教室での講義科目を実際に実験演習することでその理解を深めるとともに,実験報告書の書き方を学ぶことを目的とする.また実験結果をまとめる過程で,実験結果の定量的・定性的評価や客観性のある工学的考察の訓練も伴う.具体的には各実験のルーブリックの標準的な到達レベルを目標とする.
概要:
6つのテーマ(歯車,材料,塑性加工,熱実験,水力学基礎実験,力学基礎実験)について実験を行うことによって,それぞれにおける現象を把握し,理論的に考察,理解するとともに,実験報告書の書き方を修得することを目的とする.また,実験における基本的な操作を正しく学ぶことによって,実験に対する正しい考え方を身につけることを目的とする.
授業の進め方・方法:
実験は6班に分かれて実施し,各テーマ(歯車,材料,塑性加工,熱実験,水力学基礎実験,力学基礎実験)を各4週で完結する.1年を通じて6つのテーマをローテーションする.報告書はテーマごとにその都度提出すること.
授業計画は,学生の理解度に応じて変更する場合がある.
注意点:
実験では安全性や作業性の観点から作業服および保護眼鏡を着用のこと.授業で勉強した関連の科目の教科書を参照して理解を深めること.実験はいつも特定の人が行うのではなく,全員参加で行うこと.なお,実験中に実測データをグラフに描き,特性を確かめながら実験を行うこと.実験データの処理を行うことから,関数電卓を持参すること.また,テーマによってはレポート用紙や方眼紙を用意する必要があるので準備すること.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
第1回 導入教育 6分野の実験内容について説明し,服装や持ち物および留意点について説明する. |
実験レポートの記述方法について修得する.
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2週 |
インボリュート歯車 |
歯車の諸形状と各値の関係を理解する.
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3週 |
インボリュート歯車 |
インボリュート歯車の設計意図を理解し,諸形状の関係を理解する.
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4週 |
インボリュート歯車 |
歯厚から歯車のモジュールを求める.
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5週 |
インボリュート歯車 |
歯厚から歯車の諸数値を算出する.
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6週 |
材料実験 |
アルミの引張試験を行い,得られた荷重(力)-伸び線図から公称応力-公称ひずみ線図,真応力-真ひずみ線図を求めることができる.
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7週 |
材料実験 |
縦弾性係数(E)および加工硬化指数(n値)を算出できる.
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8週 |
材料実験 |
以上をエクセルを用いて図表化することができる.
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2ndQ |
9週 |
材料実験 |
得られた結果と文献値を比較することで算出データの妥当性の検討を行い,考察を交えてレポートで提出できる.
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10週 |
追加実験,レポート修正等 |
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11週 |
塑性加工実験 |
塑性加工の学問と技術の特徴,歴史の新しい塑性加工,自動車工業における塑性加工,鉄鋼業における塑性加工,塑性加工の分類について理解し,説明できる.
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12週 |
塑性加工実験 |
プレス機械の構造,クランクプレス,サーボプレス,力学の基礎について理解し,説明できる.
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13週 |
塑性加工実験 |
単純圧縮試験の歴史と実験の概要について講義と実験を行い,内容を理解し説明できる.
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14週 |
塑性加工実験 |
上記実験に関連する問題に関して,課題を出すので,検討して回答する.以上をまとめて レポートにて提出し,塑性加工の加工法としての特徴や産業分野における適用事例について記述できる.
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15週 |
追加実験,レポート修正等 |
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16週 |
実験予備日 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
水力学基礎実験 |
ベルヌーイの式を理解し実験の予備計算ができる.
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2週 |
水力学基礎実験 |
ベルヌーイの式を実験を通じて理解し説明ができる.
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3週 |
水力学基礎実験 |
層流と乱流の関係を実験を実験を通じて理解し説明ができる.
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4週 |
水力学基礎実験 |
ベルヌーイの式,層流と乱流の関係を実験を実験を通じて理解し報告書をまとめることができる.
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5週 |
熱実験 |
熱の性質を理解し,金属の熱量を測定することができる。
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6週 |
熱実験 |
材料によって,熱膨張や熱伝導の性質が異なることを説明できる。
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7週 |
追加実験,レポート修正等 |
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8週 |
熱実験 |
熱の物理的な性質を理解し,熱エネルギーの利用について説明することができる.
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4thQ |
9週 |
熱実験 |
実験データを整理し,報告書を作成することができる。
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10週 |
力学基礎実験 |
力学の基礎となる公式や物理定数を導出するために必要なシステムを設計し,要素を抑えたものを自作し,評価する.
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11週 |
力学基礎実験 |
重力加速度を導出するシステムを設計し、実測する。得られたデータを用いて標準偏差を説明することができる.
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12週 |
力学基礎実験 |
位置エネルギーと運動エネルギーの変換を確認するシステムを設計し、実測する。理論値とのずれより規則性を見い出し、説明することができる.
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13週 |
力学基礎実験 |
金属線を加工してばねを自作し、フックの法則の確認を行う。ばねの寸法と使用する金属によりばね定数が定まることを確認し、横弾性係数とばねの変形を対応付けて説明することができる.
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14週 |
追加実験,レポート修正等 |
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
授業アンケート 実施 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理実験 | 物理実験 | 熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 後5,後6,後8 |
工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | 後5,後6,後8 |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | 後5,後6,後8 |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | 後5,後6,後8 |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | 前10 |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 機械設計 | 標準規格の意義を説明できる。 | 3 | |
標準規格を機械設計に適用できる。 | 3 | |
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。 | 4 | |
力学 | 力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
仕事の意味を理解し、計算できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
運動量および運動量保存の法則を説明できる。 | 4 | 後12 |
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。 | 4 | 後13 |
応力とひずみを説明できる。 | 4 | 後13 |
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。 | 4 | 後13 |
計測制御 | 測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。 | 2 | 後3,後8,後11,後12 |
分野別の工学実験・実習能力 | 機械系分野【実験・実習能力】 | 機械系【実験実習】 | レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。 | 4 | 後13 |
加工学実験、機械力学実験、材料学実験、材料力学実験、熱力学実験、流体力学実験、制御工学実験などを行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。 | 3 | |