物質工学実験

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 物質工学実験
科目番号 0130 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 山本大二郎、他,基礎物理化学実験,産業図書/実験指導用プリント
担当教員 坂井 俊彦

到達目標

(科目コード:41070、英語名:Experiments in Materials Engineering)
この科目は長岡高専の教育目標(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。①. 物理化学の原理や法則と実際の現象との関係を、「授業計画・内容に示した項目の実験」を通して学ぶことにより、その知識を更に確実なものにする。30%(d3)、②. 測定した物理量の取り扱い方の基礎を身につける(有効数字、回帰分析等)。30%(d3)、③. 報告書の書き方を身につける。40%(d4)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
実験内容の理解と実験操作実験テーマについて、その目的と背景を理解している。各実験操作についても、その意味を理解して実験を行っている。実験テーマについて、その目的と背景を理解している。実験テーマについて、その目的と背景を概ね理解している。左記に達していない
フローチャートの書き方実験テーマについて、その目的と背景を理解し、実験前に必要な計算がされている。実験結果をを整理するための表やグラフが準備してある。実験テーマについて、その目的と背景を理解し、各実験操作についても、その意味を理解している。実験テーマについて、その目的と背景を理解し、各実験操作についても、その意味を概ね理解している。左記に達していない
報告書の書き方実験テーマについて、その目的と背景を理解している。目的、方法、結果、考察など、報告書としての体裁が整い、結果と考察が十分に検討されている。実験テーマについて、その目的と背景を理解している。目的、方法、結果、考察など、報告書としての体裁が整っている。実験テーマについて、その目的と背景を理解している。目的、方法、結果、考察など、報告書としての体裁が概ね整っている。左記に達していない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理化学分野の学習内容についての理解を深めるために、下に示したテーマのうちのいくつかについて基礎的な実験を行う。実験者は精度の高い測定値が得られるよう、各実験テーマの目的に則した実験計画を立て、この実験計画に基づき物理・化学量を測定する。得られた実験データはパソコンなどを用いて解析し、実験結果についての考察を行う。この実験を通して基礎的な実験操作を体得するとともに、物理化学の基本的な考え方を身に付ける。
○関連する科目:物質工学実験(無機・有機・生化)(3学年前期・後期履修)、物質工学実験(化工)(5学年前期履修)、卒業研究(5学年前期・後期履修)
授業の進め方・方法:
第1回、実験の進め方、全体を通しての注意などを含め、本実験についてのガイダンスを行う。
第2回、実験は安全が第一であることから、安全・衛生についての説明を行う。
以下の13テーマの実験を用意しており、それぞれの実験テーマの到達目標については授業計画の第3週から第15週に示したが、全学生が毎週一斉にこれらのテーマについて実験するのではなく、2~3名1組の班ごとにいずれかの実験を割り当て、概ね2週で1テーマずつの実験を行う。
1. 固体の溶解度
2. 液体の相互溶解度
3. 分子量の測定(凝固点降下法)
4. 溶解熱
5. 分解電圧
6. 吸着
7. イオン交換
8. 分配の法則
9. 反応速度
10. 液体の蒸気圧
11. 固体の密度
12. 吸収スペクトルと比色分析
13. pH 測定
注意点:
実験は安全が第一である。事故が起きないよう、実験中は周囲にも気を配り事故防止に努めなければならない。実験は班単位で行うが、各自が行う実験作業量に偏りが出ないよう、協力して実験を進めること。
実験前のフローチャート、実験後のレポートは必ず期限までに提出すること。特段の理由無く提出期限を過ぎたフローチャート、レポートは受理しない。全てのレポートが受理されていなければ単位を取得できないので注意すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 実験における安全確保の重要性の理解。本科目の意義についての理解。
2週 安全衛生指導
実験器具の準備
実験を進める上での安全・衛生に関する具体的な事例の理解。器具の取り扱いに関する理解。
3週 1. 固体の溶解度 固体の溶解度について理解し、その温度依存性を測定し、溶解熱を求めることができる
4週 2. 液体の相互溶解度 液体―液体の相互溶解度曲線を測定し、そう平衡について理解する
5週 3. 分子量の測定(凝固点降下法) 凝固点降下を測定し、分子量を求め、即いつ的性質を理解する
6週 4. 溶解熱 熱量計を用いて物質の溶解熱を測定し、熱容量、溶媒和について理解する
7週 5. 分解電圧 種々の溶液を用いて分解電圧を測定し、電極反応と電極電位について理解する
8週 6. 吸着 吸着等温線を測定し、吸着減少について理解する
2ndQ
9週 7. イオン交換 イオン交換樹脂の比交換容量と選択係数を測定し、イオン交換樹脂について理解する
10週 8. 分配の法則 2液間における分配係数を測定し、分配の法則について理解する
11週 9. 反応速度 反応の速度の温度依存性を測定することにより、反応の活性化エネルギーを求められることを理解する
12週 10. 液体の蒸気圧 液体の蒸気圧の温度依存性を測定し、蒸発エンタルピーを求め、クラウジウスークラペイロンの式について理解を深める
13週 11. 固体の密度 ピクノメーターを用いて固体の密度を測定し、計算密度との比較から、固体構造についての理解を深める
14週 12. 吸収スペクトルと比色分析 吸収スペクトルを測定するとともに検量線法による比色分析ほうについて理解する
15週 13. pH 測定 pHメーターを用いて酸およびアルカリのpHを測定し、pHメーターの原理を理解する
16週 期末試験
17週:試験解説と発展授業
試験時間:50分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4前1
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。4前13
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。4前6
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4前5
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4前4
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。4前7
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4前11

評価割合

試験レポートフローチャート合計
総合評価割合305020100
基礎的能力305020100
専門的能力0000
分野横断的能力0000