この科目は長岡高専の教育目標の(C)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。①細胞の構造と機能を理解する 30%(d1)。②生体を構成している各物質の化学的性質を理解する 30%(d1)。③基本的な異化・同化代謝(糖質、脂質、アミノ酸)を理解する 40%(d1)。
概要:
生物化学は、生物機能を応用し物質生産を志す上で根幹的基礎学問である。物質工学科の生物
応用コースを志望し、将来、生物工学分野の仕事・研究に従事したいと考える学生にとって、生化
学の知識習得は重要である。また、材料コースを志望する学生といえども、生物化学の知識は基礎
的素養として重要である。
生化学は、現実に生体内で起こっている現象に関する知識の集積であり、本講義では、生物の基
本単位である細胞の構造と機能、その構成成分の化学、各種代謝の中心的役割をはたす酵素、代謝
について講義を行い、生命現象が化学反応であることを理解させる。また、生化学用語の習得と、
生物関連分野の研究の現状から英語の専門用語の習得も目標とする。
関連する科目:基礎生物工学(前年度履修)、生物化学II(次年度履修)
授業の進め方・方法:
教科書に沿った講義形式。教科書の姉妹版である生化学学習ノートを利用して予復習をすると効果的である。
注意点:
材料系志望の学生と、生物系志望の学生では必要とする生物化学の素養の量・質ともに異なる。
しかし、材料系といえども現代は生物のもつ多様性の理解が材料開発に必要である。生化学の勉強
は、ほとんどが暗記であり勤勉に勉強すれば容易であるが、とにかく量が多いので一夜漬けは効か
ないことを忠告しておく。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 基礎生物 | 原核生物と真核生物の違いについて説明できる。 | 4 | 前1,後1 |
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。 | 4 | 前1,後1,後2 |
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。 | 4 | 前1,後1,後2 |
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。 | 4 | 後1,後3,後9 |
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 | 4 | 前12,後2,後3 |
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。 | 4 | 後1,後6,後9 |
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。 | 4 | 前1,後1 |
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。 | 4 | 後1 |
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。 | 4 | 後1,後2 |
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。 | 4 | 後1,後2 |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 4 | 前1,前2,前4,前11 |
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 4 | 前1 |
単糖と多糖の生物機能を説明できる。 | 4 | 前2,前3 |
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。 | 4 | 前2,前3 |
グリコシド結合を説明できる。 | 4 | 前3 |
多糖の例を説明できる。 | 4 | 前3 |
脂質の機能を複数あげることができる。 | 4 | 前9,前10 |
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。 | 4 | 前9,前10 |
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。 | 4 | 前9,前10 |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 4 | 前6,前12 |
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 | 4 | 前4,前5 |
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 | 4 | 前4,前5 |
タンパク質の高次構造について説明できる。 | 4 | 前6 |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 4 | 前11 |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 4 | 前11 |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 4 | 前11 |
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 | 4 | 前12,前13,前14 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。 | 4 | 前12 |
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。 | 4 | 前12,前13,前14,後3,後7 |
解糖系の概要を説明できる。 | 4 | 後4 |
クエン酸回路の概要を説明できる。 | 4 | 後5,後9,後10 |
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。 | 4 | 後9 |
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。 | 4 | 後4 |
各種の光合成色素の働きを説明できる。 | 4 | 後9 |
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。 | 4 | 後6,後9 |
炭酸固定の過程を説明できる。 | 4 | 後9 |