材料物性Ⅱ

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 平成27年度 (2015年度)
授業科目 材料物性Ⅱ
科目番号 0016 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械システム工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 固体物理学入門(上、下):共訳:宇野良清、津屋昇、森田章、山下次郎、丸善株式会社
担当教員 豊嶋 剛司

到達目標

材料の性質を原子スケールで捉え、量子力学や統計力学の基本について材料の立場から理解する。
今まで学習してきた物理・化学について、その固体物性は数学的手法を用いて理解出来ることを学ぶ。
固体における電気的性質に焦点を絞るが、材料の強度や硬さ、熱伝導性や光学特性にも応用が利くことを学び取る。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1BCC構造とFCC構造について基本単位胞の構造と原子位置について説明が出来るBCC構造とFCC構造について充填率の導出が出来るBCC構造とFCC構造について充填率の導出が出来ない
評価項目2実空間および波数空間の並進対称性および回転対称性について理解している逆格子ベクトルを用いて結晶の面間隔の導出が出来る逆格子ベクトルを用いて結晶の面間隔の導出が出来ない
評価項目3格子振動モードの違いについて説明が出来る単純立方格子結晶における格子振動の伝搬速度の導出が出来る単純立方格子結晶における格子振動の伝搬速度の導出が出来ない
評価項目4ボルツマン因子、ヘルムホルツの自由エネルギー、化学ポテンシャル、エントロピーについて2系接触モデルを用いて説明が出来る固体における統計量について系の説明が出来る固体における統計量について系の説明が出来ない
評価項目5結合力の物理的起源について理解し、差異について説明が出来る各種の結合力の違いについて説明が出来る各種の結合力の違いについて説明が出来ない
評価項目6音響分枝と光学分枝の違いを説明が出来るフォノンについて分散関係を説明が出来るフォノンについて分散関係を説明が出来ない
評価項目73次元系におけるフェルミ面および群速度について説明出来る1次元電子系におけるハミルトニアンからフェルミエネルギーの導出が出来る1次元電子系におけるハミルトニアンからフェルミエネルギーの導出が出来ない
評価項目8バンドギャップのメカニズムについて説明が出来るバンド構造の違いから金属、半導体、絶縁体の伝導度の温度依存性について説明が出来るバンド構造の違いから金属、半導体、絶縁体の伝導度の温度依存性について説明が出来ない
評価項目9一次相転移と二次相転移の差異が生じる起源について説明が出来る一次相転移と二次相転移の違いを説明出来る一次相転移と二次相転移の違いを説明出来ない
評価項目10磁性体の工業的性能の評価手段について説明出来る磁性体材料の分類が出来る磁性体材料の分類が出来ない
評価項目11超伝導転移前後における物性値の変化について図示出来る超伝導現象の主な特徴について説明が出来る超伝導現象の主な特徴について説明が出来ない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料の性質を原子スケールで捉え、量子力学や統計力学の基本について材料の立場から理解する。今まで学習してきた物理・化学について、その固体物性は数学的手法を用いて理解出来ることを学ぶ。固体における電気的性質に焦点を絞るが、材料の強度や硬さ、熱伝導性や光学特性にも応用が利くことを学び取る。
授業の進め方・方法:
実施体制は教員単独による講義形式を取り、到達状況を確認する課題について演習形式で解く。
注意点:
微積分やフーリエ変換等、物理や数学などの基礎科目で学習してきた数学的手法は十分に身に着いたものと前提して授業を進めるので、自信が無い場合は予め関係するであろう数学参考書は用意をしておくこと(数学の参考書については特にこちらから指定はしない)
また、授業計画は,学生の理解度に応じて変更する場合がある。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス、固体物理学を学ぶ上で必要な予備知識の確認
2週 結晶構造と逆格子Ⅰ 結晶構造と逆格子 実空間と波数空間の関係について理解する
3週 結晶構造と逆格子Ⅱ 結晶の結合力と弾性 種々の結合力の起源について理解する
4週 固体における統計Ⅰ 熱平衡とエントロピー 2体接触系における平衡状態から求められる物理量について理解する
5週 固体における統計Ⅱ ボルツマン因子とギブス因子 2体接触系における平衡状態から求められる物理量について理解する
6週 結晶格子の振動Ⅰ 結晶の振動と弾性波の量子化 結晶中を伝搬するフォノンについて単純立方格子での導出を行う
7週 結晶格子の振動Ⅱ フォノン比熱と状態密度 フォノンの分散関係について理解する
8週 フェルミ粒子とボーズ粒子Ⅰ フェルミ・ディラック分布関数 1次元電子系におけるハミルトニアンからフェルミエネルギーを導出する
4thQ
9週 フェルミ粒子とボーズ粒子Ⅱ ボーズ・アインシュタイン分布関数 3次元系に拡張した電子系におけるフェルミ面および群速度について説明が出来る
10週 エネルギーバンドエネルギーバンドとエネルギーギャップ エネルギーバンドの起源について理解する
11週 フェルミ面と金属・半導体フェルミ面、金属と半導体の違い バンド構造の差異から生じる伝導度の違いについて理解する
12週 誘電体 マクスウェル方程式と分極、巨視的電場と局所電場 誘電体に対する外部電場の影響について理解する
13週 磁性体 磁化と磁化率、反磁性と常磁性 磁性体に対する外部磁場の影響について理解する
14週 超伝導体 BCS理論、超伝導材料の工業的応用 超伝導現象について特徴的な物理量の変化と工業的応用に当たっての注意点について学ぶ
15週 期末試験
16週 解説と到達度の確認

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。3後2
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。3後3
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。3後2
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。3後3
量子条件から電子のエネルギー状態および軌道半径を導出し、説明できる。3後8,後11
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。3後3,後4
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。3後2
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。3後2
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。3後2
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。3後2
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。3後2
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。3後11
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。3後11
半導体の種類について説明できる。3後11
不純物半導体の特徴を真性半導体と区別して説明できる。3後11
不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。3後11
無機材料殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。2後11
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。2後11
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。3後11
原子価結合法により、共有結合を説明できる。3後3
電子配置から混成軌道の形成について説明できる。3後3
イオン結合の形成について理解できる。3後3
金属結合の形成について理解できる。3後3
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。3後2
物理化学ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。2後8
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。2後8
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。2後9
ギブズエネルギーと巨視的熱力学量との関係を導出できる。ギブスーヘルムホルツの式を導出できる。2後9

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ演習・課題合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000