化学基礎工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 化学基礎工学Ⅰ
科目番号 0148 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 有機化学(粳間由幸編著、PEL有機化学、実教出版)、物理化学(P.Atkins,他著、アトキンス物理化学要論、東京化学同人、分析化学(渋谷康彦他、分析化学の学び方、三共出版)
担当教員 坂井 俊彦,鈴木 秋弘,小出 学,奥村 寿子

到達目標

この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。
この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。
① 有機化学の基礎理論を理解する。有機化合物の性質、反応を理解する。25%(d1)、②物理化学の基礎理論を理解する。主に熱力学の基礎を理解する。25%(d1)、③分析化学の基礎理論を理解する。実験操作の理論的背景を理解する。25%(d1)、④無機化学の基礎理論を理解する。無機化合物の性質、反応を理解する。25%(d1)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機化学の理論の基礎と応用を理解する。有機化学の理論の基礎を理解する。左記に達していない。
評価項目2物理化学の理論の基礎と応用を理解する。物理化学の理論の基礎を理解する。左記に達していない。
評価項目3分析化学の理論の基礎と応用を理解する。分析化学の理論の基礎を理解する。左記に達していない。
評価項目3無機化学の理論の基礎と応用を理解する。無機化学の理論の基礎を理解する。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
4年次編入生用の選択科目である。工業化学の最も基本となる「分析化学」、「有機化学」、「物理化学」、「無機化学」について例題演習を中心に基礎学力の向上を測る。
〇関連する科目:分析化学、有機化学Ⅰ,Ⅱ、物理化学Ⅰ,Ⅱ、無機化学Ⅰ,Ⅱ、機器分析
授業の進め方・方法:
編入生用の科目であるため、各教員がディスカッションし、理解度を確認しながら進めていく。
注意点:
有機化学、無機化学 前もって教科書を読み、演習を確認しておくことが望ましい。レポートは、期限内に提出すること。
物理化学 自力で演習問題を解くことによって実力が養われる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 無機化学1:元素と周期表 分析化学1:物質量と濃度、平衡定数と反応速度
2週 無機化学2:分子とそのモデル(1) 分析化学2:水溶液での酸塩基平衡の概念、強酸、強塩基の水溶液
3週 無機化学3:分子とそのモデル(2) 分析化学3:弱酸、弱塩基の水溶液、緩衝液
4週 無機化学4:イオン性固体と金属 分析化学4:沈殿平衡と溶解度積
5週 無機化学5:酸化と還元 分析化学5:溶解度の及ぼす因子
6週 無機化学6:典型金属の化学 分析化学6:分配平衡と基本概念
7週 試験 試験
8週 発展授業 発展授業
2ndQ
9週 物理化学1:気体の性質 有機化学1:化学結合
10週 物理化学2:熱力学第一法則(1) 有機化学2:アルカン、シクロアルカン
11週 物理化学3:熱力学第一法則(2) 有機化学3:アルケンとアルキン
12週 物理化学4:熱力学第二法則 有機化学4:芳香族炭化水素
13週 物理化学5:化学平衡 有機化学5:ハロゲン化アルキル
14週 物理化学6:電気化学 有機化学6:アルコールとエーテル
15週 試験 試験
16週 発展授業 発展授業

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。4
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。4
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4前9
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4前10,前11,前12,前13,前14
σ結合とπ結合について説明できる。4前9,前10,前11,前12
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4前10,前11
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4前10,前12
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4前10,前11
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4前9,前13
共鳴構造について説明できる。4前9,前12
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4前10,前11,前12
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4前11
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4前10,前11
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4前12,前13,前14
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14
分析化学電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。4
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。4
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。4
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。4
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。4
物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4
混合気体の分圧の計算ができる。4
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4
束一的性質を説明できる。4
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。4
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。4
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。4
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4
平衡定数の温度依存性を計算できる。4
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4

評価割合

有機化学(試験50%,演習30%,レポート20%)物理化学(試験60%,レポート40%)分析化学(試験100%)無機化学(試験60%,レポート40%)合計
総合評価割合25252525100
基礎的能力00000
専門的能力25252525100
分野横断的能力00000
無機化学00000