熱力学Ⅰ

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 熱力学Ⅰ
科目番号 0087 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械システム工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 機械工学テキストシリーズ2 熱力学(小口幸成編著,朝倉書店)
担当教員 白川 英観

到達目標

・熱エネルギーと温度を理解する.
・熱エネルギーと力学的エネルギーを互いに変換できることを表した熱力学の第1法則を習得する.
・自然界の現象の方向性や変換限界などを表した熱力学の第2法則を習得する.
具体的には下記ルーブリックの各項目が到達目標になる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
熱エネルギー熱エネルギーを詳しく説明できる熱エネルギーを理解できる熱エネルギーを理解できない
熱工学で用いる単位や状態量単位や状態を説明できる 単位や状態を理解できる単位や状態を理解できない
温度と熱量の違い,比熱,潜熱,顕熱温度や熱量の違い,潜熱顕熱を説明できる.温度や熱量の違い,潜熱顕熱を理解できる温度と熱の違いが理解できない.
エネルギー保存式である理想気体の状態方程式理想気体の状態方程式で計算できる理想気体の状態方程式で説明できる理想気体の状態方程式が理解できない
仕事量と仕事率の違い,力学的エネルギー保存式力学的エネルギー保存則で計算できる.力学的エネルギー保存則を説明できる力学的エネルギー保存則を理解できない
内部エネルギー,閉じた系の熱力学第1法則閉じた系の熱力学第1法則を説明でき,計算できる閉じた系の熱力学第1法則を理解できる閉じた系の熱力学第1法則を理解できない
エンタルピー,開いた系の熱力学第1法則開いた系の熱力学第1法則を説明でき,計算できる開いた系の熱力学第1法則を理解できる開いた系の熱力学第1法則を理解できない
理想気体の等温変化・等圧変化などの状態変化に伴う熱量と仕事量理想気体の状態変化に伴う熱量と仕事量を説明でき計算できる理想気体の状態変化に伴う熱量と仕事量を説明できる理想気体の状態変化に伴う熱量と仕事量を説明できない

学科の到達目標項目との関係

ディプロマポリシー 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
自動車のエンジンや飛行機のジェットエンジンなどは,燃料を燃やすことによって得られる熱エネルギーを力学的エネルギー(仕事)に変換する機器である.一方,冷蔵庫や冷暖房機器などは,電気エネルギーなどを熱エネルギーに変換する機器である.熱力学では,これらのエネルギーの変換方法や動作原理をまとめた学問である.
本授業では,熱エネルギーと温度を理解し,熱エネルギーと力学的エネルギーを互いに変換できることを表した熱力学の第1法則,自然界の現象の方向性や変換限界などを表した熱力学の第2法則を習得することを目標とする.
授業の進め方・方法:
熱エネルギーは直接に見ることができないが,そのエネルギーによって様々な機器が作動する.授業では,実際の現象を示しながら説明する.
注意点:
抽象的な表現や取扱いが多いため,自分の頭で現象をイメージしながら学習してください.本科目では、60点以上の評価で単位を認定する。評価が60点に満たない者は、願い出により追認試験を受けることができる。追認試験の結果、単位の修得が認められた者にあっては、その評価を60点とする。
授業計画は,学生の理解度に応じて変更する場合がある.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 エネルギーの形態,授業計画説明,熱と熱現象 熱エネルギーを理解できる.
2週 状態量と単位記号 熱工学で用いる単位や状態量を理解し,使うことができる.
3週 温度と熱量 温度と熱量の違いを理解し,比熱,潜熱,顕熱を説明できる.
4週 理想気体とその性質 エネルギー保存式である理想気体の状態方程式を説明できる.
5週 熱力学の第1法則(1) 仕事量と仕事率の違いを理解でき,力学的エネルギー保存式を説明できる.内部エネルギーを理解し,閉じた系の熱力学第1法則を説明できる.
6週 熱力学の第1法則(2) エンタルピーを理解し,開いた系の熱力学第1法則を説明できる.
7週 総合演習Ⅰ
8週 中間テスト
4thQ
9週 中間テストの解答
10週 理想気体の熱と仕事の関係(1) 理想気体の等温変化・等圧変化・等積変化を説明でき,変化に伴う熱量と仕事量を計算することができる.
11週 理想気体の熱と仕事の関係(2) 理想気体の可逆断熱変化を説明でき,変化に伴う熱量と仕事量を計算することができる.理想気体のポリトロープ変化を説明でき,変化に伴う熱量と仕事量を計算することができる.
12週 熱力学の第2法則(1) 熱力学の第2法則を説明できる.
13週 熱力学の第2法則(2) エントロピーを説明でき,エントロピーの計算ができる.
14週 総合演習Ⅱ,総合演習Ⅲ 理想気体の変化に伴う仕事と熱に関する問題を解くことができる.
15週 期末テスト
16週 期末テストの解答とアンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4
熱力学の第一法則を説明できる。4
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4
熱力学の第二法則を説明できる。4
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。3
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。3
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4
サイクルをT-s線図で表現できる。3

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合7030100
理解度7030100