材料物性Ⅱ

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料物性Ⅱ
科目番号 0228 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械システム工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 参考書として固体物理学入門(丸善株式会社:Charles Kittel,(宇野良清ら共訳):ISBN4-621-04423-0)、固体物理学演習(丸善株式会社:沼居貴陽著)を使用
担当教員 豊嶋 剛司

到達目標

固体物理学における基礎的知見として、以下の項目について理解し、説明出来ることを目標とする。
・結晶(結晶の定義、ブラベ格子、実空間と波数空間)
・熱統計力学(熱平衡、エントロピー、ボルツマン統計、ギブスの自由エネルギー、フェルミ統計、ボーズ統計)
・結晶の結合力(弾性定数、結晶中を伝搬する波における波動方程式)
・バンド構造(導体、半導体、絶縁体)
・誘電体(分極)
・磁性体(磁化、磁化率、反磁性、常磁性)
・超伝導(常伝導と超伝導、BCS理論、超伝導材料の工業的応用)
具体的には下記ルーブリックの各項目が到達目標になる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
結晶構造について結晶の定義を説明でき、ブラベ格子を式や図を用いて説明できるブラベ格子を式もしくは図を用いて表記できる結晶の定義が説明できない
逆格子について実空間と波数空間の次元を理解し、回折現象と結び付けて説明ができる実空間と波数空間の差異を理解し、回折条件を計算できる実空間と波数空間の区別がついていない
熱平衡とエントロピーについてⅠ閉じた系と開いた系の違いを理解し、平衡状態を説明できる閉じた系と開いた系の違いを理解し、平衡状態の式を記述できる閉じた系と開いた系の違いが説明できない
熱平衡とエントロピーについてⅡボルツマン統計やギブスの自由エネルギーについて、仮定した系の制約と結び付けて説明ができるボルツマン統計やギブスの自由エネルギーについて、式で記述できる熱統計力学における物理量の定義を説明できない
格子振動について結晶中を伝搬する波の波動方程式を示し、結晶方位と結び付けて伝搬速度の導出ができる結晶中を伝搬する波の波動方程式を示し、結晶方位によって伝搬速度が異なることを説明できる結晶中を伝搬する波の波動方程式を記述できない
フェルミ粒子とボーズ粒子についてフェルミ粒子とボーズ粒子の特徴を説明し、各分布関数を記述できるフェルミ粒子とボーズ粒子の特徴を説明できるフェルミ粒子とボーズ粒子の差異が説明できない
エネルギーバンドについて導体と半導体、絶縁体の違いをバンド構造を用いて説明ができるバンド構造の説明ができるバンド構造の説明ができない
誘電体について誘電体の電気的性質を説明し、分極を説明できる誘電体の電気的性質を説明できる誘電体の電気的性質を説明できない
磁性体について磁化と磁化率や反磁性と常磁性の違いを理解し、ヒステリシスループから磁性材料の評価を論じられる磁化と磁化率や反磁性と常磁性の違いを説明できる磁化と磁化率や反磁性と常磁性の違いを説明できない
超伝導体について超伝導現象の特徴が発現機構から説明でき、工業的応用時に求められる諸性質について説明ができる超伝導現象の特徴が列挙でき、工業的応用時に注目される物性を示せる超伝導現象が説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料の性質を原子スケールで捉え、量子力学や統計力学の基本について材料の立場から理解する。今まで学習してきた物理・化学について、その固体物性は数学的手法を用いて理解出来ることを学ぶ。固体における電気的性質に焦点を絞るが、材料の強度や硬さ、熱伝導性や光学特性にも応用が利くことを学び取る
授業の進め方・方法:
講義内容を振り返る演習や課題を通じて学生の理解度を適宜確認する
注意点:
微積分やフーリエ変換等、物理や数学などの基礎科目で学習してきた数学的手法は十分に身に着いたものと前提して授業を進めるので、自信が無い場合は予め関係するであろう数学参考書は用意をしておくこと(数学の参考書については特にこちらから指定はしない)また、授業計画は,学生の理解度に応じて変更する場合がある

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
本講義の進め方と材料学に関する復習
材料科学における固体材料の役割について説明できる
2週 結晶構造と逆格子Ⅰ
結晶構造とブラベ格子および逆格子空間について
結晶の定義が説明でき、ブラベ格子の各条件が記述できる
3週 結晶構造と逆格子Ⅱ
結晶の結合力について
原子間の結合力の種類に違いがあることを説明できる
4週 固体における統計学Ⅰ
熱平衡とエントロピーについて
熱平衡状態にあることを示す条件式が書ける
5週 固体における統計学Ⅱ
ボルツマン因子とギブス因子について
閉じた系と開いた系の違いが説明できる
6週 結晶構造と逆格子Ⅲ
結晶の弾性について
弾性変形について説明できる
7週 結晶格子の振動Ⅰ
結晶の振動と弾性波の伝搬について
弾性波の伝搬が結晶方位によって異なることを説明できる
8週 結晶格子の振動Ⅱ
波の量子化とフォノン比熱、状態密度について
結晶の周期性と波の量子化の関係が説明できる
4thQ
9週 フェルミ粒子と統計学Ⅲ
フェルミ粒子とフェルミ・ディラック分布関数について
フェルミ粒子の特徴を説明できる
10週 ボーズ粒子と統計学Ⅳ
ボーズ粒子とボーズ・アインシュタイン分布関数について
ボーズ粒子の特徴を説明できる
11週 フェルミ面とバンド構造
エネルギーバンドとエネルギーギャップ、金属と絶縁体の差異について
バンド構造から金属・半導体・絶縁体の差異が説明できる
12週 誘電体
分極、巨視的電場と局所電場について
導体と誘電体の違いを電子の動きで説明できる
13週 磁性体
磁化と磁化率、反磁性と常磁性について
磁化率について説明できる
14週 超伝導体
BCS理論と超伝導材料の工業的応用について
超伝導について説明できる
15週 学年末試験
16週 試験返却、解説、授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4後6
応力とひずみを説明できる。4後6
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4後6
応力-ひずみ線図を説明できる。4後6
振動の種類および調和振動を説明できる。4後7,後8
熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4後4,後5,後9,後10
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4後4,後5,後9,後10

評価割合

定期試験課題レポート合計
総合評価割合6040100
基礎的能力402060
専門的能力202040