力学基礎

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 力学基礎
科目番号 0012 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 エコデザイン工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 力学(東京図書株式会社:エリ・デ・ランダウ、イェ・エム・リフシッツ著、広重徹、水戸巌訳:ISBN4-489-01160-1)
担当教員 山本 久嗣

到達目標

一般的な基礎力学について以下に挙げる項目を理解することを目標と定める
・運動方程式(最小作用の原理、相対性原理、慣性系、ラグランジアン)
・保存法則(エネルギー保存則、運動量保存則、角運動量保存則)
・場の概念(中心力場)
・粒子の衝突運動(静止・運動している粒子の崩壊と衝突、散乱過程における軌跡)
・振動(調和振動、減衰振動、非調和振動)
・剛体運動(慣性モーメント、対称こまの運動、オイラーの運動方程式)
・正準方程式(ハミルトン方程式、ラグランジュ方程式)
具体的には下記ルーブリックの各項目が到達目標になる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
運動方程式についてⅠ最小作用の原理、相対性原理について理解し、説明ができる最小作用の原理、相対性原理について記述ができる最小作用の原理、相対性原理について記述ができない
運動方程式についてⅡ質点系のラグランジアンの導出ができ、軌跡などの計算ができる質点系のラグランジアンの導出ができる質点系のラグランジアンの導出ができない
保存法則についてⅠエネルギー保存則と運動量保存則が成立する系の制約条件について説明ができるエネルギー保存則と運動量保存則が成立する系の制約条件について記述ができるエネルギー保存則と運動量保存則が成立する系の制約条件について記述ができない
保存法則についてⅡ慣性系と、角運動量保存則が成立するための制約条件について説明ができる慣性系と、角運動量保存則が成立するための制約条件について記述ができる慣性系と、角運動量保存則が成立するための制約条件について記述ができない
運動方程式の積分についてⅠ振動周期が成立する系におけるポテンシャルエネルギーの導出ができる振動周期が成立する系におけるポテンシャルエネルギーの記述ができる振動周期が成立する系におけるポテンシャルエネルギーの記述ができない
運動方程式の積分についてⅡ中心力場が働く系における運動について、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーから軌跡を導出できる中心力場が働く系における運動について、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーにより軌跡が場合分けされることを説明できる中心力場が働く系における運動について、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーにより軌跡が場合分けされることを説明できない
粒子の衝突についてⅠ粒子が崩壊した際の軌跡や弾性衝突時の物理量保存法則を図で示し、計算ができる粒子が崩壊した際の軌跡や弾性衝突時の物理量の計算ができる粒子が崩壊した際の軌跡や弾性衝突時の物理量の計算ができない
粒子の衝突についてⅡ粒子の散乱過程における軌跡を計算し、説明ができる粒子の散乱過程における軌跡を計算できる粒子の散乱過程における軌跡を計算できない
微小振動についてⅠ調和振動における運動方程式を導出し、軌跡の計算ができる調和振動における運動方程式の記述と軌跡の計算ができる調和振動における運動方程式の記述ができない
微小振動についてⅡ調和振動に項を加えることで減衰振動や非調和振動が記述できることを理解し、運動方程式の導出と軌跡の計算ができる減衰振動や非調和振動の運動方程式を記述し、軌跡の計算ができる減衰振動や非調和振動の運動方程式を記述できない
剛体の運動についてⅠ慣性モーメントの導出ができ、回転運動の方程式を計算できる慣性モーメントの導出ができる慣性モーメントの導出ができない
剛体の運動についてⅡ対称こまの自由な回転運動におけるオイラーの運動方程式の導出ができる対称こまの自由な回転運動におけるオイラーの運動方程式の記述ができる対称こまの自由な回転運動におけるオイラーの運動方程式の記述ができない
正準方程式についてハミルトン方程式とラグランジュ方程式の違いが説明でき、ハミルトニアンとラグランジアンの間に成立する式の導出ができるハミルトン方程式とラグランジュ方程式の違いが説明できるハミルトン方程式とラグランジュ方程式の違いが説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-5 説明 閉じる
JABEE 1(2)(c) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
力学は物理学の分野において最も早く定式化された部門である。本講義においては理論物理と他の分野とを連携して執筆された教科書を元に、その基礎を学びとることを目的とする
授業の進め方・方法:
講義内容を振り返る演習や課題を通じて学生の理解度を適宜確認する
注意点:
提出課題の理解度(40%)と定期試験(60%)の割合で評価し、60点以上を合格とする.なお、学生の理解度と進捗に応じて授業内容を傾斜配分する場合がある

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
力学基礎を学ぶ上で必要な数学的知識の確認
2週 運動方程式Ⅰ
一般座標、最小作用の原理、相対性原理について
3週 運動方程式Ⅱ
質点系におけるラグランジアンについて
4週 保存法則Ⅰ
エネルギー保存則と運動量保存則について
5週 保存法則Ⅱ
慣性系と角運動量保存則について
6週 運動方程式の積分Ⅰ
振動周期によるポテンシャルエネルギーについて
7週 運動方程式の積分Ⅱ
中心力が働く場における運動について
8週 粒子の衝突Ⅰ
粒子の崩壊と弾性衝突について
4thQ
9週 粒子の衝突Ⅱ
粒子の散乱について
10週 微小振動Ⅰ
調和振動について
11週 微小振動Ⅱ
減衰振動、非調和振動について
12週 剛体の運動Ⅰ
剛体とその回転運動について
13週 剛体の運動Ⅱ
オイラーの運動方程式について
14週 正準方程式
ハミルトン方程式と正準変換について
15週 期末試験
16週 試験返却、解説、授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。4後1
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。4後1
分数式の加減乗除の計算ができる。4後1
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。4後1
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。4後1
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。4後1
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。4後1
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。4後1
簡単な連立方程式を解くことができる。4後1
無理方程式・分数方程式を解くことができる。4後1
1次不等式や2次不等式を解くことができる。4後1
恒等式と方程式の違いを区別できる。4後1
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。4後1
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。4後1
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。4後1
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4後1
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。4後1
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4後1
角を弧度法で表現することができる。4後1
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。4後1
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4後1
2点間の距離を求めることができる。4後1
内分点の座標を求めることができる。4後1
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。4後1
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。4後1
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。4
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。4
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。4後1
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。4後1
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。4後1
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。4後1
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。4後1
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。4後14
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。4後14
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。4後14
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。4後1
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。4後1
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。4後1
合成関数の導関数を求めることができる。4後1
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。4後1
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。4後1
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。4後1
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。4後1
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。4後1
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。4後1
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。4後1
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。4後1
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。4後1
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。4後1
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。4後1
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。4後1
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。4後1
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。4後1
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。4後1
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。4後1
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。4後1
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。4後1
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。4後1
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。4後1
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。4後1
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。4後1
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。4後1
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。4後1
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後12
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後12
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後12
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後12
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後12
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。4
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後12
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後12
物体に作用する力を図示することができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後11,後12
力の合成と分解をすることができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後11,後12
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後11,後12
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後11,後12
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。4
慣性の法則について説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12
運動方程式を用いた計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12
運動の法則について説明できる。4
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後11
最大摩擦力に関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後11
動摩擦力に関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後11
仕事と仕事率に関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。4後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。4後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。4後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後12
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後12
力のモーメントを求めることができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後11,後12,後13
角運動量を求めることができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後11,後12,後13
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後11,後12,後13
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。4後2,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12,後13
重心に関する計算ができる。4後2,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12,後13
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。4後2,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12,後13
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。4後2,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12,後13

評価割合

定期試験課題レポート合計
総合評価割合6040100
基礎的能力501060
専門的能力103040