航海測位論B

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 航海測位論B
科目番号 0078 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 商船学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 六訂版 航海学【上巻】(成山堂),天測計算表 ,講義資料(https://www2.nc-toyama.ac.jp/WEB_Profile/nunome2020/lecture/lecture.html)
担当教員 布目 明弘

到達目標

推測問題(出発針路の位置と針路・航程から、到着地点の位置を求める問題)および計画問題(出発地点と到着地点の位置から、針路・航程を求める問題)を、各種航法を使用して求める技術の習得。
1.航程線航法及び測地線航法の特徴を説明できる。
2.各種航法の長所および短所を説明できる。
3.平均中分緯度航法により、推測問題及び計画問題を正確に解くことができる。
4.漸長緯度航法により、推測問題及び計画問題を正確に解くことができる。
5.大圏航法・集成大圏航法により、目的地点までの針路・大圏距離を正確に求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
航法の種類航程線航法及び測地線航法の特徴に基づき、場面に合った適切な航法を選択できる。航程線航法及び測地線航法の特徴を説明することができる。航程線航法及び測地線航法の特徴を説明することができない。
航法の長所と短所各種航法の長所および短所に基づき、場面に合った適切な航法を選択できる。各種航法の長所および短所を説明することができる。各種航法の長所および短所を説明することができない。
平均中分緯度航法平均中分緯度航法により、推測問題および計画問題を正確に解くことができる。平均中分緯度航法により、推測問題および計画問題を解くための公式や手順を理解している。平均中分緯度航法により、推測問題および計画問題を解くための公式や手順を理解していない。
漸長緯度航法漸長緯度航法により、推測問題および計画問題を正確に解くことができる。漸長緯度航法により、推測問題および計画問題を解くための公式や手順を理解している。漸長緯度航法により、推測問題および計画問題を解くための公式や手順を理解していない。
大圏航法・集成大圏航法大圏航法・集成大圏航法により、大圏距離、出発針路、到着針路、頂点および変針点の位置を正確に求めることができる。大圏航法・集成大圏航法により、大圏距離、出発針路、到着針路、頂点および変針点の位置を求めるための公式や手順を理解している。大圏航法・集成大圏航法における大圏距離、出発針路、到着針路、頂点および変針点の位置を求めるための公式や手順を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

MCCコア科目   説明 閉じる

教育方法等

概要:
船舶運航実務で使用する航海計画(Passage Plan)及び正午報告書(Noon Report)の作成を通して、各種航法の原理や計算方法について理解を深め、活用できるようにする。
航程線航法(距等圏航法・中分緯度航法・漸長緯度航法)及び測地線航法(大圏航法・集成大圏航法)について、その計算手法等を講義し、演習を行う。
授業の進め方・方法:
始めに講義で概要を説明した後、例題による演習を行う。問題を解く中で質問が出た事項については、適宜補足説明を行う。
Excel関数やExcel VBA等のプログラミング言語を使用した自動計算ソフトの作成を通して、各種航法の計算過程について理解を深める。

事前に行う準備学習:前回の講義の復習および予習を行ってから授業に臨むこと
(授業外学習・事前)授業内容を予習しておく。
(授業外学習・事後)授業内容に関する課題を解く。
注意点:
・基礎的な数学の知識(加減乗除、三角関数の基礎など)は習得している前提で授業を行う。
・課題の得点は提出された日によって決定する。また、完成されたもの以外は採点せず、再提出とする。

本授業は、船舶職員法養成施設必要履修科目の航海に関する科目における次の項目に対応している。
五 地文航法
(1)距等圏航法、中分緯度航法、漸長緯度航法、大圏航法、集成大圏航法

定期試験(70%)と演習や提出物(30%)により総合的に評価する。

本科目では、60点以上の評価で単位を認定する。
評価が60点に満たない者は、願い出により追認試験を受けることができる。追認試験の結果、単位の習得が認められた者にあっては、その評価を60点とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション 航海計画と正午報告書の作成が出来るようになることが目標であることを理解している.
義務教育の社会科で学習する,航法に関する前提知識(方角,北緯,南緯,東経,西経,本初子午線,日付変更線,赤道,大圏コース,メルカトル図法)を説明できる.
航程線航法,測地線航法の種類,およびそれぞれの概要と特徴を説明できる.
位置を表す座標系の原点,最大値,X軸とY軸にあたるものを言える.
関数電卓やExcelを使って,簡単な数式を正しく計算できる.
2週 航法計算の基礎1 位置を緯度経度を使って表すことができる.
緯度・経度がどの部分の角度と対応しているのか図示できる.
十進法と六十分法で表された数を互換できる.
距離・時間・速力の関係を使って計算できる.
関数電卓やExcelを使って、複雑な数式を正しく計算できる.
3週 航法計算の基礎2 2地点の船位から変緯と変経を求められる.
変緯の値から北航/南航を,変経の値から東航/西航を判定できる.
出発地の船位と変緯・変経から,到着地の船位を求められる.
360度法で表された方位から,北航/南航および東航/西航を判定できる.
地球の中心角と地表面での距離の関係について説明できる.
距離や速力を表す単位である海里やノットについて説明できる.
4週 大圏航法1 大圏・小圏・距等圏について説明できる.
球面三角形の公式から大圏航路の大圏距離・出発針路・到着針路を求める公式を導出できる.
2地点の位置から大圏航路の大圏距離・出発針路・到着針路を求められる.
大圏航路の出発針路・到着針路を求める公式で求めた値の前後につける符号を判定できる.
大圏距離を角度で表せることを理解している.
360度法と90度法で表された方位を互換できる.
5週 大圏航法2 球面直角三角形の公式から,頂点の緯度・頂点までの変経を求める公式を導出できる.
2地点の位置から頂点の緯度,頂点までの変経を求められる.
2地点のの経度と頂点までの変経から,頂点の経度を求めることができる.
6週 集成大圏航法1 球面直角三角形の公式から集成大圏航路の出発針路・到着針路を求める公式を導出できる.
集成大圏航路の出発針路・到着針路を求める公式で求めた値の前後につける符号を判定できる.
集成大圏航路の出発針路・到着針路を求められる.
球面直角三角形の公式から集成大圏航路の頂点の緯度・頂点までの変経を求める公式を導出できる.
集成大圏航路の頂点から出発地または到着地までの変経を求められる.
集成大圏航路の頂点の緯度・経度を求められる.
7週 集成大圏航法2・距等圏航法・平面航法 球面直角三角形の公式から集成大圏距離を求める公式を導出できる.
集成大圏距離を求めることができる.
距等圏航法の公式を導出できる.
距等圏上にある2地点の経度から東西距を求めることができる.
8週 大圏航路の変針点 球面直角三角形の公式から大圏航路上の変針点の緯度を求める公式を知っている.
変針点の緯度を求めることができる.
2ndQ
9週 航法の用語 航法計算で使用する用語について説明できる.
大圏航法・集成大圏航法の問題を解くことができる.
10週 中間試験 第1週~第9週の内容の理解度を評価する.
11週 漸長緯度航法1 漸長緯度航法で針路と航程を求める手順を知っている.
漸長緯度および漸長緯度差を求めることができる.
漸長緯度差と変経の関係から,針路を求めることができる.
変緯を求めることができる.針路と変緯の関係から,航程を求めることができる.
総距離,仕出港からの距離,仕向港からの航程を求めることができる.
12週 漸長緯度航法2 中分緯度航法で推測位置を求める手順を知っている.
距離と針路の関係から,変緯および東西距を求めることができる.
出発地の緯度と変緯から,到着地の緯度を求める事ができる.
平均中分緯度を求めることができる.
東西距と平均中分緯度から,変経を求めることができる.
漸長緯度航法で推測位置を求める手順を知っている.
13週 中分緯度航法1 中分緯度航法で針路と距離を求める手順を知っている.
2地点の緯度・経度から変緯・変経を求めることができる.
平均中分緯度を求めることができる.
変経と平均中分緯度から,東西距を求めることができる.
変緯と東西距から,針路および航程を求めることができる.
航海計画表を使用して,残航を求めることができる.
14週 中分緯度航法2 タイムゾーンや日付変更線を超えた場合の時間の扱いを理解している.
航海時間と航進時間を求めることができる.
タイムゾーンや現地時間・夏時間を考慮して,ETAまでの時間を求めることができる.
要求速力を求めることが出来る.
所定の速力で航行した場合のETAを,残航から計算することができる.
15週 期末試験 第11週~第14週の内容の理解度を評価する。
16週 答案返却・試験問題の解答・授業アンケート調査

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学商船系分野(航海)地文航法船位測定に用いる方法の種類とその特徴を説明できる。4
航程線航法及び大圏航法の特徴を説明できる。4前13
各種航法による航法計算を行うことができる。3前14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力350000035
専門的能力3500002055
分野横断的能力000001010