基礎工学実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 基礎工学実験Ⅱ
科目番号 0148 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 プリントをそれぞれの実験にて配布する.
担当教員 佐瀬 直樹,井澤 正樹,増山 圭一,石黒 農,豊嶋 剛司,吉川 文恵,山本 久嗣

到達目標

 教室での講義科目を実際に実験演習することでその理解を深めるとともに,実験報告書の書き方を学ぶことを目的とする.また実験結果をまとめる過程で,実験結果の定量的・定性的評価や客観性のある工学的考察の訓練も伴う.具体的には以下の項目に挙げる通り;
●実験を通して,切削抵抗の基本的な性質を理解しレポートを作成できる.
●(以下,各実験のルーブリックの「良」の基準)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
切削実験実験を通して,二次元切削理論やKronenbergの実験式から切削抵抗に影響を及ぼす因子について理解し,レポートを作成できる.実験を通して,切削抵抗の基本的な性質を理解しレポートを作成できる.実験を通して切削抵抗の基本的な性質を理解しレポートを作成できない.
材料実験材料の引張試験を通じて各種物性値を算出し,文献値との比較を行い得られたデータの妥当性をレポートで記述できる.材料の引張試験を通じて各種物性値を算出しレポートで記述できる.材料の引張試験を通じて各種物性値を算出しレポートで記述できない.
力学基礎実験力学で学んだ物理定数を導出するためのシステムを設計でき、実験値と測定値から導出した数値と文件値との差異について考察が成される力学で学んだ物理定数を導出するためのシステムを設計でき、実験値と測定値から物理定数の導出ができるレポートの作成ができない もしくはレポートとしての書式が成立していない
エネルギー実験実験データの誤差,ばらつきを考慮し,データをまとめることができる。また,エネルギー変換を環境や効率などを考慮し,エネルギー供給について意見を述べることができる。実験データの誤差,ばらつきを理解している。エネルギー変換を理解している。さらに,エネルギーの変換効率を算出することができる。実験で生じる誤差,ばらつきを理解していない。また,エネルギー変換を理解していない。
水力学基礎実験水力学の基礎となる圧力概念と,その計測手法を実験を通じて8割以上理解し説明ができる.水力学の基礎となる圧力概念と,その計測手法を実験を通じて6割以上理解し説明ができる.水力学の基礎となる圧力概念と,その計測手法を実験を通じて6割未満の理解であり説明することができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
6つのテーマ(歯車,材料,塑性加工,切削加工,粉体物性測定実験,力学基礎実験)について実験を行うことによって,それぞれにおける現象を把握し,理論的に考察,理解するとともに,実験報告書の書き方を修得することを目的とする.また,実験における基本的な操作を正しく学ぶことによって,実験に対する正しい考え方を身につけることを目的とする.
授業の進め方・方法:
実験は6班に分かれて実施し,各テーマ(歯車,材料,塑性加工,切削加工,粉体物性測定実験,力学基礎実験)を各4週で完結する.1年を通じて6つのテーマをローテーションする.報告書はテーマごとにその都度提出すること.
授業計画は,学生の理解度に応じて変更する場合がある.
注意点:
実験では安全性や作業性の観点から作業服および保護眼鏡を着用のこと.授業で勉強した関連の科目の教科書を参照して理解を深めること.実験はいつも特定の人が行うのではなく,全員参加で行うこと.なお,実験中に実測データをグラフに描き,特性を確かめながら実験を行うこと.実験データの処理を行うことから,関数電卓を持参すること.また,テーマによってはレポート用紙や方眼紙を用意する必要があるので準備すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1回 導入教育 
6分野の実験内容について説明し,服装や持ち物および留意点について説明する.
実験レポートの記述方法について修得する.
2週 インボリュート歯車 インボリュート歯車の諸形状と各値の関係を理解する.
3週 インボリュート歯車 インボリュート歯車の諸形状と各値の関係を理解する.
4週 インボリュート歯車 歯厚から歯車の諸数値を算出する.
5週 インボリュート歯車 歯厚から歯車の諸数値を算出する.
6週 材料実験 アルミの引張試験を行い,得られた荷重(力)-伸び線図から公称応力-公称ひずみ線図,真応力-真ひずみ線図を求めることができる.
7週 中間試験 縦弾性係数(E)および加工硬化指数(n値)を算出できる.
8週 材料実験 以上をエクセルを用いて図表化することができる.
2ndQ
9週 材料実験 得られた結果と文献値を比較することで算出データの妥当性の検討を行い,考察を交えてレポートで提出できる.
10週 材料実験 塑性加工の学問と技術の特徴,歴史の新しい塑性加工,自動車工業における塑性加工,鉄鋼業における塑性加工,塑性加工の分類,プレス機械の構造,クランクプレス,サーボプレス,力学の基礎について理解し,説明できる.
11週 塑性加工実験 単純圧縮試験の歴史と実験の概要,円柱の軸対称圧縮変形の導出,外挿法圧縮試験の項目について講義と実験を行い,内容を理解し説明できる.
12週 塑性加工実験 上記実験に関連する問題に関して,課題を出すので,検討して回答する.
13週 塑性加工実験 以上をまとめて レポートにて提出し,塑性加工の加工法としての特徴や産業分野における適用事例について記述できる.
14週 塑性加工実験
15週 追加実験,レポート修正等
16週 アンケート等
後期
3rdQ
1週 切削実験 二次元切削理論やKronenbergの実験式などの基礎知識を理解する.
2週 切削実験 鋼の切削実験を行い,切削抵抗に影響を及ぼす因子について考察する.
3週 切削実験 鋼の切削実験を行い,切削抵抗に影響を及ぼす因子について考察する.
4週 切削実験 以上に関してレポートを提出し,学習した理論に基づき実験結果をまとめ,切削抵抗におよぼす因子などと併せて考察できる.
5週 水力学基礎実験 水力学の基礎となる圧力概念と,その計測手法を実験を通じて理解し説明ができる.
6週 水力学基礎実験 水力学の基礎となる圧力概念と,その計測手法を実験を通じて理解し説明ができる.
7週 後期中間試験
8週 エネルギー実験 測定誤差,ばらつきについて理解し,説明できる。
4thQ
9週 エネルギー実験 熱-電気のエネルギー変換の仕組みを理解する。また,エネルギー変換効率を概算することができる。
10週 力学基礎実験 力学の基礎となる公式や物理定数を導出するために必要なシステムを設計し,要素を抑えたものを自作し,評価する.
11週 力学基礎実験 力学の基礎となる公式や物理定数を導出する過程を理解し,説明できる.
12週 力学基礎実験 力学の基礎となる公式や物理定数を導出する過程を理解し,説明できる.
13週 力学基礎実験 力学の基礎となる公式や物理定数を導出する過程を理解し,説明できる.
14週 追加実験,レポート修正等
15週 期末試験
16週 授業アンケート 実施

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野機械設計歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。4
力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4後11,後12,後13
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4後11,後12,後13
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4後11,後12,後13
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4後11,後12,後13
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4後11,後12,後13
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4後11,後12,後13
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4後11,後12,後13
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4後11,後12,後13
仕事の意味を理解し、計算できる。4後11,後12,後13
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4後11,後12,後13
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4後11,後12,後13
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4後12
物体が衝突するさいに生じる現象を説明できる。4後12
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4後13
応力とひずみを説明できる。4後13
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4後13
応力-ひずみ線図を説明できる。4後13
熱流体熱の有効エネルギーを説明できる。1後9
計測制御測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。2後8
分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。4後11,後12,後13
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4後13
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能集団において、集団の意見を聞き、自分の意見も述べ、目的のために合意形成ができる。4後11,後12,後13
目的達成のために、考えられる提案の中からベターなものを選び合意形成の上で実現していくことができ、さらに、合意形成のための支援ができる。4後11,後12,後13
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性身内の中で、周囲の状況を改善すべく、自身の能力を発揮できる。 4後11,後12,後13
集団の中で、自身の能力を発揮して、組織の勢いを向上できる。4後11,後12,後13
チームワークの必要性・ルール・マナーを理解し、自分の感情の抑制、コントロールをし、他者の意見を尊重し、適切なコミュニケーションを持つとともに、当事者意識を持ち協調して共同作業・研究をすすめることができる。4後11,後12,後13
組織やチームの目標や役割を理解し、他者の意見を尊重しながら、適切なコミュニケーションを持つとともに、成果をあげるために役割を超えた行動をとるなど、柔軟性を持った行動をとることができる。4後11,後12,後13
先にたって行動の模範を示すことができる。口頭などで説明し、他者に対し適切な協調行動を促し、共同作業・研究をすすめことができる。4後11,後12,後13
目指すべき方向性を示し、先に立って行動の模範を示すことで他者に適切な協調行動を促し、共同作業・研究において、系統的に成果を生み出すことができる。リーダーシップを発揮するために、常に情報収集や相談を怠らず自身の判断力をも磨くことができる。4後11,後12,後13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他レポート合計
総合評価割合000000100100
基礎的能力0000005050
専門的能力0000004040
分野横断的能力0000001010