Chemical Engineering Ⅱ)
化学工学は物質・エネルギ収支、移動現象論を基礎として、単位操作、反応工学、プロセスシステム工学の知識体系を有する学問である。本講義では単位操作、とりわけ分離操作に関する設計について解説する。また、実際に手を動かして設計方程式に基づいた分離プロセス設計を行う。
授業の進め方・方法:
教科書に基づいて知識を体系的に整理し、設計方程式を実際に解きながら理解を進めていく。また授業中に課すレポートおよび期末試験によって成績を評価する。
注意点:
本講義から本格的な装置設計を学習する。実際に手を動かして設計計算を行う以外に、単位操作の設計方法を習得する術はないと心得よ。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物質・エネルギ収支の基礎(1) 物質・エネルギに関する収支式について理解し、SI単位系を用いて化学反応における収支計算ができる。
2週 物質・エネルギ収支の基礎(2) バイパス操作、リサイクル操作、パージ操作を伴う化学プロセスについて収支計算ができる。
3週 物質・エネルギ収支の基礎(3) PFDを読みながら、化学プロセスにおける収支計算ができる。
4週 分離工学概論 分離プロセスの原理および特徴について概説する。
5週 気液平衡 気液平衡について理解し、xy線図、Raultの法則、Antoin式により種々の物性値を求めることができる。
6週 ガス吸収塔の設計 ガス吸収塔の設計方程式を理解し、設計方程式に基づいてガス吸収塔の仕様を決定することができる。
7週 単蒸留 気液平衡の概念に基づいて単蒸留で起きている現象について理解し、低沸点成分の組成を予測できる。
8週 フラッシュ蒸留缶の設計 物質収支・気液平衡に基づいて、フラッシュ蒸留缶の出口組成を計算することができる。
2ndQ
9週 蒸留塔の設計(1) 蒸留塔の原理を理解し、蒸留塔の全体および各要素における収支式を立てることができる。
10週 蒸留塔の設計(2) McCabe-Thiele法により蒸留塔の理論段数を求めることできる。また、蒸留塔充填物についてその効果を説明することができる。
11週 吸着分離プロセスの設計 固体表面における吸着現象について理解し、吸着等温式・吸着から飽和吸着量を予測できる。また、吸着塔における破過時間を見積もることができる。
12週 抽出操作
抽出操作の原理について理解し、単抽出および多段抽出操作における出口組成を計算することができる。
13週 膜分離プロセス・気固分離プロセス 膜分離プロセスおよび気固サイクロンについて概説する。
14週 充填層中のガス流れ 固定層および流動層におけるガス流れについて講義する。Kozeny-Carman式およびErgun式を用いて圧力損失が計算できる。
15週 総合演習 分離操作(ガス吸収・蒸留塔)について総合演習を行う。
16週 前期末試験
17週:試験解説と発展授業
試験時間:80分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4
蒸留の原理について理解できる。4前1,前2
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4前2,前3,前4
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4前2,前5,前6
基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4前14
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4前14

評価割合

試験レポート課題合計
総合評価割合6040100
基礎的能力000
専門的能力6040100