基礎工学実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 基礎工学実験Ⅱ
科目番号 0129 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 プリントをそれぞれの実験にて配布する.
担当教員 佐瀬 直樹,増山 圭一,石黒 農,豊嶋 剛司,吉川 文恵,山本 久嗣

到達目標

 教室での講義科目を実際に実験演習することでその理解を深めるとともに,実験報告書の書き方を学ぶことを目的とする.また実験結果をまとめる過程で,実験結果の定量的・定性的評価や客観性のある工学的考察の訓練も伴う.具体的には各実験のルーブリックの標準的な到達レベルを目標とする.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
インボリュート歯車実験インボリュート歯車の設計意図を理解し,歯車の歯厚から諸形状を求められる.インボリュート歯車の設計意図を理解し,諸形状の関係を理解できる.インボリュート歯車の設計意図,諸形状を理解していない.
材料実験材料の引張試験を通じて各種物性値を算出し,文献値との比較を行い得られたデータの妥当性をレポートで記述できる.材料の引張試験を通じて各種物性値を算出しレポートで記述できる.材料の引張試験を通じて各種物性値を算出しレポートで記述できない.
力学基礎実験力学で学んだ物理定数を導出するためのシステムを設計でき、実験値と測定値から導出した数値と文件値との差異について考察が成される力学で学んだ物理定数を導出するためのシステムを設計でき、実験値と測定値から物理定数の導出ができるレポートの作成ができない もしくはレポートとしての書式が成立していない
熱実験熱の物理的性質を理解した上で,エネルギー変換を環境や効率など,エネルギー供給について意見を述べることができる。熱の物理的性質を理解し,エネルギー変換について説明できる。熱の物理的性質を理解ししていない。
水力学基礎実験ベルヌーイの式,層流と乱流の関係を実験を通じて8割以上理解し説明ができる.ベルヌーイの式,層流と乱流の関係を実験を通じて6割以上理解し説明ができる.ベルヌーイの式,層流と乱流の関係を実験を通じて6割未満の理解であり説明することができない.
塑性加工実験圧縮試験によっておおよその応力ひずみ曲線を得ることができる。さらに、塑性加工の歴史を学び社会に与える影響を説明できる。圧縮試験によっておおよその応力ひずみ曲線を得ることができる。圧縮試験によっておおよその応力ひずみ曲線を得ることができない。

学科の到達目標項目との関係

ディプロマポリシー 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
6つのテーマ(歯車,材料,塑性加工,熱実験,水力学基礎実験,力学基礎実験)について実験を行うことによって,それぞれにおける現象を把握し,理論的に考察,理解するとともに,実験報告書の書き方を修得することを目的とする.また,実験における基本的な操作を正しく学ぶことによって,実験に対する正しい考え方を身につけることを目的とする.
授業の進め方・方法:
実験は6班に分かれて実施し,各テーマ(歯車,材料,塑性加工,熱実験,水力学基礎実験,力学基礎実験)を各4週で完結する.1年を通じて6つのテーマをローテーションする.報告書はテーマごとにその都度提出すること.
授業計画は,学生の理解度に応じて変更する場合がある.
注意点:
実験では安全性や作業性の観点から作業服および保護眼鏡を着用のこと.授業で勉強した関連の科目の教科書を参照して理解を深めること.実験はいつも特定の人が行うのではなく,全員参加で行うこと.なお,実験中に実測データをグラフに描き,特性を確かめながら実験を行うこと.実験データの処理を行うことから,関数電卓を持参すること.また,テーマによってはレポート用紙や方眼紙を用意する必要があるので準備すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1回 導入教育 
6分野の実験内容について説明し,服装や持ち物および留意点について説明する.
実験レポートの記述方法について修得する.
2週 インボリュート歯車 歯車の諸形状と各値の関係を理解する.
3週 インボリュート歯車 インボリュート歯車の設計意図を理解し,諸形状の関係を理解する.
4週 インボリュート歯車 歯厚から歯車のモジュールを求める.
5週 インボリュート歯車 歯厚から歯車の諸数値を算出する.
6週 材料実験 アルミの引張試験を行い,得られた荷重(力)-伸び線図から公称応力-公称ひずみ線図,真応力-真ひずみ線図を求めることができる.
7週 材料実験 縦弾性係数(E)および加工硬化指数(n値)を算出できる.
8週 材料実験 以上をエクセルを用いて図表化することができる.
2ndQ
9週 材料実験 得られた結果と文献値を比較することで算出データの妥当性の検討を行い,考察を交えてレポートで提出できる.
10週 追加実験,レポート修正等
11週 塑性加工実験 塑性加工の学問と技術の特徴,歴史の新しい塑性加工,自動車工業における塑性加工,鉄鋼業における塑性加工,塑性加工の分類について理解し,説明できる.
12週 塑性加工実験 プレス機械の構造,クランクプレス,サーボプレス,力学の基礎について理解し,説明できる.
13週 塑性加工実験 単純圧縮試験の歴史と実験の概要について講義と実験を行い,内容を理解し説明できる.
14週 塑性加工実験 上記実験に関連する問題に関して,課題を出すので,検討して回答する.以上をまとめて レポートにて提出し,塑性加工の加工法としての特徴や産業分野における適用事例について記述できる.
15週 追加実験,レポート修正等
16週 実験予備日
後期
3rdQ
1週 水力学基礎実験 ベルヌーイの式を理解し実験の予備計算ができる.
2週 水力学基礎実験 ベルヌーイの式を実験を通じて理解し説明ができる.
3週 水力学基礎実験 層流と乱流の関係を実験を実験を通じて理解し説明ができる.
4週 水力学基礎実験 ベルヌーイの式,層流と乱流の関係を実験を実験を通じて理解し報告書をまとめることができる.
5週 熱実験 熱の性質を理解し,金属の熱量を測定することができる。
6週 熱実験 材料によって,熱膨張や熱伝導の性質が異なることを説明できる。
7週 追加実験,レポート修正等
8週 熱実験 熱の物理的な性質を理解し,熱エネルギーの利用について説明することができる.
4thQ
9週 熱実験 実験データを整理し,報告書を作成することができる。
10週 力学基礎実験 力学の基礎となる公式や物理定数を導出するために必要なシステムを設計し,要素を抑えたものを自作し,評価する.
11週 力学基礎実験 重力加速度を導出するシステムを設計し、実測する。得られたデータを用いて標準偏差を説明することができる.
12週 力学基礎実験 位置エネルギーと運動エネルギーの変換を確認するシステムを設計し、実測する。理論値とのずれより規則性を見い出し、説明することができる.
13週 力学基礎実験 金属線を加工してばねを自作し、フックの法則の確認を行う。ばねの寸法と使用する金属によりばね定数が定まることを確認し、横弾性係数とばねの変形を対応付けて説明することができる.
14週 追加実験,レポート修正等
15週 期末試験
16週 授業アンケート 実施

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理実験物理実験熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後5,後6,後8
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3後5,後6,後8
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3後5,後6,後8
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3後5,後6,後8
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前10
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野機械設計標準規格の意義を説明できる。3
標準規格を機械設計に適用できる。3
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。4
力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4後11,後12,後13
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4後11,後12,後13
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4後11,後12,後13
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4後11,後12,後13
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4後11,後12,後13
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4後11,後12,後13
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4後11,後12,後13
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4後11,後12,後13
仕事の意味を理解し、計算できる。4後11,後12,後13
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4後11,後12,後13
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4後11,後12,後13
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4後12
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4後13
応力とひずみを説明できる。4後13
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4後13
計測制御測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。2後3,後8,後11,後12
分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。4後11,後12,後13
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4後13
加工学実験、機械力学実験、材料学実験、材料力学実験、熱力学実験、流体力学実験、制御工学実験などを行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。3

評価割合

レポート合計
総合評価割合100100
基礎的能力5050
専門的能力4040
分野横断的能力1010