この科目は長岡高専の教育目標(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。この科目では「授業計画・内容」に示した各項目の到達目標を目指し、化学現象の定量的な取り扱いと数値計算能力を学習し、化学分野の基礎を修得する。100%(d1)
概要:
熱力学第一法則および第二法則を中心に物理化学における基本的な概念に重点をおいて学ぶ。加えて反応速度、核化学の初歩についても学ぶ。
○分析化学(前年度履修)、物理化学Ⅱ(次年度履修)
授業の進め方・方法:
分野ごとに説明と演習を繰り返しながら進める。 定期試験前には授業内容の振り返りと演習の時間を設ける。
注意点:
物理化学は自然界の法則を理論的に取り扱う学問であり、定量的な記述には数式が用いられる。このため、はじめ難解な印象を与えるが、自力で演習問題を解くことによって理解が助けられ、実力が養われてくる。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
本授業の概要、数値の取り扱い、物理量と単位
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物理量と単位について説明できる。有効数字について説明できる。
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2週 |
気体の性質(状態方程式、気体運動論モデル) |
気体の法則を理解して、理想気体の状態方程式を運用できる。気体の分子運動論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。
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3週 |
気体の性質(実在気体)
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実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。
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4週 |
熱力学第一法則(エネルギーの保存) |
系と周囲を理解し、熱力学の第一法則の定義を説明できる。膨張仕事が計算できる。
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5週 |
熱力学第一法則(内部エネルギーとエンタルピー) |
エンタルピーと熱容量について説明できる。
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6週 |
熱力学第一法則の応用(物理変化) |
ヘスの法則を説明できる。標準生成エンタルピーを用いて反応エンタルピーを計算できる。キルヒホフの法則から反応エンタルピーの温度変化を計算できる。
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7週 |
演習1(前期前半) |
1週から6週までの内容について基礎的な計算ができる。
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8週 |
中間試験 |
試験時間:50分
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2ndQ |
9週 |
熱力学第一法則の応用(化学変化) |
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。
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10週 |
熱力学第二法則(エントロピー) |
熱力学の第二・三法則の定義と適用方法を説明できる。
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11週 |
熱力学第二法則(ギブスエネルギー) |
化学変化や状態変化に伴う自由エネルギー変化を計算できる。
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12週 |
純物質の相平衡(相転移の熱力学) |
純物質の状態図(P-V,P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。
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13週 |
純物質の相平衡(相律) |
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。
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14週 |
演習2(前期後半) |
9週から13週までの内容について基礎的な計算ができる。
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15週 |
期末試験 |
試験時間:50分
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16週 |
試験解説と発展授業 |
本授業の前期の内容を総括する
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後期 |
3rdQ |
1週 |
混合物の性質(混合物の熱力学的記述) |
部分モル量、化学ポテンシャルについて説明できる。理想希薄溶液と実在溶液について説明できる。
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2週 |
混合物の性質(束一的性質) |
束一的性質を説明できる。蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。
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3週 |
混合物の性質(混合物の相図) |
2成分の状態図(P-x,y、T-x,y)を理解して、気液平衡、固液平衡について説明できる。
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4週 |
化学平衡の原理(反応のギブスエネルギー) |
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。平衡定数の温度依存性を計算できる。
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5週 |
化学平衡の原理(平衡の移動) |
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。
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6週 |
電気化学(化学電池) |
電極における酸化還元反応を理解し、化学電池、電気分解について説明できる。ネルンストの式を用いて、起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係が説明できる。
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7週 |
演習3(後期前半) |
1週から6週までの内容について基礎的な計算ができる。
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8週 |
中間試験 |
試験時間:50分
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4thQ |
9週 |
反応速度(反応速度) |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。
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10週 |
反応速度(反応速度の温度依存性) |
衝突理論を理解して、アレニウスプロットを説明できる。
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11週 |
固体表面(表面の構造、吸着) |
触媒の性質・構造を理解して、触媒作用と活性化エネルギーとの関係を説明できる。表面の触媒活性を理解して、代表的な触媒反応を説明できる。
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12週 |
原子の構造(量子化学の初歩) |
原子の構造について説明できる。
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13週 |
核化学(放射線、半減期) |
放射線の種類と性質を説明できる。放射性元素の半減期と安定性を説明できる。年代測定の例として、C14による時代考証ができる。核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。
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14週 |
演習4(後期後半) |
9週から13週までの内容について基礎的な計算ができる。
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15週 |
期末試験 |
試験時間:50分
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16週 |
試験解説と発展授業 |
本授業の内容を総括する
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 放射線の種類と性質を説明できる。 | 4 | |
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 | 4 | |
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。 | 4 | |
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。 | 4 | |
気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。 | 4 | |
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。 | 4 | |
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。 | 4 | |
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。 | 4 | |
混合気体の分圧の計算ができる。 | 4 | |
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。 | 4 | |
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。 | 4 | |
束一的性質を説明できる。 | 4 | |
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | |
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | |
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。 | 4 | |
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。 | 4 | |
エンタルピーの温度依存性を計算できる。 | 4 | |
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 4 | |
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。 | 4 | |
均一および不均一反応の平衡を説明できる。 | 4 | |
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
純物質の絶対エントロピーを計算できる。 | 4 | |
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。 | 4 | |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。 | 4 | |
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。 | 4 | |
平衡定数の温度依存性を計算できる。 | 4 | |
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。 | 4 | |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 4 | |
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。 | 4 | |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。 | 4 | |
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。 | 4 | |