概要:
2年で学習した生物学を基礎として、細胞を構成する成分、物質代謝に関する知識を深めることを目的に講義する。まず三大栄養素である糖質・脂質・タンパク質、および核酸の構造と性質について学び、生体を構成する化合物についての知識を深める。また水と無機質、生体内化学反応の中心となる酵素の働きについても理解する。さらに物質代謝およびエネルギー代謝について概説し、生体エネルギーについての基礎的知識を修得するほか、遺伝情報の発現についても学ぶ。また生物の基本単位である細胞の性質を学ぶため、微生物の培養および観察に関する実験も行う。
授業の進め方・方法:
講義および実験
事前に行う準備学習:前回の講義の復習および予習を行ってから授業に臨むこと
(授業外学習・事前)授業内容を予習しておく。
(授業外学習・事後)授業内容に関する課題を解く。
注意点:
生物工学分野の基礎となる科目であるので、全ての事項が必須項目である。確実に理解し、わからないことはその日の内に理解するよう心掛けること。なお化学構造が頻繁に出てくるので有機化学の知識は必須である。有機化学はしっかり身に付けておくこと。
本科目では、60点以上の評価で単位を認定する。評価が60点に満たない者は、願い出により追認試験を受けることができる。追認試験の結果、単位の修得が認められた者にあっては、その評価を60点とする。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 3 | |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 3 | |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 3 | |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 3 | |
高分子化合物がどのようなものか説明できる。 | 3 | |
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。 | 3 | |
基礎生物 | 核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。 | 4 | 前1 |
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。 | 4 | 前12 |
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 | 4 | 前12 |
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。 | 4 | 前12 |
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 | 4 | 後3 |
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 | 4 | 後3 |
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。 | 4 | 後3 |
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。 | 4 | 前13 |
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。 | 4 | 前14 |
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。 | 4 | 前14 |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 4 | 前4,前6,前7 |
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 4 | 前4,前6,前9 |
単糖と多糖の生物機能を説明できる。 | 4 | 前2 |
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。 | 4 | 前3 |
グリコシド結合を説明できる。 | 4 | 前4 |
多糖の例を説明できる。 | 4 | 前4 |
脂質の機能を複数あげることができる。 | 4 | 前5 |
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。 | 4 | 前5 |
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。 | 4 | 前6 |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 4 | 前7,前9,前10 |
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 | 4 | 前7 |
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 | 4 | 前9 |
タンパク質の高次構造について説明できる。 | 4 | 前9,前10 |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 4 | 後3 |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 4 | 後3 |
DNAの半保存的複製を説明できる。 | 4 | 後3 |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 4 | 後3 |
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。 | 4 | 後3 |
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 | 4 | 前12 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。 | 4 | 前12 |
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。 | 4 | 前12 |
解糖系の概要を説明できる。 | 4 | 前13 |
クエン酸回路の概要を説明できる。 | 4 | 前14 |
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。 | 4 | 前14 |
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。 | 4 | 前13,前14 |
生物工学 | 原核微生物の種類と特徴について説明できる。 | 4 | 後5 |
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。 | 4 | 後6,後7 |
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。 | 4 | 後6,後7,後11 |
微生物の育種方法について説明できる。 | 4 | 後6,後7,後11 |
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。 | 4 | 後6,後7,後11,後14 |
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。 | 4 | 後6,後7 |
食品加工と微生物の関係について説明できる。 | 4 | 後6,後7 |
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。 | 4 | 後6,後7 |
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。 | 4 | 後6 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | 後16 |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | 後16 |