化学反応論

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和08年度 (2026年度)
授業科目 化学反応論
科目番号 0011 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻 対象学年 専2
開設期 3rd-Q 週時間数 4
教科書/教材 教科書は使用しない(自作した授業プリントを配布)。参考書:「反応速度論」 真船文隆・廣川淳著 (裳華房)、「基礎分子物理化学」 K.A.McLauchlan 著 中村 和郎 訳 (東京化学同人)
担当教員 村上 能規

到達目標

(科目コード:A2150、英語名:Chemical Reaction Principls)(本科目は第3学期に実施する。週に2回行うので十分注意すること。授業計画の週は回と読み替えること)
この科目は長岡高専の教育目標(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。①化学反応の速度解析(微分法、積分法、半減期法)の基礎を身につける。30%(D1)、②複雑な化学反応ネットワーク(可逆反応、並列反応、逐次反応)とその具体例としての酵素反応や触媒反応等の特徴について説明できる。40%(D1)、③化学反応の反応速度の理論の基礎となる分子統計熱力学を理解できる。気相および液相の反応速度定数の持つ物理化学的な背景を説明できる。30%(D1)。
○関連する科目:「物理化学Ⅰ」(本科4年次)、「物理化学Ⅱ」(本科4年次)、材料物理化学(本科4年次)、物性化学 (専攻科1年次)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
反応速度の表し方と反応次数積分法、微分法のどちらがよいか選択し、未知の反応の反応次数を予測し、半減期を予測できる。反応次数、積分法、微分法、半減期について定義およびその利用法について説明できる。反応次数、積分法、微分法、半減期についてその定義(用語)を説明できる。左記に達していない
複雑な化学反応ネットワーク解析と定常状態近似の計算法未知の複雑な化学反応ネットワークを解析し、定常状態近似を使って反応解析ができる。複雑な化学反応ネットワークの解析例をすべて理解し、定常状態近似の原理についても基本的な反応系のものはすべて説明できる。複雑な化学反応ネットワークの解析について基本的な内容を知っている。定常状態近似もヒントがあれば解析できる。左記に達していない
分子統計熱力学と反応速度理論の理解と計算分配関数を分子構造から計算できる。未知の化学反応の平衡定数を自分で計算して求めた分配関数から予測でき、また、未知の化学反応の反応速度定数の温度依存性から反応に関する熱化学パラメーターを導出できる化学反応の反応物と生成物の分配関数から化学反応の平衡定数を求めることが出来る。活性化エネルギーと頻度因子から反応に関する熱化学パラメーターを導出できる。可逆反応における化学反応の平衡定数と速度定数の関係を説明できる。分配関数の定義を知っている。反応速度定数の活性化エネルギー、頻度因子と熱化学パラメーターとの関係について説明できる。左記に達していない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学反応には平衡論的な見方と速度論的な見方がある。ある反応が起こる可能性があるかどうか、どこまで進むかは化学平衡の問題であり、これらは化学熱力学によって理論的に推定することが可能である。一方、化学反応が平衡に達するまでの速度を取り扱う領域は反応速度論と呼ばれる。反応速度論は反応解析において重要な情報を我々に提供し、化学反応の機構を明らかにするための手段として極めて重要である。前半は、このような反応速度論の基礎となる反応素過程の解析法を学修し、さらには、複数の反応が並行して行われる複雑反応系の解析法を解説する。後半は、気相中の化学種の分子衝突や液体中の化学種の拡散現象と気相反応および液相反応の反応速度定数とどのような関連性があるのがを紹介したうえ(反応速度定数の古典論)で、最後に、量子状態(エネルギー準位)を礎とした分子統計熱力学と反応速度定数を関連付ける理論である遷移状態理論を学修し、化学反応速度定数に関する理論全般について古典論から量子論に変遷していく経緯を踏まえ解説する。
授業の進め方・方法:
この授業は学修単位科目のため、事前・事後学習として「週ごとの到達目標」欄に示す課題などを実施する。授業は配布プリントを用いる。授業では配布プリントの内容の解説に加え、解説した内容に関する演習を授業時間内に行う形式である。演習時に演習問題を解くので、関数電卓あるいは表計算ができるPCを持参すること。受講者が事前に配布プリントを読み、事前学習ができるようにTeams上で授業資料を公開している。授業後に理解度を確認するためのレポート課題を出す(シラバスの各回の課題内容を参照)。
注意点:
反応速度の解析には数学的取り扱いが必要となる。微分、積分等の基礎を復習し、さらに、物理化学Ⅰで学ぶ反応速度論の基礎や熱力学全般、そして、物理化学Ⅱで学んだ量子化学の内容を十分復習したうえで授業に臨むべきである。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 第1回:本授業で学ぶ化学反応論の内容について(ガイダンス)
第2回:反応速度と反応次数
第1回:反応速度論の概要を説明できる
【課題】反応速度論の概要に関する課題
第2回:反応速度と反応次数を説明できる。
【課題】反応速度と反応次数に関する課題
2週 第3回:反応速度の解析法(微分法、積分法、半減期法)
第4回:複雑な反応系(可逆反応、並列反応、逐次反応)
第3回:反応速度の解析法を説明できる
【課題】反応速度の解析法に関する課題
第4回:複雑な反応系を説明できる。
【課題】複雑な反応系に関する課題
3週 第5回:定常状態近似と酵素反応・大気化学反応
第6回:固体表面と光化学の反応速度論
第5回:定常状態近似と酵素反応・大気化学反応を説明できる
【課題】定常状態近似と酵素反応・大気化学反応に関する課題
第6回:固体表面と光化学の反応速度論を説明できる。
【課題】固体表面と光化学の反応速度論に関する課題
4週 第7回:気相と液相の反応速度論(衝突理論、拡散律速、反応律速)
第8回:分子統計熱力学入門
第7回:気相と液相の反応速度論を説明できる
【課題】気相と液相の反応速度論に関する課題
第8回:分子統計熱力学の基礎的な事項を説明できる。
【課題】分子統計熱力学に関する基礎的な事項に関する課題
5週 第9回:並進の分配関数
第10回:2原子分子および多原子分子の振動および回転運動
第9回:並進の分配関数を説明できる
【課題】並進の分配関数に関する課題
第10回:2原子分子および多原子分子の振動・回転運動を説明できる。
【課題】2原子分子および多原子分子の振動・回転運動に関する課題
6週 第11回:2原子分子および多原子分子の振動・回転の分配関数
第12回:分配関数を用いた平衡定数の計算
第11回:2原子分子および多原子分子の振動・回転の分配関数を説明できる
【課題】2原子分子および多原子分子の振動・回転の分配関数に関する課題
第12回:分配関数を用いた平衡定数の計算法を説明できる。
【課題】分配関数を用いた平衡定数の計算に関する課題
7週 第13回:遷移状態理論による反応速度定数の予測。反応速度定数(頻度因子、活性化エネルギー)と熱化学パラメーターの関係
第14回:光電子移動反応(マーカスの理論)およびレーザ発振(反転分布、誘導放出)の速度論
第13回:遷移状態理論による反応速度定数の予測ができ、反応速度定数と熱化学パラメーターの関係について説明できる
【課題】遷移状態理論による反応速度定数の予測、および、反応速度定数の温度依存性から熱化学パラメーターを導出する課題
第14回:光電子移動反応およびレーザ発振の速度論を説明できる。
【課題】光電子移動反応およびレーザ発振に関する課題
8週 第15回:総括:身の回りの反応速度論(連鎖反応、振動反応)
第16回:期末試験
第17回:試験解説・発展授業
第15回:総括:身の回りの反応速度論について説明できる。
【課題】身の回りの反応速度論に関する課題
第16回:試験時間 60分
第17回:試験解説・発展授業 50分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。5後1,後3,後7
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。5後3,後5,後7
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。5後2,後4,後5
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。5後3,後5
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。5後4,後5

評価割合

レポート試験合計
総合評価割合20800100
基礎的能力1040050
専門的能力1040050
分野横断的能力0000