応用物理Ⅰa

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 応用物理Ⅰa
科目番号 0091 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械システム工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 高専の応用物理第2版(森北出版株式会社:小暮陽三監修:ISBN978-4-627-15102-4)
担当教員 豊嶋 剛司

到達目標

下記に挙げる物理現象を数式を用いて表現するだけでなく、それらが数学的に連動し、解析可能な事象であることを理解することを目標とする。
・力学(運動方程式、仕事と力、剛体、運動量保存則、角運動量、慣性モーメント)
・流体力学(剛体と弾性体の差異、完全流体、連続の方程式、ベルヌーイの定理)
具体的には下記ルーブリックの各項目が到達目標になる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
力学についてⅠ運動の3法則を理解し、問題文中から該当する式を導出し、計算ができる運動の3法則を説明でき、順序立った問題に課せられた式を導出し、計算ができる運動の3法則に基づく式の導出ができない
力学についてⅡ仕事と力の関係を理解し、微積分を活用して双方の導出ができる仕事と力が対応することを理解し、順序立った問題に課せられた式を導出し、計算ができる仕事と力の関係を理解せず、式の導出ができない
質点系の力学についてⅠ剛体の形状を微小部に分割して重心の導出ができる剛体の形状を分割した微小部に対し、重心を導出する式に適用ができる重心の導出ができない
質点系の力学についてⅡ運動量の導出と保存則を理解し、多次元空間において物体の衝突前後の挙動を正しく記述できる運動量の導出と保存則を理解し、1次元軸上での物体の衝突挙動を正しく記述できる運動量が説明できない
質点系の力学についてⅢ運動量と角運動量、並進運動と回転運動における力学的エネルギーの対応関係が説明できる角運動量や回転運動における運動エネルギーの導出ができる並進運動と回転運動の違いが説明できない
剛体の力学についてⅠ剛体を正しく理解し、質点等の集合体に分割・結合が使いこなせる剛体の力学的性質が微小部の集合として式に表し、計算ができる質点と剛体の区別がつかない
剛体の力学についてⅡ典型的な剛体の慣性モーメントを導出し、回転の運動方程式の計算と挙動を正しく記述ができる簡便な剛体の慣性モーメントを導出し、回転の運動方程式導出や計算ができる簡便な剛体の慣性モーメントの導出ができない
変形する物体についてⅠ剛体と弾性体の差異を理解し、材料の力学的挙動について説明ができる剛体と弾性体の差異を説明できる剛体と弾性体の差異を説明できない
変形する物体についてⅡ完全流体における連続の方程式やベルヌーイの定理を用いて流体の運動が導出できる完全流体における連続の方程式やベルヌーイの定理を記述し、簡便なケースにおける導出ができる連続の式やベルヌーイの定理が説明できない

学科の到達目標項目との関係

ディプロマポリシー 3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
力学、流体力学における物理現象(ニュートンの運動法則・質点の運動・エネルギー保存則・剛体の運動・弾性体と完全流体を数式を用いて表現するだけでなく、それらが数学的に連動し、解析可能な事象であることを理解し、説明ができることを目標と定める。
授業の進め方・方法:
講義内容を振り返る演習や課題を通じて学生の理解度を適宜確認する。
注意点:
応用物理は物理学で学んできた知識を数学(特に微分・積分)の見地から見直し,基本的な概念を理解することが大切である.このことは,単に式を覚えるのではなく,演習問題を自分で考え,解いてみることが必要であり,関連図書や関連する参考書などを活用して自学習にも望んで欲しい.「応用」物理とあるように,この講義は物理学を基本とする科目であることから1~2年時に学んだ物理を再度勉強するつもりで臨むこと.本教科の内容に疑問が生じた時点で積極的に質問をすることが望ましい.なお,授業計画は学生の理解度に応じて変更する場合がある。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
位置と速度、加速度の関係の復習
物理学で学んできた力学の基本式を復習する
2週 力学の基本Ⅰ
ニュートンの運動法則について学ぶ
運動の第一~第三法則の説明ができる
3週 力学の基本Ⅱ
重力と万有引力、慣性の法則について
万有引力の式から重力加速度の導出ができる。また慣性系について説明ができる
4週 力学の基本Ⅲ
仕事と運動エネルギー、位置エネルギーについて
保存力を理解し、位置エネルギーと力の関係を説明できる
5週 質点系の力学Ⅰ
重心の導出、運動量について
重心の導出ができる。運動量保存則を用いて物体の衝突前後の運動量が導出できる
6週 質点系の力学Ⅱ
力のモーメントと角運動量について
回転運動における運動方程式が記述できる
7週 前期中間試験
教科書の1~2章についての理解度・到達度を確認する
8週 答案返却・解説
2ndQ
9週 剛体の力学Ⅰ
剛体の回転軸周りの運動方程式について
剛体の定義が説明でき、微小部の回転運動方程式が記述できる
10週 剛体の力学Ⅱ
力のモーメントと慣性モーメントについて
回転運動の方程式から角速度の導出ができる
11週 剛体の力学Ⅲ
典型的な剛体における慣性モーメントの導出と回転運動における運動方程式の解法について
種々の形状をした剛体の慣性モーメントの導出ができる
12週 変形する物体Ⅰ
弾性体と完全流体について
剛体と弾性体の違いについて説明ができる
完全流体について説明ができる
13週 変形する物体Ⅱ
連続の方程式について
連続の方程式が記述でき、異なる地点における流速の計算ができる
14週 変形する物体Ⅲ
ベルヌーイの定理について
ベルヌーイの定理が記述でき、異なる地点における力学的エネルギーの導出ができる
15週 前期末試験 
教科書の3~4章についての理解度・到達度を確認する
16週 答案返却・解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前1,前2,前7
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前1,前7
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前2,前7
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前2,前7
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前2,前3,前7
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前1,前2,前7
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前2,前3,前7
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前3,前7
物体に作用する力を図示することができる。3前2,前4,前7
力の合成と分解をすることができる。3前2,前4,前7
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前3,前4,前7
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前3,前4,前7
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前2,前7
慣性の法則について説明できる。3前3,前7
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前3,前7
運動方程式を用いた計算ができる。3前3,前7
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前3,前7
運動の法則について説明できる。3前2,前7
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前2,前7
最大摩擦力に関する計算ができる。3前4,前7
動摩擦力に関する計算ができる。3前4,前7
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前4,前7
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前4,前7
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前4,前7
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前4,前7
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前4,前7
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3前5,前7
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前5,前7
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前5,前7
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3前6,前7
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3前4,前7
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3前4,前6,前7
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3前3,前7
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前4,前7
力のモーメントを求めることができる。3前6,前7,前10,前11,前15
角運動量を求めることができる。3前6,前7,前10,前11,前15
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前6,前7,前10,前11,前15
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前9,前15
重心に関する計算ができる。3前5,前7,前15
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前9,前10,前11,前15
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前10,前11,前15
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。4
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。4
仕事の意味を理解し、計算できる。4
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。4
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4
動力の意味を理解し、計算できる。4
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。4
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。4
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。4
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4
応力とひずみを説明できる。4
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4
許容応力と安全率を説明できる。4

評価割合

定期試験レポート、課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力602080
専門的能力20020
分野横断的能力000