生物化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 生物化学Ⅰ
科目番号 0110 科目区分 専門 / 必履修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 薗田勝:栄養科学イラストレイティッド生化学(羊土社)
担当教員 菅原 正義,河本 絵美

到達目標

この科目は長岡高専の教育目標の(C)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。①細胞の構造と機能を理解する 30%(d1)。②生体を構成している各物質の化学的性質を理解する 30%(d1)。③基本的な異化・同化代謝(糖質、脂質、アミノ酸)を理解する 40%(d1)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1細胞の構造・機能を理解する。細胞の構造・機能を概ね理解する。左記を理解しない。
評価項目2細胞を構成している物質の化学的特徴と性質を理解する。細胞を構成している物質の化学的特徴と性質を概ね理解する。左記を理解しない。
評価項目3代謝とその制御を理解する。代謝とその制御を概ね理解する。左記を理解しない。
評価項目4 基本的な糖・アミノ酸・脂質代謝を理解する。基本的な糖・アミノ酸・脂質代謝を概ね理解する。左記を理解しない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生物化学は、生物機能を応用し物質生産を志す上で根幹的基礎学問である。物質工学科の生物
応用コースを志望し、将来、生物工学分野の仕事・研究に従事したいと考える学生にとって、生化
学の知識習得は重要である。また、材料コースを志望する学生といえども、生物化学の知識は基礎
的素養として重要である。
生化学は、現実に生体内で起こっている現象に関する知識の集積であり、本講義では、生物の基
本単位である細胞の構造と機能、その構成成分の化学、各種代謝の中心的役割をはたす酵素、代謝
について講義を行い、生命現象が化学反応であることを理解させる。また、生化学用語の習得と、
生物関連分野の研究の現状から英語の専門用語の習得も目標とする。
関連する科目:基礎生物工学(前年度履修)、生物化学II(次年度履修)
授業の進め方・方法:
教科書に沿った講義形式。教科書の姉妹版である生化学学習ノートを利用して予復習をすると効果的である。
注意点:
 材料系志望の学生と、生物系志望の学生では必要とする生物化学の素養の量・質ともに異なる。
しかし、材料系といえども現代は生物のもつ多様性の理解が材料開発に必要である。生化学の勉強
は、ほとんどが暗記であり勤勉に勉強すれば容易であるが、とにかく量が多いので一夜漬けは効か
ないことを忠告しておく。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生体成分と細胞 細胞の構造と生体成分を理解する。
2週 単糖の構造・性質 糖とは何か、単糖の構造と性質を理解する。
3週 単糖の立体構造、オリゴ糖・多糖 単糖・オリゴ糖・多糖の構造と性質を理解する。
4週 アミノ酸の分類・構造 アミノ酸の構造と性質を理解する。
5週 アミノ酸の性質、ペプチド・タンパク質の分類 アミノ酸の性質とペプチド結合について理解する。
6週 タンパク質の構造 タンパク質の一~四次構造を理解する。
7週 前期中間試験
8週 試験解説と発展授業
2ndQ
9週 脂質の分類、脂肪酸の構造・性質 脂質の定義と脂肪酸の性質を理解する。
10週 脂肪・脂質の構造・性質 脂肪と脂質の性質を理解する。
11週 ヌクレオチド・核酸の分類・構造 ヌクレオチドと核酸の性質を理解する。
12週 酵素の種類・性質 酵素の種類と性質を理解する。
13週 ビタミンの分類、水溶性ビタミン 水溶性ビタミンの性質と生体内での役割を理解する。
14週 脂溶性ビタミン、補酵素 脂溶性ビタミンの性質とビタミンが補酵素として働くことを理解する。
15週 前期末試験
16週 試験解説と発展授業
後期
3rdQ
1週 代謝概論、細胞の構造 代謝(異化・同化)と細胞の構造を理解する。
2週 細胞の構造 細胞の構造と細胞内情報伝達を理解する。
3週 細胞の構造 細胞内の高エネルギー化合物と水素受容補酵素の働きについて理解する。
4週 糖代謝(解糖系・発酵) 解糖系について理解する。
5週 糖代謝(TCA 回路) TCA回路について理解する。
6週 糖代謝(ペントースリン酸経路) ペントースリン酸経路の役割について理解する。
7週 後期中間試験 試験解説と発展授業
8週 試験解説と発展授業
4thQ
9週 糖代謝(光合成・糖新生・電子伝達系) 光合成と電子伝達系について理解する。
10週 糖代謝・脂質代謝・アミノ酸代謝の関係 エネルギー代謝の観点から、糖・脂質・アミノ酸代謝の相互関係を理解する。
11週 脂質代謝(β-酸化) 脂肪酸がエネルギーに変換される過程を理解する。
12週 脂質代謝(脂肪酸合成と体内輸送) 肝、筋細胞において、高血糖時に脂肪酸合成が亢進する過程を理解する。
13週 アミノ酸代謝 アミノ基転移によるアミノ酸の合成と必須アミノ酸の意味を理解する。
14週 アミノ酸代謝(体内輸送と尿素回路) アミノ酸の脱アミノとアンモニアの解毒について理解する。
15週 後期期末試験
16週 試験解説と発展授業

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4前1,後1
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4前1,後1,後2
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4前1,後1,後2
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4後1,後3,後9
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前12,後2,後3
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4後1,後6,後9
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4前1,後1
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4後1
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4後1,後2
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4後1,後2
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前1,前2,前4,前11
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前1
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4前2,前3
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4前2,前3
グリコシド結合を説明できる。4前3
多糖の例を説明できる。4前3
脂質の機能を複数あげることができる。4前9,前10
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4前9,前10
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前9,前10
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前6,前12
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前4,前5
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前4,前5
タンパク質の高次構造について説明できる。4前6
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前11
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前11
RNAの種類と働きを列記できる。4前11
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前12,前13,前14
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前12
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4前12,前13,前14,後3,後7
解糖系の概要を説明できる。4後4
クエン酸回路の概要を説明できる。4後5,後9,後10
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4後9
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4後4
各種の光合成色素の働きを説明できる。4後9
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4後6,後9
炭酸固定の過程を説明できる。4後9

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力5050
専門的能力5050
分野横断的能力00