到達目標
船舶による輸送は他の輸送システムに比べ厳しい環境で行われ、一度、海難が起こればその損失は環境汚染にも発展する可能性が大である。そこで、まず海難防止、そして海難が起きた際の損失の最小化という観点から船舶乗組員のみならず、船舶運航に携わる全ての海事専門技術者に対して、船舶運航に伴って発生する災害の防止に必要な技術に関する知識体系」という船舶安全学を共通専門学として講義する。講義の内容は主として洋上生存技術、船舶火災の予防と消火である。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 船舶安全学の、「安全第一」,「ダメージコントロール」等の基本的な概念を良く理解している。 | 船舶安全学の、「安全第一」,「ダメージコントロール」等の基本的な概念をおおよそ理解している。 | 船舶安全学の、「安全第一」,「ダメージコントロール」等の基本的な概念を理解していない。 |
評価項目2 | 船舶安全学の、「事故原因究明」,「洋上生存」等の基本的な概念を良く理解している。 | 船舶安全学の、「事故原因究明」,「洋上生存」等の基本的な概念をおおよそ理解している。 | 船舶安全学の、「事故原因究明」,「洋上生存」等の基本的な概念を理解していない。 |
評価項目3 | 船舶安全学の、「火災と消火の原理及び防止方法」の概念を良く理解している。 | 船舶安全学の、「火災と消火の原理及び防止方法」の基本的な概念をおおよそ理解している。 | 船舶安全学の、「火災と消火の原理及び防止方法」の基本的な概念を理解していない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
船舶職員として必要な基礎的な生存技術に関する知識の習得と安全(防災)意識の定着化を目指す。
授業の進め方・方法:
教員の単独。一部、若潮丸、臨海実習場の支援を受ける場合がある。座学、練習船、実習場での救命関係の現物説明を中心に授業を行う。洋上救命講習と密接に関係した授業を行う。
注意点:
船舶職員養成施設履修科目における、航海コースでは非常措置・医療・捜索及び救助・船位通報制度の1単位分、機関コースでは船内作業の安全の0.2単位分が含まれている。また、救命講習、消火講習の基礎知識を満足しており、4年次7月の若潮丸を使用して行う救命講習実技、同じく3年次の消火講習に連動している。本科目では60点以上の評価で単位を認定する。評価が60点に満たない者は、願い出により追認試験を受けることができる。追認試験の結果、単位の修得が認められた者にあっては、その評価を60点とする。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
船舶安全学概論 |
シラバスの説明、実際の海難事例を紹介し、「船舶安全学」の内容と、これを学ぶ意味を理解する。
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2週 |
災害のメカニズム① ハインリッヒの法則、バードの法則 |
災害に到るまでの原因究明、対策立案の手法を説明する。ハインリッヒの法則、バードの法則について説明する。
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3週 |
災害のメカニズム② ドミノ理論、スイスチーズモデル |
ドミノ理論、スイスチーズモデルについて説明する。
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4週 |
事例学習 タイタニック号 遭難 について |
「タイタニック」のビデオを通じて、洋上生存で学ぶ事項を総合的に理解する。
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5週 |
洋上生存1 SOLAS条約について |
「タイタニック号」遭難を契機として成立したSOLAS条約について解説する。
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6週 |
洋上生存2 船舶安全法に基づく救命器具・救命設備規定の概要、及び効果的な船舶放棄作業 |
生存維持技術における救命器具・救命設備規定の概要、及び効果的な船舶放棄作業を説明する。
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7週 |
洋上生存3 海難時の捜索及び救出作業、SAR条約・船位通報制度 |
海難時の捜索及び救出作業、SAR条約・船位通報制度(AMBER,JASREP 等)について説明する。
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8週 |
中間試験 |
上記の内容を設問化して授業を行い、その中から出題する。
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2ndQ |
9週 |
海難の傾向① |
海難種類、船種と海難種類、海難船種と総トン数、海難主原因ベスト5、三大海難種類の原因、プレジャーボート海難の推移、及び船種別海難の特徴
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10週 |
海難の傾向② |
〃
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11週 |
海難防止の取り組み① |
国土交通省運輸安全委員会による海難事故分析及び防止に関する活動を紹介する。
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12週 |
海難防止の取り組み② 海中転落時の低体温症 について |
海中転落時の低体温症とその防御について説明する。
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13週 |
海難防止の取り組み③ 船舶火災の概要 |
船舶火災の概要とその対応について説明する。
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14週 |
事例学習 |
海難事故の事例をあげ、どのように対処すべきか演習を行う。
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15週 |
期末試験 |
上記の内容を設問化して授業を行い、その中から出題する。
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16週 |
答案返却 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 商船系分野(航海) | 海事法規 | 船長の職務権限・規律などの法目的を説明できる。 | 1 | |
他の労働法との関係を説明できる。 | 3 | |
法の目的を理解し、船舶の堪航性について説明できる。 | 3 | |
法整備の歴史的背景を総合的に説明できる。 | 3 | |
法の要求項目などについて説明できる。 | 3 | |
法整備の歴史的背景を総合的に説明できる。 | 3 | |
法整備の歴史的背景を説明できる。 | 4 | |
海難の定義について説明できる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。 | 2 | |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 0 | 0 | 10 | 0 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 30 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 |
専門的能力 | 30 | 0 | 0 | 10 | 0 | 30 | 70 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |