【現代分野:加島担当分】映像資料の分析を通し、自明に思われる人間や人間社会という存在を再考し、幅広いものの見方を育成する。文化や芸術に関心や興味を持つ。1映像資料の分析の仕方を学習し、分析した内容を基に自らの意見をかけるようになる。2阪神淡路大震災を契機に重要性が認識された「心のケア」という概念を学習し、災害時/以後における被災者の心的外傷に関する知識を得る。
【古典分野:足立担当分】伝統的な言語文化への興味・関心を広く持ち、単なる古文常識的な「知識」にとどまらない、生き生きとしたことばの働きについて理解し、その特徴を説明できる。規範と逸脱によって、曰本の「イ云統文化」が更新されていくことについて、自分の意見を述べることができる。
これを具体化すると、以下のようになる。1教材の文章中の学術用語・古文の語彙・文法について、説明したり、使用したりすることができる。2平安時代の文学史的な知識や背景となる時代習俗について、説明することができる。
概要:
【現】阪神淡路大震災をきっかけに作成されたふたつの映像作品の分析を通じて、意見論述を行う。映像作品への理解を深めるために、「心のケア」の重要性を講義する。
【古】曰本文学における、いわゆる〈古典〉的なテキストをいくつか講読することで、曰本文学・曰本文化の変遷を理解し、現代にあっては喪失されつつある、人間とことばとの関わりの深さについて、理解を深める。
授業の進め方・方法:
担当者の単独講義、講読演習
注意点:
【現】授業内で映像作品を観る必要があるため、該当週に欠席した場合は、授業時間外に各自で映像作品を観ておくこと。
【古】テキストのほとんどは古文だが、現代の理系学生の読みやすさを考えて、現代語訳をはじめ、さまざまな形での参考・補助資料を出すつもりである。恐れず、諦めず、古代のことばと、じつくり付き合ってほしい。適宜、授業中にミニ・テストを実施し、理解度を確認する予定である。
※事前に行う準備学習:前回の講義の復習および予習を行ってから授業に臨むこと 。
(授業外学習・事前)授業内容を予習しておく。
(授業外学習・事後)授業内容に関する課題を解く。
なお、授業計画は、学生の理解度に応じて変更する場合がある。
本科目では、60点以上の評価で単位を認定する。成績評価は、期末試験100点のうち【近代】50点・【古文】50点の割合を主にし、その他に評価割合に応じて評価する。評価が60点に満たない者は、願い出により追認試験を受けることができる。追認試験の結果、単位の修得が認められた者にあっては、その評価を60点とする。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンスー阪神淡路大震災と「心のケア」ー
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ガイダンス 授業内容の説明、受講上の注意。阪神淡路大震災時に「心のケア」という概念が提唱されたことを理解し、説明することができる。 〈授業外課題事後:配布プリントを基に「心のケア」という概念の理解を深める〉
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2週 |
NHK大阪放送局制作『その町のこども』① |
『その町のこども』の映像分析を題材に、パラグラフ・ライティングやり方を理解し、文章によって自らの考えを説明することができる。 〈授業外学習事後:授業の内容を踏まえ、『その町のこども』の映像分析を行い、次週にレポートを提出する〉
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3週 |
NHK大阪放送局制作『その町のこども』② |
被災した経験を「語れない」ことに着眼し、想像を絶する体験を「語る」とはどういうことなのかを、作品を基に理解し、文章化することができる。 〈授業外学習事後:レポートの添削を踏まえ、再度文章を練り上げ、翌週に再提出する〉
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4週 |
中井久夫の仕事から考える
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阪神淡路大震災で被災した人々の「心のケア」に努めた精神科医の中井久夫の仕事を知ることで、「心のケア」の重要性を理解し、説明することができる。 〈授業外課題事後:配布プリントと授業内容を基に、中井久夫が提唱した「心のケア」の重要性を整理する〉
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5週 |
いまおかしんじ『れいこいるか』① |
『れいこいるか』の映像分析を題材に、パラグラフ・ライティングやり方を理解し、文章によって自らの考えを説明することができる。 〈授業外学習事後:授業の内容を踏まえ、『れいこいるか』の映像分析を行い、次週にレポートを提出する〉
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6週 |
いまおかしんじ『れいこいるか』② |
被災から長い時間を『れいこいるか』が描いてることに着眼し、その理由を理解し、説明することができる。 〈授業外学習事後:レポートの添削を踏まえ、再度文章を練り上げ、翌週に再提出する〉
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7週 |
安克昌『心の傷を癒すということ』から考える |
安克昌『心の傷を癒すということ』を基に、心の傷は短期間で癒えるものではないことや、あるいは癒えるものではないことを理解し、説明することができる。 〈授業外学習事後:『心の傷を癒すということ』を読み、関心を持った箇所を掘り下げ、レポートを作成する〉
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8週 |
まとめ 震災と心的外傷 |
前半の授業を通じ、災害に突然遭遇し、生き残った人々が負う心的外傷について理解を深め、それを「癒す」ことが可能/不可能であるのか、どのようにして可能になるのか、などについて自分の意見を構築し、文章化することができる。 〈授業外学習事後:第1~7回の授業を通じて、関心を抱いたテーマを設定し、それに関するレポートを最終課題として作成する〉
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4thQ |
9週 |
ガイダンス |
「ことばの連関」というテーマについて、どのようなアプローチで考えるのかを説明。具体例として、現代の歌詞について考える。 授業外学習・事後:レジュメ2「言語とは何か」についての参考プリント①~③を読んでおき、「分節」「差異」などの語句について、理解し説明できるようになっておく。レジュメ1の現代の歌詞中の「異化」された言葉について、参考プリント⑥で番えられているもう一つの歌詞を補助線にして、意味するところを考えておく。
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10週 |
言語とは何か |
言語とは何であるかについて、現代思想の評論や現代美術の作品などを参照しつつ、理解する。 授業外学習・事後:参考プリント④の漫画および参考プリント⑤の英文を読んでおき、絵と言葉の関係について考えながら、これらの作品がどのような「常識」を「異化」しているのか、その意味するところを考えておく。
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11週 |
「霞たち木の芽もはるの」(『古今和歌集』春上・紀貫之)の歌① |
『古今和歌集』および紀貫之について、文学史的な概説。当該歌の単語レベルの意味説明。雪と梅花の「見立て」の類型性と、歴史的な背景(中国の漢詩文の影響)について、考えを深める。 授業外学習・事後:従来の雪と花の「見立て」とは、どのようなものか、レジュメ3の事例を参照して、説明できるようになっておく。
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12週 |
「霞たち木の芽もはるの」(『古今和歌集』春上・紀貫之)の歌② |
中国の漢詩文や『万葉集』の「見立て」とは異なる、当該歌の独自な表現性について、考えを深める。現代では喪われてしまつた、「掛詞」や「序詞」・「見立て」という修辞が、古代の和歌においては何のためにあるのか、考える。 授業外学習・事後:レジュメ3の貫之の当該歌の「見立て」が、それ以前の「見立て」の多くの例と、どのような点で異なるのか、説明できるように整理しておく。併せて、この歌の前半部分の修辞の意味について、説明できるように整理しておく。
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13週 |
「花の色はうつりにけりな」(『古今和歌集』春下・小野小町)と「色見えで」(『古今和歌集』恋五・小野小町)の歌① |
小野小町について、文学史的な概説。当該歌の解釈の違いについて、諸説を参照し、問題点を提示。当該歌の単語レベルの意味説明。 授業外学習・事後:小町の当該歌の解釈上の問題点とは何であるのか、説明できるように整理しておく。
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14週 |
「花の色はうつりにけりな」(『古今和歌集』春下・小野小町)と「色見えで」(『古今和歌集』恋五・小野小町)の歌②、まとめ |
「花の色はうつりにけりな」について、「うつる(うつろふ)」という語を詠み込んださまざまな歌の例から、意味を確定すべく考える。「我が身世にふる」の「ふる」について、さまざまな歌の例から、最もふさわしい意味を考える。 授業外学習・事後:当該歌の「花の色はうつりにけりな」は、どのような意味として解釈すべきか、説明できるように整理しておく。「ふる」は、どのような意味として解釈すべきか、その理由についても併せて説明できるように整理しておく。
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15週 |
「花の色はうつりにけりな」(『古今和歌集』春下・小野小町)と「色見えで」(『古今和歌集』恋五・小野小町)の歌③、まとめ |
恋歌を参照することで、春歌の当該歌が、「掛詞」によつて、桜花・雨・人事を有機的に関連づけられていることについて考える。 ミニ・テストの返却・講評・解説。期末試験の出題予定問題について、確認。 授業外学習・事後:雨が降る・花の色が褪せるという自然の出来事と、いかなる人事が、言葉を介して関連づけられているのか、説明できるように整理しておく。これまで学んできた2つの古典のテキストの言葉のありようと、現代の言葉のありようとを対比させてみたとき、現代の言葉の問題点はどのようなところにあるのか、自分なりの考えをまとめておく。
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16週 |
期末試験 |
第1回~第15回までの授業内容について確認する。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。 | 3 | |
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。 | 3 | |
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。 | 3 | |
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 3 | |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 3 | |
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる | 3 | |
複数の情報を整理・構造化できる。 | 3 | |
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。 | 3 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。 | 3 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |