概要:
低学年でも化学を学習し、有機化合物の様々な性質や反応性を学んだはずですが、各物質の性質と反応性の違いについては素通りし、暗記に努めたのではないでしょうか?しかし、有機化合物の構造や性質を順序立てて学習していくと、一見複雑に見える多くの反応も簡単な官能基の化学であることに気付くはずです。本講義では、それぞれの反応機構を通して電子の動きを学び、丸暗記の化学からの脱却を図り「なぜそうなるのか」の理屈を理解し、原料から製品、すなわち有機化学と身の回りの化学物質とのつながりを学習します。
〇関連する科目:化学(1・2 学年通年)、有機化学 II(4 学年前期)
授業の進め方・方法:
教科書の内容説明に、例題、演習問題を組み入れ、学生による解答と説明、その後に教員による補足説明という形式で授業を展開する。章ごとに、演習問題資料を配付。
注意点:
有機化学の反応は数も多く、それを一つ一つ暗記するのは不可能です。しかし、物質の性質と密接に関係する官能基に注目すると、何故そのような性質を示し、そのような反応をするのか系統的に理解できるようになります。内容の十分な理解には、質問を含めた積極的な授業への参加とこれまでに学んだ化学の復習、日常的な自学自習の態度が必要です。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。 | 3 | 前3 |
酸化還元反応について説明できる。 | 3 | 後2 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 4 | 前1 |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 4 | 前4,前9,前13,前16,後5,後9,後13 |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 4 | 前1,前2 |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 4 | 前2 |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | 前1,前2 |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | 前1,前2 |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | 前1,前3 |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | 前16 |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 4 | 前1,前4,前9,前13,後5,後10,後13 |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 4 | 前16 |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 4 | 前10,後3,後4 |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 4 | 前10,後3,後4 |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 4 | 後3,後4 |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 4 | 前4,前7,前9,前13,前16,後5,後9,後10,後13 |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 4 | 前5,前6,前8,前11,前14,後1,後2,後6,後7,後8,後11,後12,後14,後16 |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 4 | 前5,前6,前8,前11,前14,後1,後2,後6,後7,後8,後11,後12,後14,後16 |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 4 | 前4,前7,前9,前11,前12,前13,前16,後5,後9,後10,後13 |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 4 | 前12 |