到達目標
(科目コード:A1140, 英語名 Physical Properties of Electronic Materials )
(本科目は第四学期に実施する。週に二回行うので十分注意すること。授業計画の週は、回と読み替えること)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。
この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①固体のバンド理論について理解する。35%(D1)
②半導体の電気的特性の基本を理解する。30%(D1)
③半導体の電気伝導機構について理解する。35%(D1)
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 固体のバンド理論について詳細に理解して説明できる。 | 固体のバンド理論について理解する。 | 固体のバンド理論について概ね理解する。 | 左記に達していない。 |
評価項目2 | 半導体の電気的特性の基本を詳細に理解して説明できる。 | 半導体の電気的特性の基本を理解する。 | 固体のバンド理論について概ね理解する。 | 左記に達していない。 |
評価項目3 | 半導体の電気伝導機構について詳細に理解して説明できる。 | 半導体の電気伝導機構について理解する。 | 固体のバンド理論について概ね理解する。 | 左記に達していない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
今日の情報化社会の基礎をなしている各種エレクトロニクス機器は,半導体素子を中心に構成されている。トランジスタ、ダイオード、発光受光素子の動作を理解するには、固体中の電子の振る舞いを理解する必要がある。固体材料の物性を理解するには、量子力学や統計力学などの現代物理学の知識が必要である。この講義では、半導体の性質を物性的な視点から解説する。また、本科目は企業で大規模集積回路(LSI)のプロセス開発に従事した教員が、その経験を活かし、実際に使用される半導体素子や電子回路における電子の物性について講義形式で授業を行うものである。
○関連する科目:物性科学(前期履修)、半導体デバイス(次年度履修)
授業の進め方・方法:
この授業は学修単位科目のため、事前・事後学習として「週ごとの到達目標」欄に示す課題などを実施する。
注意点:
電子工学,物理,化学の基本的事柄について知識が必要である。特に現代物理(量子論)に関する基本事項については理解をしておくことが必要である。なるべく直感的に分かり易い説明をするので、式の誘導などは各自確認する必要がある。関連する科目として、「物性科学」、「半導体デバイス」があり、これらも履修することが望ましい。本科目は原則、面接授業として実施するが、感染症拡大状況によっては必要に応じ遠隔授業として実施する場合がある。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
固体電子論の考え方 |
固体電子論の考え方を理解できる。 課題「固体電子論の基本的な問題、量子論の考え方」
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2週 |
固体のバンド理論(1) 固体のバンド理論の定性的な説明 |
固体のバンド理論の定性的な説明ができる。 課題「固体中の電子に関する復習」
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3週 |
固体のバンド理論(2) 深いポテンシャルの井戸と金属内の自由電子 |
深いポテンシャルの井戸と金属内の自由電子について説明ができる。 課題「ポテンシャル中の電子に関す る復習」
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4週 |
固体のバンド理論(3) 状態密度 |
状態密度について説明できる。 課題「状態密度の計算」
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5週 |
固体のバンド理論(4) 有効質量、正孔 |
有効質量、正孔について説明できる。 課題「有効質量に関する復習」
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6週 |
半導体の電気物性(1) 真性半導体のキャリア濃度 |
真性半導体のキャリア濃度について説明できる。 課題「半導体中の電気伝導に関する計算」
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7週 |
半導体の電気物性(2) 不純物ドープとp形・n形半導体 |
不純物ドープとp形・n形半導体について説明できる。 課題「不純物添加の方式の検討、イオン化エネルギーの計算」
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8週 |
半導体の電気物性(3) 金属の電気伝導と散乱機構 |
金属の電気伝導と散乱機構について説明できる。 課題「電気伝導に関する基本的な計算」
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4thQ |
9週 |
半導体の電気物性(4) 導電率と移動度 |
導電率と移動度に関する計算ができる。 課題「移動度に関する計算」
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10週 |
半導体の電気物性(5) ホール効果 |
ホール効果の計算ができる。 課題「ホール効果の計算」
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11週 |
半導体の電気伝導機構(1) ドリフト電流と拡散電流 |
ドリフト電流と拡散電流について説明できる。 課題「半導体中の電流の計算」
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12週 |
半導体の電気伝導機構(2) 多数キャリア注入と少数キャリア注入 |
多数キャリア注入と少数キャリア注入について説明できる。 課題「少数キャリア注入に関する復習」
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13週 |
半導体の電気伝導機構(3) キャリアの再結合過程 |
キャリアの再結合過程について説明できる。 課題「キャリア再結合の復習」
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14週 |
半導体の電気伝導機構(4) 少数キャリア連続の方程式 |
少数キャリア輸送について理解できる。 課題「少数キャリアの輸送に関する復習」
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15週 |
半導体の電気伝導機構(5) 少数キャリア連続の方程式 |
少数キャリア連続の方程式について理解できる。 課題「少数キャリア連続の方程式に関する復習」
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16週 |
期末試験 17週:試験解説と発展授業 |
試験時間 50分間
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 物体の質量と速度から運動量を求めることができる。 | 4 | |
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 4 | |
波動 | 波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。 | 4 | |
電気 | 導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 定期試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 20 | 100 |