応用物理Ⅰb

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 応用物理Ⅰb
科目番号 0092 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械システム工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 配布プリント,Professional Engineer Library 材料力学,実教出版
担当教員 岡根 正樹

到達目標

機械工学系の学科において,最重要学習項目となる,(弾性)変形する物体の力学について学ぶ。また,同時に開講する材料力学Ⅰ,材料力学Ⅱと密接に関連させ,多くの演習問題を解きながら,より理解を深める。具体的には,下記の『評価(ルーブリック)』の『標準的な到達レベルの目安(良)』に記載された内容が,本科目の基本的な到達目標となる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
外力と内力の違いを正しく説明することができる.複雑な問題であっても,仮想面を正しく仮定でき,内力を求めることができる.基本的な問題であれば,仮想面を正しく仮定でき,内力を求めることができる.仮想面が正しく仮定できず,内力を求めることができない.
力のつりあい,モーメントのつりあいを理解し,それぞれのつりあい式を正しく求めることができる.複雑な問題であっても,それぞれのつりあい式を正しく求めることができる.標準的な問題であれば,それらを正しく求めることができる.標準的な問題であっても,それらを求めることができない.
応力とひずみの定義を理解し,それらを正しく説明することができる.負荷様式に応じた応力,ひずみを正確に説明することができる.概ね,それらを説明することができる.いずれについても,正しく求めることができない.
棒の自重よって生じる応力とひずみを計算できる.それらを,正確に求めることができる.概ね,求めることができる.求めることができない.
断面が変化する棒について、応力と伸びを計算できる.それらを,正確に求めることができる.概ね,求めることができる.求めることができない.
はりの固定,支持方法を理解し,反力,支持モーメントを正しく仮定することができる.固定,支持方法に応じて,正確に仮定することができる.概ね,正確に仮定することができる.仮定することができない.
集中荷重のみが作用する比較的単純なはりであれば,せん断力,曲げモーメントを求めることができる.正しく求めることができる.概ね,正しく求めることができる.正しく求めることができない.
面積モーメント法が適用できる分布荷重が作用するはりの,せん断力,曲げモーメントを求めることができる.正しく求めることができる,概ね,正しく求めることができる.正しく求めることができない.
面積モーメント法が簡単に適用できない分布荷重が作用するはりの場合でも,積分法を用いて,せん断力,曲げモーメントを求めることができる.正しく求めることができる,概ね,正しく求めることができる.正しく求めることができない.
せん断力,曲げモーメントの式が与えられれば,せん断力線図(S.F.D.),曲げモーメント線図(B.M.D.)を描くことができる.正確に描くことができる.概ね,描くことができる.正しく描くことができない.
せん断力線図(S.F.D.),曲げモーメント線図(B.M.D.)を見れば,どのような荷重やモーメントが負荷されているはりか,ある程度推察することができる.正確にイメージすることができる概ねイメージすることができる.イメージすることができない.
曲げ応力は,断面上で一様ではなく分布があり,引張と圧縮が混在していることを理解している正しく説明できるだけでなく,資料等を自作しして,効果的に説明することができる.教科書などを用いれば,簡潔に説明することができる.教科書やノートを用いても,正しく説明できない.
断面二次モーメント を求めることができる.また,断面二次モーメントと,断面二次極モーメントの違いを説明できる.複雑な形状の場合でも正しく求めることができ,簡潔に説明できる.基本的な形状の場合であれば正しく求めることができ,説明できる.単純な形状であっても,求めることができない.
はりの曲げ応力を求めることができる.分布荷重が作用したり,断面形状が複雑な場合でも,正しく求めることができる.基本的な形式のはりであれば,正しく求めることができる.単純な場合でも,求めることができない.
平行軸の定理を理解している.正しく説明できるだけでなく,資料等を自作しして,効果的に説明することができる.教科書などを用いれば,簡潔に説明することができる.教科書やノートを用いても,正しく説明できない.
平等強さのはりがどのようなものか理解している.正しく説明できるだけでなく,資料等を自作しして,効果的に説明することができる.教科書などを用いれば,簡潔に説明することができる.教科書やノートを用いても,正しく説明できない.
はりのたわみの微分方程式(基礎式)を理解している.理論から,基礎式を導出することができ,正しく使用することができる.基礎式がどのようなものか知っており,正しく使用できる.教科書やノートを参考にしても,たわみの微分方程式を説明できない.
はりのたわみ,たわみ角を求めることができる.複雑な形状や,負荷の場合でも正しく求めることができ,簡潔に説明できる.基本的な形状や,負荷の場合であれば正しく求めることができ,簡潔に説明できる.単純な形状や,負荷の場合であっても正しく求めることができない.
はりの不静定問題を解くことができる.複雑な形状や,負荷の場合でも正しく解くことができる.基本的な形状や,負荷の場合であれば 正しく解くことができる.単純な形状や,負荷の場合であも解くことができない.
ねじれ角,比ねじれ角等,ねじりに関する基本的な力学量を理解している.正しく説明できるだけでなく,資料等を自作しして,効果的に説明することができる.教科書などを用いれば,簡潔に説明することができる.教科書やノートを用いても,正しく説明できない.
トルクと,せん断応力の関係を理解している.正しく説明できるだけでなく,資料等を自作しして,効果的に説明することができる.教科書などを用いれば,簡潔に説明することができる.教科書やノートを用いても,正しく説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
変形する物体の力学(材料力学)は,機械工学の基本となる科目の一つであり,機器設計等で,必ず必要となる学問です.材料力学を理解することが求められるのではなく,卒業後は,材料力学を道具として,機器設計等の業務に携わることになります.テストのための暗記ではなく,卒業後も忘れずに,知識として身に付くよう,きちんと理解することが求められます.
授業の進め方・方法:
教員単独で行います.基礎科目なので,座学が中心になりますが,適宜,授業中に,演習問題等も取り入れます.
注意点:
レポート等は,すべての課題についての提出が必要です.やむを得ない事情の場合を除き,1通でも未提出のレポートがある場合,提出期限を守らなかった場合などは,単位を認定しません.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 応力とひずみ① 仮想断面を理解し,内力と外力の違いを理解し,垂直応力とせん断応力の定義を理解する.
2週 応力とひずみ② 垂直ひずみとせん断ひずみ,縦ひずみと横ひずみ,公称ひずみと真ひずみ,についてそれぞれ理解する.
3週 引張と圧縮① 伸びと応力の関係を理解し,自重による棒の伸びを求めることができる.
4週 引張と圧縮② 平等強さの棒について理解する.棒の不静定問題を解くことができる.
5週 はりの曲げ① 種々の問題におけるせん断力と曲げモーメントを求め,S.F.D.,B.M.D.の描き方を理解する.
6週 はりの曲げ② 高度で複雑な内容の問題における,せん断力と曲げモーメントを求め,S.F.D.,B.M.D.の描き方を理解する.
7週 応力とひずみ,引張と圧縮,はりの曲げに関する演習問題
8週 中間試験
4thQ
9週 中間試験の解答解説。
はりの曲げ応力①
曲げモーメントと曲げ応力の関係を理解する.
10週 はりの曲げ応力② 断面形状の性質(図心,断面1次モーメント,断面2次モーメント等)を理解する。
11週 はりのたわみ① はりのたわみ曲線を理解し,境界条件や種々のはりにおけるたわみの求め方を理解する。
12週 はりのたわみ② 不静定はりの解法を理解する。
13週 ねじり① ねじりの作用により生じる応力,およびその分布と求め方の理解
14週 ねじり② トルクとせん断応力の関係を理解し,伝動軸の設計等への応用を理解する
15週 期末試験
16週 試験返却、解説、授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4
応力とひずみを説明できる。4
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4
許容応力と安全率を説明できる。4
両端固定棒や組合せ棒などの不静定問題について、応力を計算できる。4
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。4
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。4
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。4
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。4
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。4
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。4
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。4
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。4
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。4
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。4
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。4

評価割合

定期試験レポート、課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力301040
専門的能力501060