到達目標
本講義では材料強度に及ぼす材料の因子の理解と鋼の熱処理効果の理解を目標とする。転位の挙動と鋼の状態図の見方、鉄鋼材料の強化法を理解する。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 状態図の理解 | 鋼の状態図から各組織の量が計算でき、状態が理解できる。 | 共晶型状態図を理解し、各組織の量が計算できる。 | 全率固溶体の状態図、てこの関係を理解していない。 |
評価項目2 材料強化 | 金属材料の強化方法(4つ)が説明できる。 | 転位の挙動と塑性変形について説明できる。 | 金属材料の機械的性質の種類を理解していない。 |
評価項目3 熱処理 | 焼入れの理想臨界直径が計算できる。 | 鋼のマルテンサイト変態の挙動を理解している。 | 鋼の熱処理の種類と方法を理解していない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
日常生活や産業活動に深い関係を持つ金属材料の諸性質を理解することは技術者にとって必須のことである。本講では金属の状態図の見方を学んだ後、金属材料、特に鋼についてその製法、熱処理について解説する。鋼材料の特性や用途を理解することを目的とする。
授業の進め方・方法:
講義
注意点:
毎授業後に小レポートの提出を求め、学生の理解度をチェックし、次回の講義に反映させる。
評価が60点に満たない者は、願い出により追認試験を受けることができる。追認試験の結果、単位の修得が認められた者にあっては、その評価を60点とする。
船舶職員法養成施設必要履修科目 三級海技士(機関)
機関に関する科目(その三)二 材料工学
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス、身近な金属材料、機械材料の開発と発展 |
シラバスの説明、人類と金属の関わりあいの歴史について述べた後、身近に使用されている金属を取り上げて融点、比重、価格などを比較しながらそれぞれの性質について解説する。
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2週 |
金属材料の結晶構造 |
金属を構成する原子の集合状態に関連することがらについて述べる。体心立方および面心立方格子、格子定数、密度、結晶粒界などについて解説する。
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3週 |
結晶構造の欠陥 |
ミラー指数、固溶体の種類、転位、積層欠陥について解説する。
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4週 |
材料の機械的性質 |
疲労強度、SN曲線、クリープ強度、加工硬化、再結晶、回復、熱間・冷間加工などについて解説する。
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5週 |
金属材料の塑性変形の機構 |
応力により金属が塑性変形するメカニズムについて解説する。すべり変形とすべり方向、転位の移動とすべり変形の過程、臨界せん断応力について解説する。
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6週 |
金属材料の状態の変化 |
相変化と変態点、結晶核の発生と成長、結晶粒度、結晶粒界について解説する。
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7週 |
合金の状態図(全率固溶体型) |
状態図を理解するに必要な「てこの関係」、相律について説明し、全率固溶体型の状態図を用いて状態図の読み方を解説する。
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8週 |
合金の状態図(共晶型) |
共晶、初晶について説明し、共晶型状態図の読み方について解説を行い、いくつかの計算問題を演習する。
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2ndQ |
9週 |
中間試験 |
金属の成り立ち、塑性変形と転位の挙動、状態図の読み方などについて問う。
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10週 |
中間試験の解答、解説 |
中間試験の解答、成績確認、解説を行った後、金属材料の強化法である加工硬化、結晶粒微細化、合金化、析出強化について解説する。
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11週 |
鋼の分類、純鉄の変態 |
機械材料の中でもっとも多く利用されている鋼を取り上げる。鋼の分類、純鉄の変態、磁気変態、フェライト、オーステナイトなどについて解説する。
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12週 |
鋼の状態図 |
Fe-Fe3C系状態図について述べる。析出、セメンタイト、パーライトについて説明し、状態図を用いて冷却時の組織変化を解説する。
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13週 |
鋼の組織とその性質 |
鋼の組織から鋼の機械的性質の類推法を説明し、いくつかの演習計算を行う。また、鋼中の炭化物の役割についても解説する。
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14週 |
鋼の熱処理 鋼のマルテンサイト変態 |
焼き鈍し、焼きならし、焼き入れ、焼き戻しの方法とその効果について解説する。またマルテンサイト変態の過程についても解説する。
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15週 |
期末試験 |
材料強化法の種類、方法および用途について理解できているかを確認する出題。
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16週 |
期末試験の解答、成績確認、授業評価アンケート、鋼の焼き入れ性 |
期末試験の解答、解説、成績確認、授業評価アンケート。鋼の焼き入れ性を評価するジョミニー試験について述べ、質量効果、理想臨界直径、焼き入れ性倍数について解説する。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 商船系分野(機関) | 材料力学 | 金属材料の一般的な性質について説明できる。 | 4 | 前1,前4 |
金属と合金の結晶構造を説明できる。 | 4 | 前2,前3 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |