この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。①生化学反応を有機化学的な視点で理解する。40%(d1)、②生体物質の構造と機能の関係を理解する。40%(d1)、③生体高分子の分析法を理解する。20%(d1)。
概要:
生物有機化学は、有機化学と生物化学の境界領域に位置した分野である。生体を構成する物質、とくに、生体の主要な構成成分であるタンパク質、糖質、脂質や核酸を取り上げ、その構造と性質、分析法について学習する。また、生体内での物質変換を伴うエネルギー代謝における分子基盤についても学習する。
関連する科目:有機化学ⅠA、ⅠB、Ⅱ(3学年、4学年前期)、応用有機化学(次年度履修)、生体物質化学(次年度履修)
授業の進め方・方法:
適宜、授業に沿った小テストを行う。立体構造などをイメージしやすいように、授業はスライドや模型を使って理解を深めていく。
注意点:
生物有機化学は、境界領域の学問で日進月歩の分野であり、常に最新の研究情報に注意を払う必要がある。内容の理解には、積極的な授業への参加と有機化学、生物化学の復習、日常的な自学自習が必要である。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。 | 4 | 前1,前4,前5,前6 |
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。 | 4 | 前2,前3 |
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。 | 4 | 前2,前3 |
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。 | 4 | 前2 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 4 | 前1 |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 4 | 前3,前4 |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 4 | 前4,前5 |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 4 | 前3,前4,前6 |
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 4 | 前3 |
単糖と多糖の生物機能を説明できる。 | 4 | 前4 |
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。 | 4 | 前4 |
グリコシド結合を説明できる。 | 4 | 前4 |
多糖の例を説明できる。 | 4 | 前4 |
脂質の機能を複数あげることができる。 | 4 | 前5 |
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。 | 4 | 前5 |
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。 | 4 | 前5 |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 4 | 前3,前10 |
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 | 4 | 前3,前10 |
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 | 4 | 前3,前10 |
タンパク質の高次構造について説明できる。 | 4 | 前3,前10 |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 4 | 前6,前9 |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 4 | 前6,前9 |
DNAの半保存的複製を説明できる。 | 4 | 前6,前9 |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 4 | 前6,前9 |
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。 | 4 | 前6,前9 |
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 | 4 | 前12 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。 | 4 | 前12 |
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。 | 4 | 前12 |
解糖系の概要を説明できる。 | 4 | 前11 |
クエン酸回路の概要を説明できる。 | 4 | 前11 |
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。 | 4 | 前11 |