到達目標
この科目は長岡高専の教育目標(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。①化学反応における速度論的な見方の基礎を身につける。30%(D1)、②基礎的な反応速度式の運用能力を身につける。40%(D1)、③反応解析における反応速度論の重要性を理解する。30%(D1)。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
反応速度の表し方と反応次数 | 積分速度式を用いて反応速度定数、反応次数を計算できる。 | 反応速度式、反応次数について説明できる。 | 左記に達していない |
反応速度と分子の衝突 | 衝突頻度、活性化エネルギーと反応速度の関係を説明でき、実験結果から反応の活性化エネルギーを計算できる。 | 反応速度と分子の衝突の関係について説明できる。 | 左記に達していない |
触媒反応 | 均一触媒、不均一触媒反応について説明でき、触媒反応と活性化エネルギーの関係を説明できる。 | 触媒反応と活性化エネルギーの関係について説明できる。 | 左記に達していない |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
化学反応には平衡論的な見方と速度論的な見方がある。ある反応が起こる可能性があるかどうか、どこまで進むかは化学平衡の問題であり、これらは化学熱力学によって理論的に推定することが可能である。一方、化学反応が平衡に達するまでの速度を取り扱う領域は反応速度論と呼ばれる。反応速度論は反応解析において重要な情報を我々に提供し、化学反応の機構を明らかにするための手段として極めて重要である。化学反応の速度論的な知識は学問的な見地のみならず、化学反応を実際に行わせる反応器の設計や、操作の最適化のために欠くことが出来ない。さらに、化学反応の本質的な理解は新しい反応プロセスの開発や新しい材料の創造のために貴重な示唆を与えてくれる。また、動植物の生命活動は生体内で起こる複雑で巧妙な化学変化によって支えられており、反応速度論は生命活動の根本を理解するための手段としても重要である。本授業では化学反応の速度論的な見方、考え方の基本について解説する。
〇物性化学(前年度履修)
授業の進め方・方法:
講義の前半は通常の講義形式で授業計画に沿って解説する。後半は授業計画に沿って、受講者が事前に講義の準備をし、交替で講義を行う形式をとる。受講者教員共に質疑応答しながら授業を進めていく。
注意点:
反応速度の解析には数学的取り扱いが必要となる。微分方程式の基礎を復習して授業に望むべきである。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
本授業で学ぶ化学反応論の内容について |
自然科学における化学反応論の意義を理解する
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2週 |
実際の化学反応についての化学反応論の応用例 |
実際の化学反応における化学反応論による解析例を理解する
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3週 |
反応速度の表しかた、反応の次数と速度定数 |
反応速度の表しかた、反応の次数と速度定数について説明できる
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4週 |
速度定数を求める積分速度、半減期 |
積分速度式を用いて反応速度定数を計算できる。反応速度定数から半減期を計算できる、その逆もできる
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5週 |
素反応、逐次反応、平衡を含む反応 |
素反応、逐次反応、平衡を含む反応、定常状態近似について説明できる
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6週 |
反応を理解するために必要な分子の運動と衝突 |
化学反応における分子の運動と衝突について説明できる
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7週 |
種々の反応を利用した材料の合成について |
蒸発反応、熱分解反応、気相反応 液相反応とゾル-ゲル法等を利用した材料合成について説明できる
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8週 |
演習(これまでの学習内容に関する課題) |
2週から7週までの内容について基礎的な計算ができる
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4thQ |
9週 |
酵素反応、固体表面の特徴・吸着・吸着等温式、固体触媒反応についてのグループ学習 |
酵素反応、固体表面の特徴・吸着・吸着等温式、固体触媒反応について少人数グループで学ぶ
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10週 |
固相反応と拡散機構・拡散方程式についてのグループ学習 |
固相反応と拡散機構・拡散方程式について少人数グループで学ぶ
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11週 |
遷移状態理論の概要、アイリングプロットと活性化パラメータについてのグループ学習 |
遷移状態理論の概要、アイリングプロットと活性化パラメータについて少人数グループで学ぶ
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12週 |
9~11週の学んだ内容について全体討論 |
9~11週で学んだ内容について全体で討論し、理解を深める
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13週 |
9~11週の学んだ内容について全体討論 |
9~11週で学んだ内容について全体で討論し、理解を深める
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14週 |
演習(これまでの学習内容に関する課題) |
9週から13週までの内容について基礎的な計算ができる
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15週 |
試験 |
試験時間:80分
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16週 |
試験解説と本授業のまとめ |
本授業の内容を総括する
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 5 | |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 5 | |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 5 | |
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。 | 5 | |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。 | 5 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 50 | 10 | 100 |
基礎的能力 | 40 | 50 | 10 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |