日本文学講読

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 日本文学講読
科目番号 0213 科目区分 一般 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 授業者作成テキスト・講義資料
担当教員 高熊 哲也

到達目標

人間や人間社会に関して、健全でバランスの取れた幅広いものの見方を育成する。文化や芸術に関心や興味を持つ。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
テキストの読解(文語小説の特徴の理解、語彙)講義資料に示した語注や語彙・漢字のポイントを十分に理解しつつ、文語体のテキストを円滑に読み解くことができる。講義資料に示した語注や語彙・漢字のポイントを手引きとして、テキストのあらすじを追える。講義資料に示した語注や語彙・漢字のポイントを参照しても、テキストのあらすじを追えない。
時代背景の理解明治初期から中期の社会状況や人々の生活を具体的かつ豊かに想像しつつ作品を読める。作品が現代とは異なる文化や社会を舞台にしていることを理解できる。時代状況を視野に入れて作品を読むことができない。
作品読解上の問題点の理解(鑑賞)作者の表現の意図や、作品の構成に表れた世界観について理解を深める。作品の幻想性や神秘性について興味を持って作品の展開を追うことができる。展開される物語の世界について、想像力を働かせて捉えることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
泉鏡花の作品は、近代以前は自明の存在であったものを、神秘や不思議な存在(幻想)として、その存在を逆説的に示すところにその特徴の一つがある。いくつかを講読し、前近代的から近代へ動く時代の断面を捉える試みとする。あわせて、子供に愛情を注ぐ女性の本源的なあり方に思いを寄せる鏡花の感受性に考察を加え、母性愛に寄せる男性のあり方を成長や自立と重ねて描く手法を理解する。さらに下層民や社会矛盾への視点、ピカレスク小説の魅力などを、地元を舞台とした作品の講読を通して理解する。
授業の進め方・方法:
担当者の単独講義、講読演習
注意点:
テキスト読解の障壁を取り除くために、資料として配付する語釈を丹念に参照し、未知の語彙については綿密に調べること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 「龍潭譚」講読 ガイダンス
泉鏡花の人と作品に関する概説
2週 「龍潭譚」講読 「龍潭譚」の講読を通して、亡母憧憬を軸とした物語構造について考える。
3週 「龍潭譚」講読 同上
4週 「高野聖」講読 「龍潭譚」と「高野聖」の構造の類似性について検討するとともに、「高野聖」で発展的に表現されている内容について考察する。
5週 「高野聖」講読 同上
6週 「高野聖」講読 同上
7週 「高野聖」講読 同上
8週 中間試験 泉鏡花に関する知識、「龍潭譚」と「高野聖」テキストの理解度、作品の読解上の問題点について
2ndQ
9週 「蛇食ひ」講読 「蛇食ひ」の講読を通して、鏡花が文学的出発時にどのような社会的な問題意識を持っていたか考察する。
10週 「蛇食ひ」講読 鏡花が富山を舞台とした作品を書いていることを知る。
11週 「黒百合」抄講読 「黒百合」の舞台背景をおさえつつ、浪漫的なピカレスク小説の魅力に触れる。
12週 「黒百合」抄講読 同上
13週 「黒百合」抄講読 同上
14週 「黒百合」抄講読 同上
15週 「黒百合」抄講読 同上
16週 期末試験 「蛇食ひ」「黒百合」のテキスト理解度、作品の読解上の問題点について

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語論理的な文章を読み、論理の構成や展開の把握にもとづいて論旨を客観的に理解し、要約し、意見を表すことができる。また、論理的な文章の代表的構成法を理解できる。3
代表的な文学作品を読み、人物・情景・心情の描写ならびに描写意図などを理解して味わうとともに、その効果について説明できる。3
文章を客観的に理解し、人間・社会・自然などについて考えを深め、広げることができる。3
文学作品について、鑑賞の方法を理解できる。また、代表的な文学作品について、日本文学史における位置を理解し、作品の意義について意見を述べることができる。3
鑑賞にもとづく批評的な文章の執筆や文学的な文章(詩歌、小説など)の創作をとおして、感受性を培うことができる。3
読書習慣の形成をとおして感受性を培い、新たな言葉やものの見方を習得して自らの表現の向上に生かすことができる。3
現代日本語の運用、語句の意味、常用漢字、熟語の構成、ことわざ、慣用句、同音同訓異義語、単位呼称、対義語と類義語等の基礎的知識についての理解を深め、その特徴を把握できる。また、それらの知識を適切に活用して表現できる。3
代表的な古文・漢文を読み、言葉や表現方法の特徴をふまえて人物・情景などを理解し、人間・社会・自然などについて考えを深めたり広げたりすることができる。3
古文・漢文について、音読・朗読もしくは暗唱することにより、特有のリズムや韻などを味わうことができる。3
代表的な古文・漢文について、日本文学史および中国文学史における位置を理解し、作品の意義について意見を述べることができる。また、それらに親しもうとすることができる。3
教材として取り上げた作品について、用いられている言葉の現代の言葉とのつながりや、時代背景などに関する古文・漢文の基礎的知識を習得できる。3
情報の収集や発想・選択・構成の方法を理解し、論理構成や口頭によるものを含む表現方法を工夫して、科学技術等に関する自らの意見や考えを効果的に伝えることができる。また、信頼性を重視して情報を分析し、図表等を適切に活用・加工してコミュニケーションに生かすことができる。3
他者の口頭によるものを含む表現について、客観的に評価するとともに建設的に助言し、多角的な理解力、柔軟な発想・思考力の涵養に努めるとともに、自己の表現の向上に資することができる。3
相手の意見を理解して要約し、他者の視点を尊重しつつ、建設的かつ論理的に自らの考えを構築し、合意形成にむけて口頭によるコミュニケーションをとることができる。また、自らのコミュニケーションスキルを改善する方法を習得できる。3
社会で使用される言葉を始め広く日本語を習得し、その意味や用法を理解できる。また、それらを適切に用い、社会的コミュニケーションとして実践できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート音読評価合計
総合評価割合6000003010100
基礎的能力400000201070
専門的能力20000010030
分野横断的能力00000000