物性科学

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物性科学
科目番号 0003 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子機械システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 小長井 誠,電子・情報工学講座8半導体物性,培風館,1992年
担当教員 大石 耕一郎

到達目標

(科目コード:A1280,英語名:Materials Science)(本科目は第3学期に実施する。週に2回行うので十分注意すること。授業計画の週は回と読み替えること)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる.この科目の到達目標と,各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を,到達目標,評価の重み,学習・教育目標との関連の順で次に示す.
① 空間格子と結晶系について理解し、結晶の方位及び結晶面を表す方法を習得する。20% (D1)
② 回折の運動学的理論を理解し、結晶構造因子の計算方法を習得する。40% (D1)
③ 代表的な結晶成長方法について理解する。20% (D1)
④ 格子振動と比熱の関係について、定性的に理解する。20% (D1)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1標準的な到達レベルに加え、立方晶,正方晶及び直方晶の面間隔を導出することができる。最低限の到達レベルに加え、空間格子内の結晶面を理解し、ミラー指数またはミラー・ブラベー指数を用いて結晶面を表すことができる。結晶の方位を示すことができる。ミラー指数の定義を示すことができる。結晶方位やミラー指数の定義を正しく示すことができない。
評価項目2回折現象として、逆格子の2次元投射を説明することができる。最低限の到達レベルに加え、逆格子とエワルド球について説明することができる。代表的な結晶構造内の原子位置を原子座標で示すことができ、結晶構造因子を正しく計算することができる。結晶構造因子を正しく計算することができない。
評価項目3標準的な到達レベルに示す方法について、それぞれ詳しく説明することができる。チョクラスルキー法,ブリッジマン・ストックバーガー法及びフローティング・ゾーン法の概略を説明することができる。標準的な到達レベルで示す方法のうち、2つ以上を正しく説明することができる。標準的な到達レベルで示す方法のうち、2つ以上を正しく説明することができない。
評価項目4デバイ温度について、定性的に説明することができる。固体の格子比熱の温度依存性について、定性的に説明することができる。固体の格子比熱の温度依存性について、グラフで示すことができる。定積比熱の定義を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物性(材料)科学は、固体から液体までの広範な物質を研究対象とし、その性質を解明する学問であり、材料の研究・開発分野の基礎として位置付けられている。本講義では、固体,その中でも最も基本的で重要な結晶を中心に取り上げる。結晶を観察・解析する上で必要となる知識の修得を目的として、逆格子とエワルド球の概念の導入から構造因子の計算までの回折の運動学的理論を取り扱う。また、様々な結晶成長法並びに格子振動と比熱について概説する。
〇関連する科目:電子物性工学(第4学期履修),半導体デバイス(次年度第1学期履修)
授業の進め方・方法:
授業計画に沿って、基本的に講義形式で実施する。レポート(宿題)は、5通程度出題する。また、適宜、演習を行う。レポートや演習について、積極的に学生に説明させる。
注意点:
なるべく専門分野(機械工学,電気・電子工学等)を限定しない講義を心掛けるが、各専門分野での結晶に関する知識(専門分野における結晶の位置付けなど)があったほうがわかりやすい。
レポート提出の締切超過は減点、未提出は0点とする。また、他者のコピーとみなしたレポートは、オリジナル,コピーを問わず、共に減点する。
原則として、再試験は実施しない。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 空間格子と単位格子 結晶の定義を理解する。
単位胞,格子定数,空間格子を理解するための課題
2週 格子方向と格子面 空間格子内で結晶の方位及び結晶面を示すことができる。
この到達目標に関する課題
3週 ブラベー格子 立方晶系,正方晶系,直方晶系について説明することができる。
この到達目標に関する課題
4週 結晶構造 原子座標を用いて結晶構造を示すことができる。
この到達目標に関する課題
5週 格子欠陥 点欠陥,線欠陥,面欠陥について説明することができる。
この到達目標に関する課題
6週 X線回折と結晶構造 ブラッグの法則を説明することができる。
この到達目標に関する課題
7週 逆格子とエワルド球:逆格子,波数ベクトル(講義用プリントを使用) 実空間と逆格子空間の関係を説明することができる。逆格子ベクトルの定義から、面間隔の計算式を導出することができる。
この到達目標に関する課題
8週 逆格子とエワルド球:エワルド球(講義用プリントを使用) 逆格子とエワルド球の関係を説明することができる。
この到達目標に関する課題
4thQ
9週 結晶構造因子と消滅則(講義用プリントを使用) 結晶構造因子を計算することができる。
この到達目標に関する課題
10週 結晶成長方法(資料を配布) チョクラスルキー法,ブリッジマン・ストックバーガー法及びフローティング・ゾーン法について説明することができる。
この到達目標に関する課題
11週 格子振動:1次元格子振動 1次元調和振動子モデルを学習する。
教科書2.2,2.3で示される計算を理解するための課題
12週 格子振動:フォノン 格子振動の量子化を理解する。
量子論(量子力学)の導入が必要であることを理解するための課題
13週 固体の熱的性質:比熱とフォノン 固体の格子比熱の温度依存性について、定性的に説明することができる。
この到達目標に関する課題
14週 固体の熱的性質:アインシュタインモデルとデバイモデル デバイ温度について、定性的に説明することができる。
この到達目標に関する課題
15週 まとめと発展授業
16週 期末試験
17週:試験解説
試験時間:80分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。5後3
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。5後2
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。5後4
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。5後6,後7,後8,後9
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。5後7,後8

評価割合

試験レポートその他合計
総合評価割合75250100
基礎的能力0000
専門的能力75250100
分野横断的能力0000