基礎生物化学

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 基礎生物化学
科目番号 0091 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 わかりやすい生化学(林寛編著・三共出版)
担当教員 森田 康文,篠﨑 由紀子

到達目標

①細胞の構造、細胞を構成する物質(糖質、脂質、タンパク質、核酸等)について説明できる
②エネルギー代謝、遺伝情報の発現について説明できる
③微生物学実験の方法や操作について説明できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1細胞の構造、細胞を構成する物質の構造・性質を詳しく説明できる細胞の構造、細胞を構成する物質についての基本的な問題を解くことができる細胞の構造、細胞を構成する物質について説明できない
評価項目2物質代謝や遺伝子情報の発現を詳しく説明できる物質代謝や遺伝子情報の発現に関する基礎的な問題を解くことができる物質代謝、遺伝子情報の発現について説明できない
評価項目3微生物学実験の方法や操作について詳細に説明できる微生物学実験の方法や操作について説明できる微生物学実験の方法や操作について説明できない

学科の到達目標項目との関係

ディプロマポリシー 1 説明 閉じる
ディプロマポリシー 2 説明 閉じる
ディプロマポリシー 3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
2年で学習した生物学を基礎として、細胞を構成する成分、物質代謝に関する知識を深めることを目的に講義する。まず三大栄養素である糖質・脂質・タンパク質、および核酸の構造と性質について学び、生体を構成する化合物についての知識を深める。また水と無機質、生体内化学反応の中心となる酵素の働きについても理解する。さらに物質代謝およびエネルギー代謝について概説し、生体エネルギーについての基礎的知識を修得するほか、遺伝情報の発現についても学ぶ。また生物の基本単位である細胞の性質を学ぶため、微生物の培養および観察に関する実験も行う。
授業の進め方・方法:
講義および実験
事前に行う準備学習:前回の講義の復習および予習を行ってから授業に臨むこと
(授業外学習・事前)授業内容を予習しておく。
(授業外学習・事後)授業内容に関する課題を解く。
注意点:
生物工学分野の基礎となる科目であるので、全ての事項が必須項目である。確実に理解し、わからないことはその日の内に理解するよう心掛けること。なお化学構造が頻繁に出てくるので有機化学の知識は必須である。有機化学はしっかり身に付けておくこと。
本科目では、60点以上の評価で単位を認定する。評価が60点に満たない者は、願い出により追認試験を受けることができる。追認試験の結果、単位の修得が認められた者にあっては、その評価を60点とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生物の構造、細胞の構造 生体の階層構造、細胞小器官の構造と働きを説明できる
2週 糖質1 糖質の役割、性質について説明できる
3週 糖質2 単糖の構造と役割を説明できる
4週 糖質3 多糖類の構造と役割を説明できる
5週 脂質1
単純脂質とその役割について説明できる
6週 脂質2 複合脂質・リポタンパク質とその役割を説明できる
7週 タンパク質1 アミノ酸の構造と性質、Henderson-Hasselbalchの式について説明できる
8週 中間試験
2ndQ
9週 タンパク質2 タンパク質の構造と性質について説明できる
10週 タンパク質3 タンパク質の役割について説明できる
11週 水と無機質 水の動態、無機質の種類と役割について説明できる
12週 代謝と酵素 酵素の性質と反応、Michaelis-Mentenの式について説明できる
13週 糖質代謝1 糖質の消化と吸収、解糖系を説明できる
14週 糖質代謝2 クエン酸回路、酸化的リン酸化を説明できる
15週 期末試験
16週 期末テストの解答およびアンケート
後期
3rdQ
1週 脂質代謝 脂質の消化と吸収、グリセロール代謝を説明できる。β酸化、ケトン体の代謝、メバロン酸経路を簡潔に説明できる
2週 タンパク質代謝 タンパク質の消化と吸収、アミノ基転移、酸化的リン酸化について説明できる
3週 核酸 核酸の構造、役割について説明できる。半保存的複製を簡単に説明できる
4週 遺伝情報 転写、翻訳を簡潔に説明できる、遺伝子の発現とは何か理解できる
5週 微生物の分類 微生物の種類、形態、増殖について説明できる
6週 微生物実験① 菌類(カビ・酵母)、細菌の培養実験ができる
7週 微生物実験② 菌類(カビ・酵母)、細菌の培養実験ができる
8週 中間試験
4thQ
9週 微生物実験③ 無菌操作、純粋培養ができる
10週 微生物実験④ 顕微鏡観察、油浸法ができる
11週 微生物実験⑤ 生菌数測定ができる、培養曲線がつくれる
12週 微生物実験⑥ 有性生殖、無性生殖が説明できる
13週 微生物実験⑦ グラム染色が説明できる
14週 微生物実験⑧ 滅菌方法につい理解している
15週 (期末試験は実施せず)
16週 微生物実験⑨
総合演習、アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。3
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。3
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。3
高分子化合物がどのようなものか説明できる。3
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。3
基礎生物核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4前1
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4前12
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前12
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4前12
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4後3
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4後3
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4後3
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4前13
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4前14
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4前14
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前4,前6,前7
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前4,前6,前9
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4前2
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4前3
グリコシド結合を説明できる。4前4
多糖の例を説明できる。4前4
脂質の機能を複数あげることができる。4前5
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4前5
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前6
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前7,前9,前10
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前7
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前9
タンパク質の高次構造について説明できる。4前9,前10
ヌクレオチドの構造を説明できる。4後3
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4後3
DNAの半保存的複製を説明できる。4後3
RNAの種類と働きを列記できる。4後3
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4後3
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前12
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前12
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4前12
解糖系の概要を説明できる。4前13
クエン酸回路の概要を説明できる。4前14
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4前14
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4前13,前14
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4後5
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。4後6,後7
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。4後6,後7,後11
微生物の育種方法について説明できる。4後6,後7,後11
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。4後6,後7,後11,後14
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。4後6,後7
食品加工と微生物の関係について説明できる。4後6,後7
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。4後6,後7
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。4後6
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3後16
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3後16

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合752500100
基礎的能力00000
専門的能力752500100
分野横断的能力00000