材料物理化学

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 材料物理化学
科目番号 0201 科目区分 専門 / 必履修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 配布プリント
担当教員 村上 能規

到達目標

この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順に示す。①固体化学の反応、作成法について学ぶ。30%(d1)、②触媒についての基本的水準での理解を得る。30%(d1)、③材料の光化学について基本的水準での理解を得る。40%(d1)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1固体化学の反応に関する事項について説明し応用することができる固体化学の反応に関する事項について理解している固体化学の反応に関する事項についての基本的な理解に達しない
評価項目2表面の化学反応(触媒)に関し説明し応用することができる表面の化学反応(触媒)に関し基本的水準での理解を得る表面の化学反応(触媒)に関し基本的水準の理解に達しない
評価項目3材料の光化学について説明し応用することができる材料の光化学について基本的水準での理解を得る材料の光化学について基本的水準の理解に達しない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
前半は、固体化学および固体表面における反応(触媒反応)の基礎と実際について、後半については、光の関わる材料化学について学ぶ。
〇関連する科目 「物理化学Ⅰ」(本科3年次履修)、「物理化学Ⅱ」(本科4年次履修)、「物性化学」(専攻科1年次履修)
授業の進め方・方法:
通常の授業形式で進める。資料配布。スライド使用。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業の概要、固体化学について 個の授業を通して学ぶこと
2週 結晶化反応、相平衡と相転移反応 核生成、不均一核生成、相律、再編型相転移、変位型相転移
3週 拡散過程と焼結、固相の反応 格子間機構、空孔機構、リング機構、加成反応、交換反応
4週 固体触媒の表面構造と電子状態 表面構造モデル、ミラー指数、表面欠陥、表面バンド構造と吸着
5週 固体触媒反応の素過程と速度論 物理吸着、化学吸着、ラングミュアー吸着、構造敏感反応
6週 触媒の作製法、評価法 共沈法、含浸法、ゾル・ゲル法、回分式、流通式、パルス法
7週 環境エネルギー関連触媒 自動車触媒、脱硫触媒、水素製造触媒、光触媒
8週 光反応の特徴 熱反応と光反応の違い、電子励起状態、選択則
2ndQ
9週 分子と光の相互作用 ジャブロンスキー図、一重項、三重項
10週 光反応の実験法、解析法 量子収率、消光、Stern-Volmer式
11週 光誘起電子移動反応 エキシマ―、エキサイプレックス、電荷移動錯体、マーカス理論
12週 光増感反応 三重項増感、アルケンのE-Z異性、色素増感作用
13週 自然界における光化学、発光現象 光合成、視覚の光化学、大気における光化学、化学発光
14週 光が関わる電気化学反応、光触媒作用 酸化還元電位、フェルミ準位、界面電気二重層、バンド曲がり
15週 期末試験 期末試験
16週 試験解説と発展授業 試験内容の理解と全般的なまとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。4前7
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。4前1,前3,前5,前6,前7,前8
水の状態変化が説明できる。4前2
物質の三態とその状態変化を説明できる。4前2,前3
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。4前2
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。4前2,前5,前6
原子のイオン化について説明できる。4前10,前11,前12
代表的なイオンを化学式で表すことができる。4前11,前12
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。4前1
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。4前1
イオン式とイオンの名称を説明できる。4前1,前3
イオン結合について説明できる。4前1,前3
イオン結合性物質の性質を説明できる。4前1,前3
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。4前1,前3
共有結合について説明できる。4前1,前3,前4
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。4前1,前3,前4
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。4前1,前4,前14
金属の性質を説明できる。4前1,前4,前14
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4前1,前4
イオン結合と共有結合について説明できる。4前1
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4前1
金属結合の形成について理解できる。4前1,前3
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4前4,前8,前9
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4前4,前8,前9
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4前1,前2,前3
水素結合について説明できる。4前1
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。4前3,前7
物理化学純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4前2
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4前2
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。4前2
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4前5,前13
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4前5,前13
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4前5,前13
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4前5,前13
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4前5,前13
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4前5,前6
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4前5,前6
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4前5,前6
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4前5,前6
平衡定数の温度依存性を計算できる。4前5,前6
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4前5,前6
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4前5,前6
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。4前5,前6
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。4前5,前6
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4前5,前6
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4前14

評価割合

試験レポート課題合計
総合評価割合6040100
基礎的能力202040
専門的能力202040
分野横断的能力20020