応用数学Ⅳ

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用数学Ⅳ
科目番号 0134 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 機械システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 なるほどベクトル解析(海鳴社:村上雅人著:ISBN978-4-87525-215-3)
担当教員 豊嶋 剛司

到達目標

ベクトル解析学は多次元空間における位置や運動、軌跡だけでなく物理量の空間的な相関関係を数学的に解くに当たり重要な基礎分野であることから、下記に挙げるベクトル則を理解することを目標とする。
・ベクトルの基本則(内積、外積、図形の表記法)
・ベクトル計算(演算子、微積分)
・ベクトル解析(グリーンの定理、ストークスの定理、ガウスの発散定理)
・固有値、固有ベクトル
具体的には下記ルーブリックの各項目が到達目標になる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
ベクトルの内積・外積を理解する。ベクトル積の計算に加え、空間表現として認識し、相対性について説明ができる。簡単なベクトル積の計算ができる。ベクトルの内積・外積の区別が付かない。
ベクトルを用いて図形を表記できる。2次元・3次元空間における任意の図形をベクトル積や線形結合等によって表現ができる。代表的な図形を表すベクトル式を導出できる。空間中の点や線、面等の情報がベクトルで表現できることを理解していない。
演算子の計算ができる。演算子の計算を行い、得られた結果が示す数学的意味を説明できる。演算子の計算ができる。演算子を理解していない。
ベクトルの微積分ができる。ベクトルの微分・積分の結果が物理現象と結びつくことを説明できる。ベクトルの微分・積分計算ができる。ベクトルとしての微分・積分ができない。
ベクトルの積分公式を理解する。グリーンの定理・ストークスの定理・ガウスの発散定理について流体や電磁気学と結び付けて現象を数式で説明できる。グリーンの定理・ストークスの定理・ガウスの発散定理について説明ができる。グリーンの定理・ストークスの定理・ガウスの発散定理について説明ができない。
行列と座標変換について理解する。行列と一次変換について理解し、座標変換を使え、方向余弦を説明できる。行列計算による座標変換の計算ができる。行列計算ができない。
固有値と固有ベクトルについて理解する。固有方程式の解法について理解し、固有値や固有ベクトルを導出できる。固有方程式を解いて、固有値や固有ベクトルを導出できる。固有方程式についてが説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-5 説明 閉じる
JABEE 1(2)(c) 説明 閉じる
ディプロマポリシー 3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
ベクトル解析とは複数の情報量を同時に連続して取り扱うことで複雑な空間を数式化することができる数学的手法である。これは流体力学や電磁気学の基礎となるため、技術者や研究者に必要不可欠な基礎知識とも言える。本講義では、この強力な数学的道具としてのベクトル解析法について理解し、応用できる基礎力を養うことを目的とする。
授業の進め方・方法:
講義および演習の形式により学生の理解度を評価し、原則として授業計画に従って進めるが、学生の理解度に応じて変更する場合がある。
注意点:
ベクトル解析には基本的な関数の微分・積分が身に付いているものと前提の上、授業を進めていく。難解なものについては詳解や復習も示すが、予習・復習がなされているものとして課題・試験難度を設定するものである。
本科目では、60点以上の評価で単位を認定する。
評価が60点に満たない者は、願い出により追認試験を受けることができる。追認試験の結果、単位の修得が認められた者にあっては、その評価を60点とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・ベクトルの復習Ⅰ
ベクトルの内積と外積について計算演習を行い、上記内容を復習する
ベクトルの定義を理解し、内積・外積の計算ができる
2週 図形とベクトルⅠ
2次元空間におけるベクトル方程式を用いた図形の表現法を学ぶ
2次元系における点、直線、曲線、円をベクトル方程式で記述できる
3週 図形とベクトルⅡ
3次元空間におけるベクトル方程式を用いた図形の表現法を学ぶ
3次元系における直線、曲線、平面、曲面、球面をベクトル方程式で記述できる
4週 ベクトルの微分
ベクトル関数が空間上の曲線や曲面を表記できることを理解する
接線ベクトルや法線ベクトルを図示できる
5週 演算子Ⅰ:スカラー場と勾配
スカラー場と勾配について概念を学び、微分演算子を用いたgrad演算を理解する
grad演算について計算できる
6週 演算子Ⅱ:ベクトル場と発散
ベクトル場と発散について概念を学び、微分演算子を用いたdiv演算を理解する
div演算について計算できる
7週 演算子Ⅲ:ベクトル場と回転
ベクトル場と回転について概念を学び、微分演算子を用いたrot(curl)演算を理解する
rot(curl)演算について計算できる
8週 演算子Ⅳ:ラプラス演算子
各ベクトル演算の組み合わせやラプラス演算の基本公式の導出について学ぶ
各演算の組み合わせによる基本公式の導出ができる
2ndQ
9週 ベクトルの積分
ベクトルの普通積分、線積分、面積分、体積積分について理解する
ベクトルの微積分と物理現象を結び付けることができる
10週 ベクトルの積分公式Ⅰ
グリーンの定理、ストークスの定理について理解する
グリーンの定理、ストークスの定理が説明できる
11週 ベクトルの積分公式Ⅱ
ガウスの発散定理について理解する
ガウスの発散定理について説明できる
12週 行列と座標変換
行列と一次変換について学び、座標変換と方向余弦について理解する
行列を用いた座標変換ができる
13週 固有値と固有ベクトル
固有値と固有ベクトルについて理解し、固有方程式の解法について学ぶ
固有方程式の計算ができる
14週 ベクトル解析の応用
ベクトル場を用いて流体力学・電磁気学における基本法則を数学的に評価する
流体力学や電磁気学で学んだ公式とベクトル公式の関連を説明できる
15週 期末試験
16週 答案返却・解説・授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

定期試験レポート課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力302050
専門的能力40040
分野横断的能力10010