(科目コード:A1311、英語名:Computer Vision)(本科目は第3学期に実施する。週に2回行うので十分注意すること。授業計画の週は回と読み替えること)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
1.ベクトル演算・行列演算を理解する。(C1),(C2),(E1),60%
2.射影幾何学について基本概念を理解する。(D1),40%
概要:
ディジタルカメラで撮影された2次元の画像には、3次元世界の情報が縮退され写し込まれている。コンピュータビジョンとは、2次元の画像から元の3次元世界の情報を取り出すこと、人の視覚認識をコンピュータに代替させることを目標とする研究分野である。この講義では、画像や撮像系、表色系の数学的モデル、射影幾何学、ステレオカメラによる3次元計測などの基本的な理論を紹介する。
この講義は複数教員担当方式で実施する。
〇関連する科目:計算機システム(EE5年次履修),信号理論(前期履修)
授業の進め方・方法:
講義時間の1/3程度は演習を行い、ベクトル演算や行列演算を実用的な側面から理解することを目指す。この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポート課題などを実施する。
注意点:
基本原理の習得を目的に、多くの演習を行うのでできるだけ欠席しないこと。数学で学んだ平面幾何、立体幾何、ベクトル、行列について十分復習しておくことが望ましい。表面的な丸暗記をするのではなく、基本原理や考え方を身につけるよう心がけてほしい。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス、コンピュータビジョンの概説 |
コンピュータビジョンや関連する用語について理解する。課題:ディジタル画像表現法の調査,画像機器の調査など
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2週 |
ベクトル・行列(1) |
線形代数におけるベクトル演算、行列演算を復習し、その基本事項を理解する。課題:ベクトル演算,行列演算
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3週 |
ベクトル・行列(2) |
線形代数におけるベクトル演算、行列演算を復習し、その基本事項を理解する。課題:ベクトル演算,行列演算
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4週 |
幾何学(1) |
平面や空間中での直線の表現方法を理解する。課題:幾何学の演習問題
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5週 |
幾何学(2) |
平面や空間中での平面の表現方法を理解する。課題:幾何学の演習問題
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6週 |
座標変換,自由度 |
平面や空間中での座標変換を同次座標変換行列で表現できることを理解する。平面や空間中の自由度について理解する。課題:座標変換の演習、自由度の演習
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7週 |
人間の視覚特性・表色系 |
人間の視覚特性について理解し、色を数値表現するための表色系について基本事項を理解する。課題:視覚特性・表色系の調査・演習
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8週 |
カメラの数学的モデル |
カメラの数学的モデルについて理解する。課題:カメラの数学モデルの演習
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4thQ |
9週 |
共線条件・共面条件 |
共線条件・共面条件について理解する。課題:共線条件・共面条件の演習
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10週 |
平行投影モデル |
平行投影モデルを用いた平行2直線や直交2直線などの姿勢推定について基本事項を理解する。課題:平行投影モデルの演習
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11週 |
射影幾何学(1) |
透視投影モデルを用いた平行2直線や直交2直線などの姿勢推定について基本事項を理解する。課題:透視投影モデルの演習
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12週 |
射影幾何学(2) |
射影幾何学における複比について基本事項を理解する。課題:透視投影モデルの演習
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13週 |
ステレオカメラ(1) |
三角測量の原理と平行ステレオカメラによる三次元計測について基本事項を理解する。課題:ステレオカメラの演習
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14週 |
ステレオカメラ(2) |
ステレオカメラによる三次元計測における誤差の異方性について理解する。課題:ステレオカメラの誤差推定の演習
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15週 |
総合演習 |
総合的な問題演習を行う。
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16週 |
総合演習の講評,実画像からの計測について |
実画像からの三次元計測について概要を理解する。課題:実画像計測に関する調査
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。 | 5 | 後2 |
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。 | 5 | 後2 |
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。 | 5 | 後4 |
簡単な連立方程式を解くことができる。 | 5 | 後4 |
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。 | 5 | 後4 |
角を弧度法で表現することができる。 | 5 | 後2 |
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 5 | 後2 |
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 5 | 後6 |
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 5 | 後6 |
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。 | 5 | 後6 |
2点間の距離を求めることができる。 | 5 | 後2,後3 |
内分点の座標を求めることができる。 | 5 | 後2,後3 |
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。 | 5 | 後4,後5 |
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。 | 5 | 後2,後3,後4,後5 |
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。 | 5 | 後4,後5 |
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。 | 5 | 後4,後5 |
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。 | 5 | 後4,後5 |
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。 | 5 | 後4,後5 |
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。 | 5 | 後3,後6 |
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。 | 5 | 後6 |
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。 | 5 | 後6 |
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。 | 5 | 後6 |
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。 | 5 | 後6 |
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。 | 5 | 後6 |
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。 | 5 | 後4 |
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。 | 5 | 後4 |
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。 | 5 | 後5 |
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。 | 5 | 後5 |