概要:
材料の性質を原子スケールで捉え、量子力学や統計力学の基本について材料の立場から理解する。今まで学習してきた物理・化学について、その固体物性は数学的手法を用いて理解出来ることを学ぶ。固体における電気的性質に焦点を絞るが、材料の強度や硬さ、熱伝導性や光学特性にも応用が利くことを学び取る。
授業の進め方・方法:
実施体制は教員単独による講義形式を取り、到達状況を確認する課題について演習形式で解く。
注意点:
微積分やフーリエ変換等、物理や数学などの基礎科目で学習してきた数学的手法は十分に身に着いたものと前提して授業を進めるので、自信が無い場合は予め関係するであろう数学参考書は用意をしておくこと(数学の参考書については特にこちらから指定はしない)
また、授業計画は,学生の理解度に応じて変更する場合がある。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス、固体物理学を学ぶ上で必要な予備知識の確認 |
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2週 |
結晶構造と逆格子Ⅰ 結晶構造と逆格子 |
実空間と波数空間の関係について理解する
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3週 |
結晶構造と逆格子Ⅱ 結晶の結合力と弾性 |
種々の結合力の起源について理解する
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4週 |
固体における統計Ⅰ 熱平衡とエントロピー |
2体接触系における平衡状態から求められる物理量について理解する
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5週 |
固体における統計Ⅱ ボルツマン因子とギブス因子 |
2体接触系における平衡状態から求められる物理量について理解する
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6週 |
結晶格子の振動Ⅰ 結晶の振動と弾性波の量子化 |
結晶中を伝搬するフォノンについて単純立方格子での導出を行う
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7週 |
結晶格子の振動Ⅱ フォノン比熱と状態密度 |
フォノンの分散関係について理解する
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8週 |
フェルミ粒子とボーズ粒子Ⅰ フェルミ・ディラック分布関数 |
1次元電子系におけるハミルトニアンからフェルミエネルギーを導出する
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4thQ |
9週 |
フェルミ粒子とボーズ粒子Ⅱ ボーズ・アインシュタイン分布関数 |
3次元系に拡張した電子系におけるフェルミ面および群速度について説明が出来る
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10週 |
エネルギーバンドエネルギーバンドとエネルギーギャップ |
エネルギーバンドの起源について理解する
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11週 |
フェルミ面と金属・半導体フェルミ面、金属と半導体の違い |
バンド構造の差異から生じる伝導度の違いについて理解する
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12週 |
誘電体 マクスウェル方程式と分極、巨視的電場と局所電場 |
誘電体に対する外部電場の影響について理解する
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13週 |
磁性体 磁化と磁化率、反磁性と常磁性 |
磁性体に対する外部磁場の影響について理解する
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14週 |
超伝導体 BCS理論、超伝導材料の工業的応用 |
超伝導現象について特徴的な物理量の変化と工業的応用に当たっての注意点について学ぶ
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
解説と到達度の確認 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 金属の一般的な性質について説明できる。 | 3 | 後2 |
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。 | 3 | 後3 |
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。 | 3 | 後2 |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 3 | 後3 |
量子条件から電子のエネルギー状態および軌道半径を導出し、説明できる。 | 3 | 後8,後11 |
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。 | 3 | 後3,後4 |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 3 | 後2 |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 3 | 後2 |
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。 | 3 | 後2 |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 3 | 後2 |
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。 | 3 | 後2 |
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。 | 3 | 後11 |
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。 | 3 | 後11 |
半導体の種類について説明できる。 | 3 | 後11 |
不純物半導体の特徴を真性半導体と区別して説明できる。 | 3 | 後11 |
不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。 | 3 | 後11 |
無機材料 | 殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 2 | 後11 |
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 2 | 後11 |
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。 | 3 | 後11 |
原子価結合法により、共有結合を説明できる。 | 3 | 後3 |
電子配置から混成軌道の形成について説明できる。 | 3 | 後3 |
イオン結合の形成について理解できる。 | 3 | 後3 |
金属結合の形成について理解できる。 | 3 | 後3 |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。 | 3 | 後2 |
物理化学 | ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。 | 2 | 後8 |
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。 | 2 | 後8 |
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。 | 2 | 後9 |
ギブズエネルギーと巨視的熱力学量との関係を導出できる。ギブスーヘルムホルツの式を導出できる。 | 2 | 後9 |