応用物理Ⅳ

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用物理Ⅳ
科目番号 0116 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 電子情報工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 1
教科書/教材 高専の応用物理,小暮陽三,森北出版
担当教員 伊藤 尚

到達目標

1. 光量子のエネルギー,波長,運動量の関係を理解する.
2. シュレーディンガー方程式と波動関数の扱いを理解する.
3. パウリの排他原理,フェルミ‐ディラックの分布関数について理解する.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1光量子の諸性質を正しく理解し,応用問題を解くことが出来る.光量子の諸性質を理解し,基本的な問題を解くことが出来る.光量子の諸性質を理解出来ず,諸問題を解くことが出来ない.
評価項目2シュレーディンガー方程式と波動関数について正しく理解し,応用問題を解くことが出来る.シュレーディンガー方程式と波動関数について理解し,基本的な問題を解くことが出来る.シュレーディンガー方程式と波動関数について理解出来ず,諸問題を解くことが出来ない.
評価項目3パウリの排他原理・フェルミディラック分布関数について正しく理解し,応用問題を解くことが出来る.パウリの排他原理・フェルミディラック分布関数について理解し,基本的な問題を解くことが出来る.パウリの排他原理・フェルミディラック分布関数について理解出来ず,諸問題を解くことが出来ない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
工学の多くは物理法則に基礎をおいており,未知の分野の研究や今日の技術の進歩と多様性に技術者が対応できるために物理法則を基礎にした工学の本質的理解が重要である.この授業では,現代物理学の柱とされる量子力学について基本的な部分を学習する.
授業の進め方・方法:
量子力学は今日のハイテク技術を様々な分野で支えている.技術者として量子力学の概念を使って仕事をしたり本格的な量子力学の勉強が必要になる際の基礎とそれに関連した原子や物質の構造と性質を理解することを目指す.
注意点:
<評価方法の追加事項>
定期試験の結果または評価が60点未満の人には補習,再試験により理解が確認できれば,点数を変更することがある.ただし,変更した後の評価は60点を超えないものとする.

<授業改善策>
授業の演習問題とレポート課題を課すことで学生の理解度向上を図る.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱放射と量子仮説
 光の性質について復習する.次に,空洞輻射の概念とプランクの量子仮説が登場する経緯を解説する.
光の波長・振動数・速度について説明することが出来る.
プランクの公式を導出することが出来る.
プランクの量子仮説を説明することが出来る.
2週 光電効果とコンプトン効果
 光電効果,コンプトン効果,光の粒子性について解説し,演習を行う.
光電効果,コンプトン効果について説明することが出来る.
光量子がエネルギーと運動量を持っていることを説明することが出来る.
光電効果,コンプトン効果についての諸問題を解くことが出来る.
3週 リュードベリの公式とボーアの量子条件
 原子スペクトルとリューベドリの公式について解説する.次に,ボーアの量子条件について解説し,リューベドリの公式との関係性を明らかにし,演習を行う.
原子スペクトル,リューベドリの公式について説明することが出来る.
ボーアの量子条件について説明することが出来る.
ボーアの量子条件を用いて,リューベドリの公式を導出することが出来る.
4週 電子の波動性とシュレーディンガー方程式
 電子の波動性,ド・ブロイの物質波について解説する.次にシュレーディンガー方程式について解説し,演習を行う.
電子の波動性,ド・ブロイの物質波について説明することが出来る.
古典的な波動方程式とド・ブロイの公式を用いて,シュレーディンガー方程式を導出することが出来る.
5週 1次元箱型ポテンシャルと波動関数の解釈
 1次元箱型ポテンシャル問題のシュレーディンガー方程式を用いた解法について解説する.また,波動関数が量子の確率密度関数と関係していることを解説する.
境界条件・規格化条件を用いて,1次元箱型ポテンシャル問題における波動関数と確率密度関数を求めることが出来る.
6週 位置の期待値とゆらぎ
 位置の期待値とゆらぎについて解説し,演習を行う.
1次元箱型ポテンシャル問題における位置の期待値とゆらぎを求めることが出来る.
7週 中間試験
8週 中間試験の返却
2ndQ
9週 運動量の期待値とゆらぎ,ハイゼンベルグの不確定性原理
 運動量の期待値とゆらぎについて解説する.次にハイゼンベルグの不確定性原理について解説し,演習を行う.
1次元箱型ポテンシャル問題における運動量の期待値とゆらぎを求めることが出来る.
ハイゼンベルグの不確定性原理について説明ができ,1次元箱型ポテンシャルにおいて不確定関係が成り立つことを証明することが出来る.
10週 シュレーディンガー方程式の水素原子への適用
 水素原子へ適用した場合のシュレーディンガー方程式と,その解法について解説する.
水素原子にシュレーディンガー方程式を適用することが出来る.
水素原子におけるシュレーディンガー方程式を解法することが出来る.
11週 4つの量子数とパウリの排他原理
 電子が持つ4つの量子数について解説する.次に,パウリの排他原理について解説する.
4つの量子数とその性質を説明することが出来る.
パウリの排他原理について説明することが出来る.
12週 エネルギー準位の分裂
 パウリの排他原理に従って,気体分子や固体分子においてエネルギー準位が分裂しエネルギー帯が形成されることを解説する.
エネルギー準位の分裂について説明することが出来る.
エネルギー帯における各領域とその性質について説明することが出来る.
13週 状態の数と占有確率、導体・絶縁体・半導体
 エネルギー帯の観点から,導体・半導体・絶縁体の区別について解説する.次に,状態密度・フェルミ-ディラック分布・電子密度について解説する.
導体・半導体・絶縁体の区別をエネルギー帯の観点から説明することが出来る.
状態密度・フェルミ-ディラック分布について理解し,電子密度を導出することが出来る.
14週 n型半導体とp型半導体
 真性半導体と不純物半導体について解説し,n型半導体とp型半導体の成り立ちと性質について解説する.
n型半導体・p型半導体の成り立ちと性質について説明することが出来る.
15週 期末試験
16週 答案返却,解説,授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力3500015050
専門的能力3500015050