材料化学実験

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 材料化学実験
科目番号 0126 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 配布テキスト/参考図書 化学同人編集部編、「正・続 実験を安全に行なうために」(化学同人)泉、小川、「機器分析の手引き」(化学同人)
担当教員 鈴木 秋弘,細貝 和彦,小出 学,奥村 寿子,宮田 真理

到達目標

この科目は長岡高専の教育目標(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。
有機材料系:
①化合物の合成方法を考え、操作・装置・条件を設定する技術を理解する。7%(d3)、②各種抽出・分離・検出の原理・操作・解析手法を理解する。6%(d3)、
高分子系:
①高分子微粒子調製技術に関連する知識の習得。4%(d3)、②塊状重合操作技術に関連する知識の習得。4%(d3)、③粘度法による分子量測定技術に関連する知識の習得。4%(d3)、
無機材料1:
①LCRメータを用いたセラミックスの誘電率測定を習得する。7%(d3)、②粉末X線回折を用いた化合物同定を習得する。6%(d3)、
無機材料2:
①示差熱分析測定法を習得する。6%(d3)、②熱機械分析測定法を習得する。6%(d3)、
機器分析演習1:
①主に本実験で学ぶ有機材料分野の機器分析についての演習。12%(d3)、
機器分析演習2:
①主に本実験で学ぶ無機材料分野の機器分析についての演習。13%(d3)、
機器分析系:
①各磁気共鳴(NMR)の原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を理解する。9%(d3)、②走査型電子顕微鏡(SEM)の原理を学習し、導電率、非導電性試料に対する観察手法を理解する。8%(d3)、③原子吸光分析(AAS)の原理を学習し、測定方法と解析の手法を理解する。8%(d3)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
有機材料系 評価項目1 化合物の合成方法を考え、操作・装置・条件を設定する技術を理解する。 化合物の合成方法を考え、操作・装置・条件を設定する技術を概ね理解する。左記に達していない。
有機材料系 評価項目2 各種抽出・分離・検出の原理・操作・解析手法を理解する。各種抽出・分離・検出の原理・操作・解析手法を概ね理解する。左記に達していない。
高分子系 評価項目1 高分子微粒子調製技術に関連する知識を習得する。高分子微粒子調製技術に関連する知識を概ね習得する。左記に達していない。
高分子系 評価項目2 塊状重合操作技術に関連する知識を習得する。塊状重合操作技術に関連する知識を概ね習得する。左記に達していない。
高分子系 評価項目3 粘度法による分子量測定技術に関連する知識を習得する。粘度法による分子量測定技術に関連する知識を概ね習得する。左記に達していない。
無機材料1 評価項目1 LCRメータを用いたセラミックスの誘電率測定を習得する。LCRメータを用いたセラミックスの誘電率測定を概ね習得する。左記に達していない。
無機材料1 評価項目2 粉末X線回折を用いた化合物同定を習得する。粉末X線回折を用いた化合物同定を概ね習得する。左記に達していない。
無機材料2 評価項目1 示差熱分析測定法を習得する。示差熱分析測定法を概ね習得する。左記に達していない。
無機材料2 評価項目2 熱機械分析測定法を習得する。 熱機械分析測定法を概ね習得する。 左記に達していない。
機器分析演習1 主に本実験で学ぶ有機材料分野の機器分析について演習を通じて理解する。 主に本実験で学ぶ有機材料分野の機器分析について演習を通じて概ね理解する。 左記に達していない。
機器分析演習2 主に本実験で学ぶ無機材料分野の機器分析についての演習を通じて理解する。 主に本実験で学ぶ無機材料分野の機器分析についての演習を通じて概ね理解する。 左記に達していない。
機器分析系 評価項目1 NMRの原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を理解する。 NMRの原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を概ね理解する。 左記に達していない。
機器分析系 評価項目2 SEMの原理を学習し、導電率、非導電性試料に対する観察手法を理解する。 SEMの原理を学習し、導電率、非導電性試料に対する観察手法を概ね理解する。 左記に達していない。
機器分析系 評価項目3 原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を理解する。 原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を概ね理解する。 左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 有機、高分子、無機系の材料合成実験を通して、実験の進め方や実験器具の取り扱い方を学ぶとともに、反応ならびに反応機構、さらに材料の特性や機能についても理解する。実験で得られた試料に対して組成分析や構造解析を行なうとともに材料特性の評価を行なう。前期は、有機、高分子系と無機材料系の実験を行なう。後期は、機器分析の演習と実験を行なう。機器分析の実験では、それまで扱えなかった重要な機器分析装置の利用法とデータ解析法について学ぶ。
〇関連する科目:卒業研究(学科5学年履修)、物質工学実験(学科5学年履修)
授業の進め方・方法:
前期は(有機、高分子系)と(無機材料1、2)の2班に分け、各実験系をローテーションして行なう。後期は、前半に演習を行い、後半は、3班で、各実験をローテーションして行なう。
注意点:
有機系:実験前にフローシートを提出しチェックを受ける。(モル数の計算、有効数字等に注意)実験では、色・臭い・状態の変化など観察をしっかり記録し、その変化の理由を考える。そして、合成した化合物は構造確認まで行い、卒業研究につながるように経験を積むことが肝心である。
高分子系:安全第一を基本とし、次に正確なデータ取得手法を考え、実験・実習を実施せよ。
無機材料系:実験・実習においては安全第一を基本とする。とくに電気炉(高温、高電圧)の取扱いに際しては、火傷、感電などに十分注意する。薬品のなかには有毒なものもあるので、注意を怠らないこと。
機器分析実験系:物質工学科、地域共同テクノセンターに設置の共同分析機器を利用するので、事前にうける操作方法を十分に理解してから使用すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 実験全般および班分け等の説明 本科目の目標や取組み方について理解する。
2週 【有機系】①有機材料概論・実験解説 有機材料についての概論について理解する。
3週 【有機系】②天然物色素の合成(TPP) 天然物色素の合成(TPP)について理解する。
4週 【有機系】③TPPの構造確認(IR, UV-vis:ε, RF測定) TPPの構造確認(IR, UV-vis:ε, RF測定)について理解する。
5週 【高分子系】高分子微粒子の作製と評価についての説明および高分子微粒子の調製 高分子微粒子の調製について理解する。
6週 【高分子系】塊状集合操作における高分子材料の調製 塊状集合操作における高分子材料の調製について理解する。
7週 【高分子系】粘度法による分子量測定 粘度法による分子量測定について理解する。
8週 ローテーション1回目のまとめ
2ndQ
9週 【無機材料1】セラミックスの評価方法について概要の説明 セラミックスの評価方法について概要を理解する。
10週 【無機材料1】LCRメータを用いたセラミックスの誘電率測定 LCRメータを用いたセラミックスの誘電率測定について理解する。
11週 【無機材料1】X線回折を用いた未知試料の同定 X線回折を用いた未知試料の同定について理解する。
12週 【無機材料2】熱分析について概要の説明 熱分析について概要を理解する。
13週 【無機材料2】示差熱分析を用いた材料評価 示差熱分析を用いた材料評価について理解する。
14週 【無機材料2】熱機械分析を用いた材料評価 熱機械分析を用いた材料評価について理解する。
15週 ローテーション2回目のまとめ
16週
後期
3rdQ
1週 IRに関する演習 IRに関して概要を理解する。
2週 UV-visに関する演習 UV-visに関して概要を理解する。
3週 NMRに関する演習 NMRに関して概要を理解する。
4週 材料化学分野で用いられる機器分析法の概要について 材料化学分野で用いられる機器分析法の概要について理解する。
5週 X線回折、熱分析に関する演習 X線回折、熱分析に関して概要を理解する。
6週 原子吸光分析AAS、走査型電子顕微鏡SEMに関する演習 原子吸光分析AAS、走査型電子顕微鏡SEMに関して,概要を理解する。
7週 演習まとめ(予備日)
8週 【機器分析実験】NMR(1):NMRの原理と測定方法の解説 NMRについて原理と測定方法を理解する。
4thQ
9週 【機器分析実験】NMR(2):試料の測定と解析手法の解説と演習 NMRについて試料の測定と解析方法を理解する。
10週 【機器分析実験】SEM(1):SEMの原理と観察方法の解説及び導電性試料の観察 SEMの原理と導電性試料の観察について理解する。
11週 【機器分析実験】SEM(2):非導電性試料の前処理と観察 SEM観察における非導電性試料の前処理と観察方法について理解する。
12週 【機器分析実験】AAS(1):原子吸光分析装置の原理と実験方法 原子吸光分析装置の原理と実験方法を理解する。
13週 【機器分析実験】AAS(2):測定とデータ解析 原子吸光分析装置での測定とデータ解析を理解する。
14週 機器分析系実験のまとめ 機器分析(NMR,SEM,AAS)について理解を深める。
15週 レポートについての報告と発展的内容説明 レポートの確認および本科目で学んだ機器分析技術について理解を深める。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3前1
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3前1
測定と測定値の取り扱いができる。3前1,前2,前3,前4,前12,前13,前14
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3前1,前2,前3,前4,前12,前13,前14
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3前1,前2,前3,前4,前12,前13,前14
ガラス器具の取り扱いができる。3前3,前4
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3前3,前4
試薬の調製ができる。3前3,前4
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3前12,前13,前14
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4前3
吸引ろ過ができる。4前3
再結晶による精製ができる。4前3,前12,前13,前14
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4前3
収率の計算ができる。4前3
分析化学実験陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4後1,後9
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4

評価割合

有機(試験40%,レポート30%,実験操作・マナー30%)高分子(レポート70%,実験操作・マナー30%)無機材料1(レポート50%,フローシート20%,実験操作・マナー30%)無機材料2(レポート50%,実験操作・マナー50%)機器分析演習(演習1レポート50%,演習2レポート50%)機器分析(レポート100%)合計
総合評価割合131213122525100
基礎的能力0000000
専門的能力131213122525100
分野横断的能力0000000