材料の塑性変形挙動を微視的に考える転位論の基礎的事項について,力学的ならびに材料学的な観点よりそれらを理解することを目指す.また,各種の金属材料強化機構や,塑性加工の転位論的な理解を目指す.具体的には,下記の『評価(ルーブリック)』の『標準的な到達レベルの目安(良)』に記載された内容が,本科目の基本的な到達目標となる.
概要:
転位論は,材料学(固体力学)関連の分野で,難解なものの一つですが,金属材料の塑性変形のメカニズムの基になっている重要な概念の一つです.しっかりと理解して下さい.
授業の進め方・方法:
教員単独で行います.基礎科目なので,座学が中心になりますが,適宜,授業中に,演習問題等も取り入れます.
注意点:
材料工学関連の科目,塑性加工関連の科目,応力とひずみに関係する科目を修得していることが望ましい.
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 力学 | 荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。 | 3 | |
応力とひずみを説明できる。 | 3 | |
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。 | 3 | |
応力-ひずみ線図を説明できる。 | 3 | |
許容応力と安全率を説明できる。 | 3 | |
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。 | 3 | |
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。 | 3 | |
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。 | 3 | |
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。 | 3 | |
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。 | 3 | |
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。 | 3 | |
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。 | 3 | |
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。 | 3 | |
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。 | 3 | |
材料 | 引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。 | 3 | |
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。 | 3 | |
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。 | 3 | |
金属と合金の結晶構造を説明できる。 | 4 | |
塑性変形の起り方を説明できる。 | 4 | |
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。 | 4 | |
材料系分野 | 複合材料 | 強さの複合則、比強度、比剛性の観点から、複合化するメリットを説明できる。 | 3 | |
材料組織 | 点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。 | 3 | |
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。 | 3 | |
面欠陥である積層欠陥について説明できる。 | 3 | |
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。 | 3 | |
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。 | 3 | |
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。 | 3 | |
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。 | 3 | |
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。 | 3 | |
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。 | 3 | |
拡散第1法則および拡散第2法則の基本式を導出できる。 | 3 | |
力学 | 荷重と応力、変形とひずみの関係について理解できる。 | 3 | |
応力-ひずみ曲線について説明できる。 | 3 | |
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。 | 3 | |
許容応力と安全率を説明できる。 | 3 | |
荷重の方向、性質と物体の変形様式との関係について説明できる。 | 3 | |
引張、圧縮応力(垂直応力)とひずみ、物体の変形量を計算できる。 | 3 | |
引張、圧縮を受けた物体の変形量を計算できる。 | 3 | |
縦ひずみと横ひずみを理解し、ポアソン比およびポアソン数を説明できる。 | 3 | |
せん断応力(接面応力)とせん断ひずみ(せん断角)を計算できる。 | 3 | |
せん断応力、せん断ひずみ、横弾性係数の関係を理解できる。 | 3 | |
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。 | 3 | |
圧縮と曲げを受ける物体の任意の断面に生じる圧縮応力と曲げ応力を求めることができる。 | 3 | |
平面応力状態にある任意断面での主応力および主せん断応力を計算できる。 | 3 | |
主応力方向および主せん断応力方向を説明でき、それらの値を計算できる。 | 3 | |
モールの応力円を理解し、描いたモールの応力円から任意の面の主応力、主応力方向、主せん断応力、主せん断応力方法を求めることができる。 | 3 | |
垂直応力、垂直ひずみ、縦弾性係数を用いてひずみエネルギーを計算できる。 | 5 | |